新作はカメが主役の『かめかめたいそう』!
カメの甲羅や、ゆっくりした動きに惹かれます
――4月に『かめかめたいそう』が出版されました。カメをテーマに選んだ理由は?
齋藤:実はヘビも考えました。でも、手足がなくて(動きが)難しそうで…。あとは、アシカとかも考えたりしましたね。
――今回もまた実際に動物園に行かれましたか?
齋藤:はい。『ぺんぎんたいそう』も、動物の自然な動きがあってできたものなので、それは大切にしたいなと考えていて。いろいろな生き物を取材して、動きを見つけていく作業をしました。
動きのバラエティーが少ないものは絵本にしにくいし、アクロバティックすぎても子どもが一緒に楽しめない。カメはちょうどいいなと思い、それで決まりました。
――カメの魅力はどんなところだと?
齋藤:昔からカメの甲羅の感じが好きなんです。私はひとつの生き物を見ていると、いろんな色が感じられるんですね。それはどうやらちょっと変わった目らしいんですけど。
以前描いた『ながーい はなで なにするの?』というゾウの絵本でも、(ゾウの体の)グレーの中にいろんな色を使っているんですけど、あれも実際にじっと見ているとああいった色が見えてくるので、それを絵にしているんです。
カメの甲羅っていうのは複雑な色をしているので、惹かれますね。あと、ゆっくりな生き物なので面白い。私もわりとゆっくりなタイプなので(笑)。
――共感しやすい?
齋藤:ペンギンもそうなんです。フォルムとかも自分に似ているなって(笑)。
カメもなんとなく似ているような感じがしているんですよね。ゆっくりなんだけど、いざとなったらまあまあ早く走るみたいなところとか。
――ピンクとブルーのカメが印象的です。
齋藤:これも『ぺんぎんたいそう』の考え方でいくと、そのままの色のほうが自然な気もしたんですけど、実際のカメって全体的に黒っぽいんですよね。
そのまま描くのもいいけれど、赤ちゃん向けの絵本ですし、私の中でも自然なカメを表現するのにピンクやブルーでもあまり違和感がないように感じたので、編集者さんと相談しながらこの色に決めたんです。
当初は花柄なんていう案もありました。
読み聞かせした子どもたちの反応も参考に
――カメの動きのこだわりは?
齋藤:カメに関しても、ずっと観察をして、実際にやっている動きを描いています。
動きのラインナップを並べて、実際に体操をやるっていうことを前提に考えて作っているので、この流れがやりやすいとか、体を動かしながら決めていきました。
一番の見せ場は、「おなかをみせて~ぱあ!」のところ。「ひっくりかえって~ころんっ」はちょっと大変かも(笑)。でも昨日、『かめかめたいそう』の動画を撮影してきたんですが、子どもたちがみんなそろってやってくれて、もう完璧でした!
――「ころんっ」は子どもが好きそうです。
齋藤:「読み聞かせる」っていうことでは、絵本から離れてごろんごろん転がってしまうでしょうね(笑)。だから、どういう言葉を使うかも考えました。
「ころんっ」のあとは「もとにもどって」っていう直接的な言葉にしないと、子どもたちが戻ってこられない。最初は「くるりん、とん」という擬音だったんですが、少し戻りづらそうだということで、変えました。
――子どもたちの反応によって文言を変えたりしているんですね。
齋藤:コロナで実際に見に行くことはできなかったんですが、保育園の方にご協力いただいて反応を教えてもらって、「あ、ここはちょっとわかりづらいんだ」というところは言葉を考え直したりしましたね。それはすっごく助かりました。
――今回は背景がパステルピンクです。こだわりは?
齋藤:ここが最後まで悩みまして…。ずっと白を背景に考えていたんですけど、紆余曲折ものすごくいろいろあって、やっぱり何か色があったほうがいいよね、となって。絵を描き始めるぎりぎりまで試作しました。
背景はやっぱり一番大きな面積を占めるところですし、『ぺんぎんたいそう』の黄色を「すごくいい」と言ってもらえていることもあったので、本当に悩みました。
――『ぺんぎんたいそう』とはまたガラッと変わりましたよね。
齋藤:カメののんびり感っていうのを、1冊の絵本の中で表現する意味ではすごくよかったのかなと思います。
時間帯でいうと、ペンギンが午前中で、カメは昼間とか午後のイメージ。ちょっとお腹いっぱいになってお昼寝しようかなっていう感じのときですね(笑)。
――それなら夜の絵本もアリですね。
齋藤:そうですね。深夜もあるかもしれない(笑)。
――今回も反響が大きそうです。
齋藤:自分の中ではベストを尽くして、いいものになったと思っています。心の励みになったのは、絵本を見せた子どもたちが1回目から(体操を)やってくれていたこと。すごく心強かったですね。
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