卵の保存方法をきちんとおさらい|常温はOK?冷凍できるの? ゆで卵や卵焼きは? 疑問を一挙解決

常備食材としてかかせない卵。正しい保存方法をきちんとおさらいしておきましょう。

卵の保存に向いてるのは常温? 冷蔵?

店頭では、常温で卵を販売していることもありますが、一般的には卵の常温保存は不向き。というのも、卵にはサルモネラ菌という食中毒の危険性があるからなんです。

サルモネラ菌は、10℃以下では繁殖せず、熱にも弱いのが特徴です。つまり卵を購入した後は、なるべく早めに冷蔵庫に入れるか、もしくは火を通してから冷凍保存する方が安全です。

では、保存方法についてひとつずつ追っていきましょう。

卵の向きで保存期間が変わる?

卵を保存する時に、尖った方を下にしたほうがいいという説がありますよね。これは丸いほう(鈍端)よりも尖ったほう(鋭端)が強度に優れ、安定感があるからです。

JA全農卵では、「丸いほうには気室と呼ばれる空気の部屋ができるため、鈍端を下にすると気室が卵内を移動してしまい、品質劣化を早めてしまう」という理由からも、卵の保存は尖ったほうを下に置くことを推奨しています。

卵の保存方法

卵は、他の生鮮食品に比べて割と保存期間が長いイメージがありませんか?  冷蔵庫で保存した場合では、だいたい2週間が保存の目安です。これは卵の中にいるリゾチームという酵素のお陰!  リゾチームは、殺菌効果があるため保存性を維持することができるんです。

保存法については、いくつか注意点があるので一緒にチェックしていきましょう。

卵の常温保存方法

まず、卵の常温保存はNGです。サルモネラ菌による食中毒の心配があるため、おすすめできません。

卵の冷蔵保存方法

次に冷蔵保存です。

冷蔵庫には、ドア付近に卵を置くスペースがありますが、ここでの保存は控えたほうがよさそう。というのもドアは開閉の頻度が高く、温度を一定に保つのが難しいからです。他にも開閉による振動が卵の劣化を早めてしまうことにもつながります。

では、どうするか?  パックのまま冷蔵保存するのが正解です。購入時には、尖ったほうが下になってパック詰めされているため、わざわざ向きを気にすることがないのも嬉しいですね!

卵は、パック詰めの状態では基本的に尖ったほうが下です。これは、輸送時の安定感や強度などの観点からも鋭端が下なのだとか。

卵は殻つきで洗ったらダメ!

卵の殻に汚れや菌が付着しているなら、洗えばいいのでは? と、素朴な疑問がわいてきそうですが、卵は決して洗ってはいけません。

卵にはクチクラ層と呼ばれる薄い膜があります。この膜が、卵の中に微生物や雑菌から守ってくれているのですが、軽く洗う程度ですぐに失われてしまうとか。さらに、卵の殻は多孔質(小さな穴が無数にあいている構造)になっているため、穴から浸水する可能性があるため品質が保ちにくくなります。

冷蔵保存した卵の保存期間

冷蔵庫で衛生的に保存した場合で、2週間ほど保存可能です。

卵の冷凍保存方法

卵は、冷凍保存もできます。ただ菌の繁殖を防ぐためにも、一度、火を通してから冷凍するようにしましょう。

冷凍することで食感が変わってしまうため、保存にはいくつかのコツがあります。おすすめは、薄焼き卵や濃いめに味をつけた卵焼きです(後半で解説します)。

冷凍した卵の保存期間

しっかり加熱した状態(薄焼き卵など)で、約2週間ほど保存可能です。

ゆで卵の保存方法

生卵より、ゆで卵のほうが長持ちしそうですが答えはノー!  加熱したほうが保存期間が延びそうですが、残念ながら違います。

先ほど、水洗いはダメだとお伝えした通り、ゆで卵は多孔質なので湯が中に入る可能性があります。また、加熱することで、雑菌から守っていたクチクラ層や抗菌効果の高いリゾチームまで熱により失活してしまうことも要因。ゆで卵の保存があまり長くない理由は、卵の構造からも明らかなんです。

ゆで卵の冷蔵保存方法

ゆで卵は保存容器などに入れて冷蔵保存し、なるべく早めに食べましょう。

ゆで卵にした場合は、横にして保存しても問題ありません。

ゆで卵の冷凍保存方法

ゆで卵は、冷蔵することで食感が変わるため、細かく刻むのがコツです。詳しい、ゆで卵の冷凍保存方法はこちらからご確認ください。

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ゆで卵の保存期間

ゆで卵は、加熱によって保存がきかなくなります。

冷蔵庫の保存で、3~4日ほどで食べ切りましょう。冷凍保存の場合は、3週間ほどです。

卵焼きの保存方法

お弁当おかずの大定番ですが、朝から卵をクルクル巻くのって結構、手間ですよね…。卵焼きは、冷蔵も冷凍保存もできるので、余力のある時に作っておくと便利です。

卵焼きの冷蔵保存方法

卵焼きは、夜ご飯の片づけ時にでもちゃっと焼いておくとラクです。冷蔵庫に保存があれば、朝は電子レンジで加熱するだけ。

卵焼きは、食べやすいサイズに切ってから密閉容器に入れるか、もしくは空気が入らないようにラップに包んで冷蔵庫で保存しましょう。

卵焼きは、その場にいないと作れませんが、茹でるだけのおかずを増やすなど臨機応変に。朝はできるだけ手間がかからない工夫をするとラクです。

卵焼きの冷凍保存方法

卵焼きは、冷凍保存もオススメです。ポイントは、作ったら急冷すること。冷凍でもおいしい卵焼きの作り方は、こちらから♪

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卵焼きの保存期間

冷蔵庫で保存した場合で、3日ほど。冷凍庫で保存した場合は、2週間ほど保存可能です。

小さな卵ですが、その構造は意外に奥が深い!  正しい保存法で、卵料理をいろいろと楽しんでくださいね。

参考資料:
●JA全農卵 株式会社
●大量調理施設衛生管理マニュアル 厚生労働省

撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)

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冷蔵や冷凍で保存食にも◎  HugKum編集部厳選 おすすめ卵レシピ

【1】鶏団子と卵のさっぱり煮

ひき肉を子どもが食べやすい鶏団子に。酢を使った甘辛い煮汁は、豆腐や麺類を煮てもおいしいので、リメイクレシピまでたっぷり味わえます。

◆材料

(大人2人分+子ども2人分)
鶏ひき肉 200g
長ねぎ 15cm
ゆで卵 3個
いんげん 6本

【A】
だし汁 1と1/2カップ
みりん 1/2カップ
しょうゆ 1/2カップ
酒 1/4カップ
酢 1/4カップ

◆作り方

【1】長ねぎをみじん切りにして鶏ひき肉と合わせ、粘りが出るまで混ぜ、10個の団子に丸める。ゆで卵は殻をむく。
【2】鍋に【A】を入れて火にかけ、沸騰したら強火で3分煮て酸味をとばす。【1】を加え、弱めの中火で4~5分煮、いんげんを加えてサッと煮る。
*鶏のうま味が出た煮汁は、麺類のつけ汁にしても。または、豆腐などを煮てもおいしい。

教えてくれたのは


井澤由美子さん

旬の食材を使い、食べ合わせによる体への相乗効果を大切にしたレシピが人気。食育にも力を注ぐ。一女の母。

『めばえ』2014年9月号

【2】だし巻き卵

和食の定番だし巻き卵。中をちょっと半熟にして巻くとふんわりしますよ。

◆材料

(大人2人+子ども2人分)
卵 6個

【A】
水 120cc
和風だしの素 小さじ1/2
みりん 大さじ1
酒 小さじ1
塩 少々

サラダ油 小さじ2

◆作り方

【1】耐熱容器に【A】の水とだしの素を入れ、電子レンジ500Wで1分ほど加熱する。熱いうちに、ほかの材料を加えて混ぜる。
【2】ボウルに卵を割りほぐし、菜箸で切るように混ぜ、【1】を加えて混ぜる(卵をほぐしたときに空気が入ることで、ふっくら焼ける。時間がたつと空気が減るので、焼く直前にほぐす。ほぐすときは泡立てると、なめらかに仕上がらないので注意する)。
【3】卵焼き器を中火で熱し、サラダ油の半量を広げる。箸先に【2】を少量つけてたらし、ジュッとすぐに固まれば適温。
【4】余分な油をペーパーで拭きとり、【2】 1/6量を流し入れ、大きな気泡ができたらつぶし、半熟状のうちに奥から手前に折りたたむように巻く(中に半熟状の部分を作ることでやわらかい食感になる)。
【5】卵焼き器の表面を油のついたペーパ ーで拭き、巻いた卵を奥に移動させ、【2】の1/5量を流し入れ、巻いた卵を菜箸で持ち上げて液を流し入れる。
【6】半熟状になったら、奥から手前に巻く。同様にもう1回繰り返す。残りの卵液で、同じ作業を繰り返し、もう1本作る。
【7】焼きあがったら、熱いうちにラップを敷いた巻きすで包み、1~2分おいて形を整え、食べやすく切り分ける。
*大根おろし、しょうゆを添えても。

◆ポイント

巻いた卵を奥に移動して、卵液を流す。

卵液が半熟のうちに、奥から手前に巻いてくる。

教えてくれたのは


ABC Cooking Studioさん

ABC Cooking Studioは、初心者の方にもおすすめの、料理・パン・ケーキ作りが楽しく学べる女性専用の料理教室です。少人数レッスン、復習にも最適なイラストレシピ、 HPや携帯からの予約など、システムが充実。入会金不要、1回完結の「1dayレッスン」や授業の雰囲気を体験できる「体験レッスン」を毎日開催しています。

『ベビーブック』2012年9月号

【3】ほうれん草のだし巻き卵

脳をぐんぐん成長させる最強育脳プレート。脳の伝達物質となる必須アミノ酸が豊富な献立です。

◆材料

(だし巻き卵1本分)
卵(Mサイズ) 2個
ほうれん草(ゆでてざく切りにしたもの) 1束分
【A】
だし 大さじ3(水大さじ3+だしの素ひとつまみでもOK)
しょう油、砂糖、みりん 各小さじ1

サラダ油 適量

◆作り方

【1】ボウルで溶いた卵に、【A】とほうれん草を加えてよく混ぜ合わせる。
【2】卵焼き用のフライパンに油を熱し、【1】の卵液を1/3量焼いて巻く。これをあと2回繰り返し、卵焼きを作る。

教えてくれたのは


りんひろこさん

料理家・フードコーディネーター・食育アドバイザー・薬膳アドバイザー。料理教室「みなとキッチン」主宰。京都で学んだ懐石料理と、アーユルヴェーダや薬膳など東洋の食養生の考えをもとにした、おいしく簡単な料理を提案。4歳と2歳、『めばえ』世代の子育てママでもある。

『めばえ』2018年10月号

 

構成・文/HugKum編集部

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