感覚器官とは何? 光や音を実際に感じているのは目や耳ではない?【親子でプチ科学】

人はなぜ物が見えるのか、あるいは音が聞こえるのかといった「感覚器官」についての疑問を、誰でも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。目や耳から得た情報が、光や音として認識されるまでの仕組みや、各感覚器官の役割について解説します。

そもそも感覚器官とは?

人は感覚器官を使って、外部から情報を得ています。得られた情報に対してどのように反応するのかは、人それぞれです。

人にとって感覚器官とは、どのような存在なのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

見る・聞くなど「五感」のこと

人には「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」の五つの感覚が備わっており、それぞれの感覚の入口となるのが、目や耳などの「感覚器官」です。この感覚器官を総称して「五感」と呼ぶこともあります。

外部からの情報は、自分の五感で直接取り入れ、消化することで経験として蓄積されます。例えば、「氷は冷たい」ことは本を読めば分かりますが、どのくらい冷たいのかは触ってみなければ分かりません。

また、同じ匂いを嗅いで心地よく感じる人もいれば、不快に思う人もいます。

危険を察知する能力やコミュニケーション力、運動能力など、生きていくために必要な知識・経験は、五感で体験することで身に付きます。

五感は単に外の情報を得るだけではなく、感性を育む役割も担っているのです。

それぞれの感覚器官について

感覚器官とは、「目」「耳」「鼻」「舌」「皮膚」の五つです。それぞれの感覚について解説します。

目で見る「視覚」

人は外からの情報の約8~9割を、目から受け取っているといわれています。物の形や色、大きさなどは目で見て初めて分かりますし、他人の表情を見て心理を読み取ることも可能です。

目で見る「視覚」は、五感の中でも重要度が高い感覚といえるでしょう。

耳で聞く「聴覚」

「聴覚」は耳で音を聞く感覚です。

耳の中にある鼓膜や小さな骨が、空気の振動(音波)をキャッチして、耳の奥にあるリンパ液を揺らします。リンパ液の揺れは聴神経に伝わり、脳に届いて「音」として認識されるのです。

鼻で匂う「嗅覚」

鼻は「嗅覚」を担当する器官です。鼻の奥には嗅細胞があり、匂いを電気信号に変換して脳に伝えています。

嗅覚は、人間と動物との間に大きな差があることでも有名です。代表的な例が犬で、犬は人間の約1億倍もの嗅覚を持つとされています。

舌で味わう「味覚」

舌で味を感じることを「味覚」といいます。味覚には甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5種類があり、人によって好き嫌いが分かれるのも特徴です。

味覚は、舌にある「味蕾(みらい)」という器官で感じ取ります。亜鉛が不足すると味蕾の新陳代謝が滞り、味覚異常を引き起こすことがあります。

皮膚で感じる「触覚」

皮膚は他の4器官と異なり、全身に張り巡らされた感覚器官です。皮膚が物に触れたときに感じる「触覚」は、他の感覚器官の情報を補足します。

例えば、生まれて初めて雪を見た人は、雪の冷たさを知りません。手で触ってみて初めて「雪はとても冷たい」という情報が得られるのです。

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感覚器官と脳の関係性

感覚器官が受け取った情報を、脳はどのように処理しているのでしょうか。情報が脳に伝わり、体が反応するまでの流れを見ていきましょう。

感覚器官からの情報を脳が処理する

感覚器官には、光や振動といった「刺激」をキャッチするための「感覚細胞」があります。感覚細胞は、刺激を信号に変換して、脊髄を通り脳へと伝えます。信号が脊髄を通って脳に送られたとき、初めて「感覚」として認識されるのです。

また、複数の感覚器官から同時に情報を受け取ったときには、脳は視覚情報を優先するとされています。例えば、お寿司のネタについての情報は、目と舌から届きます。もしネタの見た目と味が違う場合、脳はどう判断するのでしょうか。

拡張現実の技術を使った実験では、トロの映像が見えている人にマグロの赤身を出して味の感想を聞くと、トロの味の特徴を答える人が多いという結果が出ています。

この現象は、「クロスモダリティ効果」と呼ばれています。脳は味覚よりも視覚の情報を優先するため、マグロの赤身を食べたのに「トロを食べた」と判断してしまうのです。

トロを見ながら食べると、トロの味に?

無意識に起こる「反射」

熱いものに触ったときに、熱いと思うよりも先に手を引っ込めることがあります。これは「反射」といって、脳が感覚を認識する前に起こる無意識の反応です。感覚は、脳が感覚神経から届いた刺激信号を処理して初めて感じるものです。

しかし、「痛い」「熱い」「まぶしい」などの危険な刺激を、全て脳で感じたあとに対応しているのでは、うまく体を守れません。「熱い」と感じてから手を引っ込めても、間に合わずにやけどをしてしまうでしょう。

そのため、脳に情報が届く前に「脊髄」が直接命令を出して、危険を回避する行動を起こしています。明るさによって瞳孔の大きさが変わったり、寒いときに毛穴が閉じたりするのも、反射による反応です。

身近な感覚をとらえ直してみよう

人は五つの感覚器官から得た情報を元に生活を送っています。美しいものを見て心が豊かになるのも、けがや病気から身を守れるのも、全て感覚器官が情報をキャッチして、脳に情報を送っているからです。

普段気にすることのない身近な感覚も、とらえ直してみると新しい発見があるかもしれません。

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構成・文/HugKum編集部

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