入園グッズなどをなんとかそろえて、ようやく入園! ホッと胸をなでおろしたのもつかの間、入園翌日から始まる怒涛の日々は、登園前の行き渋り、急変した生活リズムによる不調など、新たな悩みが尽きません。
HugKum編集部では、お子さんが通園中のママ・パパにアンケートを実施し、入園後のお悩みについてリサーチ。これらの不安に、小学館アカデミー・いちかわ南保育園の阪本由紀園長先生が答えてくれました!
目次
園生活のスタートで新たな悩みが…<入園後 編>
入園してひと安心、と思ったら新たな問題が発生!? 園児によくあるお悩み、どうすればいい?
登園前の行き渋りを解消したい!
【Q.1】仲の良いお友達とクラスが離れてしまい、園に行きたくないと泣きます。
【A.1】「◯◯ちゃんと一緒がよかった」などとお子さんから言われると、おうちの方も不安だと思います。でも、そのような話をしていても、子ども同士が仲良くなるのには時間がかからず、自然と新しいお友達もできるので、あまり心配することはないと思います。
長引く場合は、「こんな話を家でしていました」「◯◯ちゃんと離れて寂しがっています」と、お子さんの様子を先生に伝えてみてはどうでしょうか?
2クラス以上ある園ではクラスの垣根を越えた合同保育をする時間がときどきあるので、そのようなときは仲が良かったお友達と一緒に遊ぶ時間があり、触れ合う機会を増やせると思います。
また、クラスにいるときは寂しい思いをしないように、新しいお友達作りのための働きかけをすることもできます。ぜひ相談してみてください。
【Q.2】登園時、親と離れるときになると、いつも子どもが号泣して辛いです。
【A.2】おうちの方にとっては辛い瞬間だと思います。私たちも、かわいそうかな……と思うこともあるのですが、そういうお子さんは、お迎えの時はとっても笑顔なんですね(笑)。
ママ・パパたちが出ていかれた後、気持ちを切り替えてケロッとする子もいるし、少し長泣きしてしまう子もいますが、その後は園で楽しく過ごしているお子さんがほとんどです。
朝、不安な状態でお別れをしていると思うので、安心していただけるように、お子さんの日中の様子を連絡帳での記載や降園時にお伝えするようにしています。「◯◯遊びのときに笑顔が出てきました」などと保護者の方と共有して安心して過ごせるよう努め、お子さんが楽しく過ごせる時間が増えるといいと思っています。
元気すぎ、控えめすぎ……わが子の性格でお友達とうまくやれる?
【Q.3】元気すぎて他の子の迷惑になっていないか気がかりです。
【A.3】元気なお子さんは、とても良いことだと思うんですね。ただ迷惑になりそうなときは未然に防ぐようにしています。
職員はすべてのお子さんを公平に見ているので、他の子とトラブルになりそうだったら仲立ちをしたり、もし危険なことがあれば止めたりします。
お話しできる年齢のお子さんであれば、お子さん同士で話し合いをする機会を持つようにもしています。
【Q.4】控えめな性格の子なので、おもちゃを人に譲ってばかりなど損をしていないか心配です。
【A.4】元気すぎる子に対して控えめなお子さんもいますが、お子さんの性格を把握しながら、それぞれが楽しい気持ちで過ごせるようにしています。
例えばおもちゃを人に譲ってばかりいるお子さんが、本当は貸したくなさそうな表情をしているときには、「おもちゃ、貸したくないのかな?」などと声をかけたりすることもあります。
お子さんが「◯◯ちゃんにおもちゃを取られた」などとお話しするようであれば、現場ではまれに気付けないこともあったりするので、ぜひ先生に伝えてください。積極的に関わって改善していくことができると思います。
先生とのコミュ術・相談方法はこうする!
【Q.5】お友達とのトラブルや、先生の態度で気になる点など、不満があった場合はどのように伝えるのが良いでしょうか。直接先生に聞いてもよいもの? 連絡帳を使うべき?
【A.5】先生への不満は、本人に伝えにくいと思うので、園長先生や別の先生に伝えるのがといいと思います。
トラブルについては連絡ノートに書くほか、園で先生に声をかける、園に電話をする方法もあります。園によっては意見箱を用意してあり、そこに投書できるようになっていることも。周りの目も気になると思うので、やりやすい方法でお伝えするのがいいと思います。
トラブルの内容をお子さんから聞いた場合、子どもの話はきちんとした流れになっていないこともあるので、改めて園の先生と話をすると「実はこういうことでした」と判明することもあります。
不安や不満に思われたことはため込まずに、相談されてみてはどうでしょうか。
子どもの生活習慣・食、これで大丈夫?
【Q.6】園に通い始めてから、子どもの就寝時間が遅くなりました。朝起きるのも苦手です。
【A.6】集団生活になると環境が変わり、日中の活動も増え、お友達との関わりの中で気持ちが高ぶって、夜眠るのが遅くなることがあります。すると、朝起きるのも苦手になる場合があります。
園や年齢にもよると思いますが、夜なるべく早く就寝できるよう、保育園でのお昼寝時間を30分程度短くしたり、日中の活動を増やした方がいいかななどと調整もできます。
土日は昼寝をしないという習慣のお子さんにも、お昼寝の時間を短くするなど調整をしていますので、通っている園に相談してみてください。
【Q.7】園の給食を嫌がるのですが、お弁当を持たせてもよいでしょうか?
【A.7】お子さんがご家庭で作ったお料理を好むのはわかりますが、栄養士が考えて作った給食は栄養的にバランスがいいだけでなく、さまざまな食材や味覚に触れられるメリットがあると思います。
毎月の献立を事前にお出しているので、食べられない・苦手と思われる料理は「少しだけでも食べようか? でも残してもいいよ」と働きかけて、少しずつ食べられるようにしています。
また、アレルギーの場合は体の反応があるので除去食を用意しています。当園では、偏食などが理由でしたら給食を食べていただくようお話をしています。
コロナ対応、役員決め……ママ・パパの心配あれこれ
【Q.8】コロナの影響で行事が縮小されたり、ママ・パパ同士の交流もなかなかできなかったり、不安な気持ちでいっぱいです。
【A.8】今、園に通われている方は、このところ行事が縮小され、残念に思われていると思います。入園されたばかりの頃は「ママ・パパ同士、お顔がわからないわ」と心配でしたでしょう。
このように顔を合わせる機会があまりない中、しかも密にならないよう気づかって、お迎え時も用事を済ませるとサッと教室を出られる保護者の方が目立ちました。
お子さん同士のつながりの中で、おうちの方同士が仲良くしたいという気持ちはあると思いますし、コミュニケーションも大事だと思います。
先ほどもお話しましたが、園便りや園内の掲示物などをきっかけにして、登園時やお迎え時、保護者の方同士、ちょっと声をかけてみてはいかがでしょうか。
【Q.9】保護者会や園の行事などで、委員や係など積極的に引き受けたほうが、子どものためになるでしょうか。
【A.9】お子さんのためというよりも、保護者の皆さんにも保育園のことを知っていただき、楽しさを実感していただくためにも、ぜひ参加してほしいと思います。
そうすると自然とお子さんの様子を知ることができ、お友達とのつながりもわかりやすくなり、園の楽しさがわかると思います。ママ・パパ同士の横のつながりが生まれ、仲良くなるきっかけにもなります。
「どんなものなのかな?」「いろんなことを頼まれちゃうのかな?」と心配かも知れませんが、園としても重荷になるようなことはお願いしないよう心がけていますので、ぜひ気軽な気持ちで引き受けてみてください。
「園は楽しいところ」と伝えて
最後にお話を聞いた阪本先生からママ・パパへのメッセージをいただきました。
「コロナ禍での入園・集団生活を、特に不安と感じている親御さんも多いことでしょう。保育園や幼稚園は春から皆さんが来るのをお待ちして、いろいろな活動を考えています。
行事については”減らす”というより、工夫をしながら変更を加えて、お子さんとおうちの方がコミュニケーションが取れる場を増やすようにしていきたいと思っています。今年もまだ状況が落ち着くのに時間がかかるかもしれませんが、できるだけ『園は楽しい場所だよ』と伝えていけるようにしていくつもりです。
通われてからも『あれっ?』と疑問に思うこともあるかもしれません。そんなときは、どうぞ遠慮なさらずに園の先生とコミュニケーションをとってみてください」
お話を伺ったのは…
阪本 由紀先生
保育園・幼稚園保育を経て、Shopro保育園12年目。保育士・主任・副園長・園長経験を重ねる。
協力/小学館アカデミー保育園 いちかわ南保育園
取材・文/村重真紀
https://hugkum.sho.jp/92014