子どもの記憶力をトレーニングで伸ばそう!「暗記」と「記憶」は違う? 効果的な方法や習い事は?

人の記憶力は、日頃のトレーニングで鍛えられます。ただし、子どもの記憶力を伸ばすには、親の働きかけが欠かせません。親子で楽しみながら、一緒に記憶力を高めていきましょう。言葉遊びや習い事など、効果的なトレーニング方法を紹介します。

記憶力とは?

記憶力と聞くと「暗記が得意」「記憶力がなくて覚えられない」のように、「何かを覚えること」をイメージしがちです。また、歳を重ねるほど記憶力が低下すると思っている人も少なくありません。

しかし、「記憶力」と「暗記能力」は違います。暗記は子どもの方が得意ですが、記憶力は年齢に関係なく、歳を重ねてから鍛えることも十分可能です。

記憶力とはどのような能力なのか、具体的に見ていきましょう。

「暗記」と「記憶」は違う

「暗記」と「記憶」は似ているように思えますが、言葉の意味は全く違います。暗記とは、新しい物事を実物や正解を見なくても思い出せるほど、しっかりと覚えることです。

一方の記憶は、経験や学びを長く脳にとどめて忘れない状態を指します。子どもは大人に比べて脳に書き込まれた情報が少ないため、新しい物事を覚えるのが得意です。

しかし、忘れないように記憶する能力はあまり発達していません。このため一生懸命に暗記しても、翌日には忘れてしまうことがよくあります。

どんなに暗記が得意でも、記憶として定着しなければ意味がありません。記憶力を伸ばしてあげれば暗記した内容を忘れにくくなり、学習効率も上がるでしょう。

記憶力は鍛えられる

記憶力は、生まれつき持っている才能とはほとんど関係ないことが分かっています。記憶力が低い子どもも、鍛えれば大きく伸びる可能性があります。

また年齢を重ねたからといって、記憶力が低くなることもありません。記憶力が衰えたと感じるのは、新しい経験や学びの機会が減り、脳が刺激されないためです。

適切なトレーニングによって脳を刺激することで、大人も子どもも記憶力を高められるのです。

子どもの記憶力をアップさせるポイント

普段の会話や遊びに脳を刺激する要素を取り入れれば、子どもの記憶力はぐんぐん伸ばせます。親が意識したい、日常生活のポイントを見ていきましょう。

親子でたくさん会話をする

うれしかったことや悲しかったことは何年たっても鮮明に覚えているように、感情と結びついた出来事は記憶に残りやすいものです。

特に、人は楽しいことがあると脳が活性化し、より記憶しやすくなります。

子どもにとって、パパやママとの「楽しい会話」は記憶力向上のきっかけになります。難しい文字が書けたときや、大人顔負けの知識を覚えてきたときなどは、どんどん褒めてあげましょう。

褒められると子どもはうれしくなり、「もっと練習したい」「もっと新しいことを覚えたい」という気持ちが芽生えます。楽しい気持ちで勉強に取り組めるので記憶力が高まり、暗記した内容も忘れにくくなるでしょう。

また、普段から子どもにたくさん質問することも効果的です。「今日はどんな漢字を習ったの?」「友だちと何をして遊んだ?」などと話しかけてあげると、忘れかけていた出来事を思い出そうとして脳が働き、記憶力が鍛えられます。

繰り返しが大切

記憶を定着させるためには、反復練習も大切です。人は何かを覚えても、1時間も経てば半分以上忘れてしまうといわれています。

覚えたつもりの漢字がテストで書けないのも、時間が経つと忘れてしまうからです。しかし、一定の間隔で反復練習をすれば、記憶にしっかりと定着し忘れにくくなります。

子どもに何かを覚えてほしいときは、時間をあけて何度も答えさせるとよいでしょう。例えばかけ算を習った翌日に、「8×7っていくつだっけ?」と聞いてみます。

質問されると子どもは答えを出そうとして、頭の中で「8×7」の計算を思い出します。質問に答えることで学んだことの復習ができ、記憶力を高められるのです。

興味や楽しむ気持ちを持たせる

興味があるものや好きなことはすぐに覚えるのに、きらいなことは覚えられないという経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

子どもも同じで、興味のないことを無理矢理やらされても嫌な記憶しか残りません。子どもが自ら楽しんで学べる環境こそ、記憶力の向上を助けるのです。

例えば、虫が好きな子なら、公園で見かけた知らない昆虫に興味を持ち、図鑑やインターネットを使って自ら調べようとするでしょう。昆虫の生態を調べているうちに、他の動物や草花、地球環境問題など、興味はどんどん広がっていきます。

楽しむ気持ちを持たせることで自主的に学ぶ姿勢が自然に身に付き、他の分野の学習にも前向きに取り組めるようになります。

記憶したことをアウトプットさせる

記憶の定着には、「誰かに話す」「書く」といったアウトプットも有効です。漢字や英単語などは目で見て覚えたつもりでも、書いてみると間違いに気づくことがあります。

友だちに勉強を教えて欲しいと言われて、分かりやすく伝えるために記憶を整理し直すこともあるでしょう。

アウトプットすることで、あいまいになりがちな記憶がはっきりとした形で見えるようになり、記憶がしっかりと定着します。

アウトプットは、小さな子どもでも簡単にできます。前の晩に読み聞かせた本の内容を話してもらったり、園や学校で習った歌を教えてもらったりして、記憶のアウトプットを促してあげるとよいでしょう。

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言葉遊びで記憶力のトレーニングを

言葉遊びは、親子のコミュニケーションを深めながら記憶力が鍛えられる楽しいトレーニング方法です。保育の現場でも取り入れられている、おすすめの言葉遊びを紹介します。

逆さ言葉遊び

単語を反対に読むだけの、単純な遊びです。単語を構成する文字を思い浮かべ、逆から正確にたどっていくことで記憶力が培われます。

簡単そうに見えて意外に難しいので夢中になりやすく、大人も楽しめるでしょう。

「くるま」「ケーキ」などの短い言葉から始めて、慣れてきたら少しずつ長くしていきます。大人と子どもで、交互に問題を出し合ってもよいでしょう。

「しんぶんし」のような、どちらから読んでも同じ言葉を見つけて遊ぶのもおすすめです。

YES・NOクイズ

解答者がさまざまな質問をしながら、出題者が用意した答えを当てるクイズです。出題者は、解答者の質問に対して「YES」か「NO」で答えます。

答えが「ネコ」の場合、「それは食べ物ですか?」「いいえ」、「それは動きますか?」「はい」のように会話を進め、最終的に「ネコ」にたどり着けば終了です。

出題者も解答者も自分の記憶を整理しながら会話をするため、脳の活性化が期待できます。

言葉集め

「言葉集め」は、同じテーマの言葉をたくさん集めるゲームです。1人ずつ順番に言葉を出し合い、新しく出てこなくなったら終了です。

テーマは何でも構いませんが、兄弟や友だちと一緒にやる場合は「うみ」「うさぎ」のように最初の文字が同じ言葉や、「バナナ」「レモン」のように色が同じ言葉など、誰でも分かるものがよいでしょう。

子どもと一緒に、面白いテーマを考えるのもおすすめです。鉄道好きな子なら、駅名や電車名をテーマにすると夢中になれるかもしれません。

また、言葉を一通り集めた後で「こんな言葉もあったよ」などと声をかけてあげると、より記憶に残りやすくなります。

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記憶力アップに効果的な習い事はある?

習い事の中には、記憶力の向上に効果的とされているものがあります。子どもの習い事を決めるときに、参考にしてみましょう。

ピアノ

楽器を演奏すると、記憶力が向上するといわれています。楽器の演奏中は目で楽譜を追い、手足を動かして音を出し、耳で聞くといったように、一度にいろいろな動作をするため、脳が活発に働くのです。

特に、両手と足を同時に動かすピアノは、脳によい刺激を与える楽器として知られています。また、ピアノ教室で同じ曲を繰り返し練習することで、楽譜を暗記する力も養われます。

ピアノを習えば音楽の感性が高まるだけでなく、記憶力を伸ばすことも可能なのです。

そろばん

そろばんで正解を出すためには、問題の数字を目や耳で正確にインプットし、間違えないよう玉を弾かなくてはなりません。このため、そろばんを習うと脳全体が活発に動き、集中力や記憶力が鍛えられるのです。

また、そろばんの暗算では、主に右脳の後頭部の領域が使われます。子どものときにこの領域が発達すると、衰えないとされています。

右脳は記憶を司っている分野なので、小さい頃からそろばんを習わせて右脳を鍛えることは、記憶力の向上に役立つといえるでしょう。

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記憶力を下げてしまう原因

記憶力は鍛えれば上がりますが、心身のコンディションが悪いと下がることもあります。記憶力を下げる主な原因を見ていきましょう。

寝不足

記憶や思考をコントロールするのは、脳の中の「海馬」と呼ばれる部分です。海馬の体積が大きいほど、記憶力は高くなるといわれています。

海馬の体積は、睡眠時間に影響されることが分かっています。寝不足の子どもは、十分に寝ている子どもに比べて海馬の体積が小さく、記憶力も下がってしまうのです。

また、人は睡眠中にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。脳はレム睡眠のときに起きていた間の記憶を整理し、定着させています。寝不足が続いてレム睡眠が訪れる回数が少なくなると、記憶の定着がうまくいかず、すぐに忘れてしまうのです。

寝不足は記憶力低下に直結するため、子どもには早く寝る習慣をつけさせ、十分な睡眠時間を確保する必要があります。

緊張やストレス

緊張やストレスも、記憶力が下がる原因の一つです。脳が緊張やストレスを感じると、「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンが分泌されます。

ストレスホルモンがたくさん出ると、脳の海馬が委縮して体積が小さくなり、記憶力が下がるのです。

ストレスは、不安な気持ちや怒りの感情を押さえつけている状態を表します。子どもの場合は、パパやママが不機嫌だったり、友だちとケンカしたりすることでストレスがたまると考えられます。

「テストでよい点を取らないと叱られる」「失敗したら笑われるかもしれない」といった緊張状態も、子どもにとっては大きなストレスです。

親がプレッシャーをかけないように心がけ、よく話を聞いてあげることで子どもは安心し、ストレスホルモンが分泌されにくい状態を作ってあげましょう。

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記憶力を上げるポイントは好奇心

記憶力を高めるには、脳をよく刺激する必要があります。脳を刺激するきっかけは好奇心です。好奇心をくすぐられる物事は、放っておいても覚えられるでしょう。

子どもの好みをいちばん分かっているのは、やはりパパとママです。子どもの好奇心を上手に引き出して、記憶力の向上に役立てましょう。

構成・文/HugKum編集部

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