サザンカはサンザカが正しかった!言い間違いがホントになった話【知って得する日本語ウンチク塾】

言い間違いが、定着して「サザンカ」になった!

「山茶花」は、確かに「山」「茶」「花」ですから、「サンザカ」と読んだ方が、サザンカと読むよりもしっくりきます。

この「サンザカ」が、なぜか17世紀頃から、サザンカと読まれるようになってしまったのです。サンザカと言うよりも、サザンカの方が言いやすかったのかもしれません。

エレベーターをエベレーターって言ってませんか?

このようなひとつの単語の中の隣接する音が位置を交換させてしまう現象を、言語学では「音位転倒(転換)」(metathesis〈メタテシス〉)などと言います。

早い話が言い間違いです。

アニメーション映画『となりのトトロ』で、次女のメイちゃんが、「おたまじゃくし」を「おじゃまたくし」、「とうもろこし」を「とうもころし」と言っていたのもそれです。

皆さんのお子さんも、「エレベーター」を「エベレーター」なんて言っていませんか?サザンカの場合は、その言い間違いの方が定着してしまったのです。

「だらしない」「新しい」も言い間違いが定着した語だった

このような、ある語の音の位置が変わってしまって生まれたと考えられている語は他にもあります。「だらしない」は「しだらない」が、「あたらし(新)」は「あらたし」がそれぞれ変化した語です。

将来、「おじゃまたくし」「とうもころし」「エベレーター」が本来の語に取って代わることがあるかも!?

 

神永 曉 かみなが・さとる

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。著書『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。最近は、NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。

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