「9歳の壁」の要因と子供への適した対応方法とは?うまく乗り越えるには大人の上手な働きかけがカギ!

小学1、2年生が終わり、やっと学校での生活に慣れてきた小学3年生。親からはなれて友達と行動することが増え、自立に向けた準備期間へと入ります。心理学では「9歳の壁」ともよばれ、この年頃の子供の心の変化にどのように対応すればいいのか頭を悩ます保護者も多いようです。

そこで今回は、「9歳の壁」をテーマに、この時期の子供の心の変化についてみていき、子供への上手な接し方について紹介。「9歳の壁」を経験したママパパからその時の子供の様子とどのように乗り越えたか教えてもらいました。子供の成長過程を親子でうまく乗り越えていくヒントを探してみましょう!

「9歳の壁」とは?その要因は?

9歳はさまざまな心の変化がある大事な時期。「9歳の壁(10歳の壁)」とも呼ばれるこの時期には、感情の葛藤により子供の言葉遣いや態度が悪くなったりと親に対する接し方ががらりと変化することがあります。親は今まで以上に注意して子供の心の変化を読みとってあげなくてはならない年頃でもあります。

小学校3年生頃からみられる対人関係の変化

小学3~4年生は、小学校での集団生活にも慣れ、友達の輪も広がり対人関係に変化がみられる頃です。友達とグループを作って行動するなど集団活動に主体的に関わることも増え、自分たちだけの遊びのルールやきまりを作る傾向があります。家族より友達との時間が増え、ちょっとしたいたずらが増えることも。ようやく手が離れてきたなと思われがちですが、実際は特に注意して親がみてあげる必要がある時期です。

一般的に女の子は集団コミュニケーション能力の威力を体感し、イジメ、仲間外れが具体的にスタートします。男の子では、体の大きさ(成長曲線)に合わせてグループ化と、いわゆるひょうきん、スポーツ、モテ系、オタクと興味と属性が生まれてきます。親御さんは、友人との関係性(放課後、土日に誰とどこで遊ぶか)などを観察して、変化した理由を聞いてください。対人関係の変化を知ることでお子さんを守る予防ができます。

中学年以降、抽象的な学習内容が増える

小学3年生になると、学習面においても大きな変化が現れる時であります。いっきに学校での学習レベルが上がり、科目も国語、算数に加えて社会と理科も学ぶようになります。1,2年生の頃は目に見える具体的なことを対象に学習していましたが、3年生になると抽象的な思考(目に見えなくても頭の中で考えること)が求められる学習が増えてきます。抽象的な学習内容が増えることから、この時期は特に勉強につまずきやすく勉強嫌いになる子供も多いようです。

抽象的な学習は、反復学習と暗記が基礎になるため、基礎学習でつまづいているお子さんは、フォローアップする必要が出てきます。中学年の女の子は算数や理科が好きな子、アニメイラストを描いて人気になる子や工作が得意な子など、はっきりしてきます。男の子は興味の細分化が進むため、興味と属性が生まれてきます。

算数、理科、社会などは体験型学習(例えばコーラにメントスを入れる、電車に乗るときに切符を現金で購入する、車の車輪はなぜ円なのか?角度の円の理由)を通して学びが実社会で役立っていることを子どもが理解しているかどうか、親として確認することができます。そこでほめてあげると子どもは幸せな気分になり、親も楽になります。

発達の個人差もさまざまな「壁」へ

さらにこの時期は、発達の個人差が顕著に見えだす頃です。この頃は、自己肯定感(自分自身に対する満足感)を持ち始めるようになる時期である一方、自己に対して劣等感を持ちやすくなることも。自分のことを客観視して考えられるようになり始める時期でもあります。集団に入り社会的比較が出てくると、発達の個人差が大きくみられる時期でもあることから、今まで自分が1番と思っていたことがそうでないと気付いたり…。肯定的な感情と否定的な感情を同時に持つようにもなり、この時期の子供は感情の葛藤を抱えるようになるといわれてます。

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「9歳の壁」はあった? 【ママパパの体験談】

まずは小学4~6年生のお子さんをもつママパパに「9歳の壁」・「10歳の壁」の経験について伺いました。この時期に学習や生活面において困難に感じた家庭は実際どれくらいいるのでしょうか。

Q.「9歳の壁」や「10歳の壁」はありましたか?

今回のアンケート結果では、3割の家庭が「9歳の壁」・「10歳の壁」を経験したと回答しました。一方、半分以上の家庭では経験しなかったと答えており、必ずしもどの子供も「9歳の壁」・「10歳の壁」を経験するというわけではないようですね。

「9歳の壁」・「10歳の壁」の体験談

では「9歳の壁」・「10歳の壁」を経験したママパパは具体的にどのような変化を感じたのでしょう。それぞれの体験談を教えてもらいました!

『急に勉強についていけなくなった』

今回のアンケートで一番多くみられた回答は「勉強に苦労するようになった」でした。小学3年生になるといっきに勉強も難しくなり、宿題の量も増えることもしばしば。周りの変化についていけず、勉強も嫌になってしまう時期でもあるようですね。

「急に算数の勉強についていけなくなった」(30代・宮崎県・子ども3人)
「勉強が難しくなり、宿題も取り組むのを嫌がるようになり宿題以外は家でほとんど勉強しなくなった」(30代・京都府・子ども2人)

『反抗的な態度や言葉、無視をするようになった』

次に多かった回答が「反抗的な態度」でした。言葉づかいが悪くなったり、反抗的な態度を示すようになるということがこの時期によくみられる子供の特徴です。

「反抗期なのか話しても無視。 聞いてない振り、都合が悪くなるといなくなる。」(30代・東京都・子ども3人)
「生意気になる。親の言うことをすんなり聞かなくなる。」(40代・東京都・子ども2人)

『学校に行きたがらなくなった』

学校に行くのが嫌になったという子供もいるようです。周りの友達関係の変化と心の変化に子供もたくさん悩んでいる時期です。ママパパはその変化に気付いてあげることが大切です。

「こだわりが強く、それがないと学校行かないって感じだった」(30代・東京都・子ども3人)
「学校に行かなくなった」(30代・埼玉県・子ども5人)

『善悪の判断ができなくなり学校から何度も連絡を受けた』

低学年の頃はいい子だったのに、小学3年生くらいから様子ががらりと変わったということもよくあるみたいです。お友達とグループになってやんちゃなことも始めるこの時期は特に注意して子供をみる必要があるようです。

「ギャングエイジという言葉や説明等を小学校の先生や周りから聞いてはいたが、自分の子供には無縁だと思っていた。ずっといい子だと言われたし、家庭でもそうだった。その年齢になったら、周りの友達にも影響され、善悪が判断出来なくなり、何度も小学校から連絡を受けた。」(40代・東京都・子ども2人)

「9歳の壁」「10歳の壁」はどう乗り越える?

「9歳の壁」・「10歳の壁」をどのように乗り越えたのか実際にやっていた子供への対応方法を教えてもらいました。先輩ママパパの経験をもとにいろいろと試してみるのもよさそうです。

『会話する機会を増やした』

やはり一番大切なのは親子でのコミュニケーション。一方的に叱りつけるのではなく、子供に寄り添ってじっくり話す時間をつくるようにしているようですね。

「コミニュケーションを図り対等にじっくり話すようにした。」(30代・大阪府・子ども3人)
「まだ乗り超えてない、今がその年齢、悩みの中でコロナ状況になってしまったが、子供と自粛生活で一緒に過ごす中で、とても会話が出来て来たかなと思う。」(40代・東京都・子ども2人)

『ある程度のことは本人に任せて見守った』

ある程度見守ることが大切な時期でもありますが、まだ判断力が十分ではない年頃です。強制的に子供に従わせるようにせず、誘導するような言葉をかけるようにしたというご家庭もあるようですね。

「勉強や寝る時間を決めて、やりなさい、とは言わず、時間だよ、と教えるようにした。」(40代・東京都・子ども2人)
「自由にさせていた。外で学ぶ事の方が多いので、怪我や友達に迷惑を掛ける事以外は任せた。」(30代・山口県・子ども1人)
「本人がやるというまでまっていた。いずれ自分がやらないと困るのを 本人がわかっているはずだと思ったから」(40代・千葉県・子ども2人)

子どもをどのようにサポートすべきか

では、保護者はこの時期の子供にどのように接したらいいのでしょうか。ある程度見守ることが大切ですが、仕方がないと放っておくのは禁物です。この時期を上手に乗り越えるポイントをみていきましょう。

乱暴な言葉づかいには根気よく注意

この時期によくみられる子供の乱暴な言葉づかいに対しては、強く叱るのではなく、その都度いい直しをさせるようにしましょう。仕方がないと放っておいてしまうと、その言葉づかいが癖になってしまうことも。乱暴な言葉づかいが定着してしまわないよう、親は根気よく悪い言葉に対してはいい直しをさせるように促してみましょう。

また、乱暴な言葉づかいは大人の真似をしている場合もあります。お母さんが注意してもお父さんが乱暴な言葉を使っていたら意味がありません。家族全員で乱暴な言葉使いをしないよう習慣づけをする必要があります。

毎日子供を観察して変化に気付く

毎日子供をよく観察し、変化に気づくことが大切です。子供の心の変化は、ちょっとした動作や表情、行動パターンの変化によって気付くことができます。毎日ちゃんと見ているからこそ、子供の変化に気づくことができるもの。ガミガミとつい口出しをしてしまう前に、まずは毎日じっくりと子供を観察してみましょう。

親が変化に気づくポイントは、靴とランドセル、そして筆箱です。靴が泥で片方だけ汚れていたり、ランドセルに落書きやメモ、石が入っている場合や、筆箱の消しゴムや鉛筆の本数が増えたり減ったりしている場合、お子さんがクラスで悩みを抱えている可能性があります。小学1、2年生とは違い、子どももランドセルを親の前で開けることはありませんが、できれば親は週に1度はランドセルを一緒に開けて、準備をするのもよいでしょう。

共感して解決策を提案

日頃から子供とのコミュニケーションをとる時間を少しでも多くつくるようにしておきましょう。何か問題が起こったときだけ話をしようとしても、説教ばかりとなり子供も話すことを嫌がるようになってしまいます。何か問題があった時は、一方的に叱ったり怒鳴ったりするのではなく、落ち着いて対話するように心がけましょう。

その時のポイントは、子供の考えに理解を示してあげることです。どのような理由でそうなったのかきちんと子供の意見を聞いてあげ、共感してから解決策を提案してあげるようにしましょう。このようにしておけば、高学年の思春期のときの反抗もしにくくなるともいわれ、相手を尊重する対話の仕方を教えることにもつながります。

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「9歳の壁」について分かるおすすめ本

「9歳の壁」について理解が深められるおすすめの本を紹介します。子供への正しい接し方やそれぞれの成長過程で生じる不安を少しでも解消できるようぜひ参考にしてみて下さい。

9歳のこころのじてん

韓国で出版され、アジア各国でも翻訳された20万部を超えるベストセラー。自分の気持ちや感情をうまく表現するのに必要な言葉をイラストと例文で紹介。「もどかしい」「うらめしい」など言葉だけでは理解が難しい感情の説明をわかりやすく描いており、親子でも一緒に楽しめる1冊です。

小学生保護者の心得 学校と一緒に安心して子どもを育てる本

小学校教師として30年以上勤務し、保護者の育児相談に乗る『親塾』を主宰する著者が、現代の小学生保護者が幸せな子育てをするために必要な知恵を伝授。学年別の子供の成長や教師との適切な付き合い方、実践的なアドバイスを交えながら小学生の子供を育てるにあたって知っておきたいことをたっぷり教えてくれます!

子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学

発達心理学でも注目されているこの年頃の心の変化をわかりやすく解説。10歳は「壁」ではなく「飛躍」の時!子供の心の変化を理解することで、受け止め方も変わるかも?!ソーシャル・スキル・トレーニングの手法を交えてこの時期に立ちはだかる問題の対処法も紹介されています。

「9歳の壁」は大人の上手な働きかけがカギ

「9歳の壁」を乗り越える重要なポイントは大人の上手な働きかけです。子供の成長過程のひとつであるこの時期は、子供もたくさん悩み心の中で葛藤を抱えています。日々親子でしっかりコミュニケーションをとりながら、ちょっとした変化に気付いてあげて共感してあげるだけでも子供は安心感をもつように。子供の心を理解しながら大人が上手に働きかけて「9歳の壁」をうまく乗り越えていきましょう。

記事監修

村田 学(https://www.oiedu.org/
国際教育評論家

アメリカ生まれ、日本育ち。インターナショナルスクールの経営経験から国際教育の現場を知る。国際バカロレアの教員研修を修了した国際教育評論家。
インターナショナルスクールとEduTech系ベンチャー2社に出資しており、海外から日本参入のEduTechベンチャーのアドバイスも増えている。

 

文・編集/HugKum編集部

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