牡蠣を保存する前に
牡蠣には「加熱用」と「生食用」に分けて売られていますが、これは鮮度の違いではありません。「加熱用」の牡蠣よりも、高い衛生条件で育てられた牡蠣が「生食用」です。ですから、「加熱用」が新鮮だとしても、生で食べてはいけません。
一般的には「加熱用」のほうが旨味はあり、栄養分も豊富とされているそうですよ。
牡蠣の常温放置は×
牡蠣を常温で放置しておくと、食あたりの原因となるウイルスが増え、とても危険です。決して常温で保存してはいけません。むき身の場合は5℃以下での保存が必要です。
ただし殻付きの生牡蠣の場合は、密閉したり冷やしすぎたりすると死んでしまいます。10℃以下の場所に保管してください。また、空気の流れを止めないようにして保管すると、なお良いそうです。
生きていなくても加熱することで問題なく口にできるそうですが、もしも匂いが出ている牡蠣があれば、念のため破棄してください。海で獲れる生き物ですから、完全な管理はできない点を忘れないことが、食あたりを防ぐ対策かもしれません。
殻付き牡蠣をむいてから保存したい場合
水揚げされたばかりの殻付き牡蠣は、あさり貝と同じで数日は生きています。その日のうちに食べなくてはいけないわけではなく、次の日までは生食もできます。
また、身をむいて保存すると1日程度は生食できる期限が伸びます。生食にこだわらなければ、加熱調理にも使いやすいので食あたりへの心配が減らせます。味わいの幅も広がりますから、むき身での保存は良い面が多いですね。
届いた日に処理が難しくても、2~3日の内にまとめて処理をしたいところです。
新鮮でも食中毒を起こすことがある!
牡蠣の食中毒は、新鮮なものでも起こすことがあります。以下の注意点を守って口にするようにしてください。
・「加熱用」を生では食べてはいけません。必ず加熱してから食します。
・ウイルスの死滅は90℃で90秒の加熱が必要です。中心部までしっかりと火を通します。
・食べる直前まで常温で放置しないようにして、盛り付けたあとはすぐに食べます。保存期限を守ってできるだけ早く召し上がってください。
これらの注意と共に、体調が悪い時は大量に食べない事も大切です。また、もともと体質が合わない方も残念ながらおられます。そのような場合は、食べるのは控えてください。
殻付き牡蠣の下処理
殻から身をはずす方法と、きれいに洗うまでの下処理ついては、こちらで詳しくご紹介しています。やってみると案外簡単ですから、ぜひご参考にしてみてください。
むき身の保存方法
それでは、おいしく食べられる保存の方法を詳しくみていきます。
お店などで目にする機会が多く、手に入りやすいのはむき身の牡蠣ですね。身が縮んでしまわないよう、塩水を使って保存する方法をご紹介します。
牡蠣(むき身)の冷蔵保存方法
【1】塩水と一緒にパックされている牡蠣は、そのまま冷蔵庫で保存します。
【2】ご自分でむき身にした場合は、3%の塩水に浸けて保存します。あさり貝の塩抜きと同じで、500mlの水に15g(大さじ1弱)の塩をタッパーなどに溶かします。
【3】塩水に牡蠣のむき身を浸し、冷蔵庫で保存します。
保存期間
生で食べるのなら、水揚げから5日間、加熱して食べるなら1週間を目安に保存します。できる限り早めの消費を心がけてください。
保存食にも!牡蠣のオイル漬けの保存方法
加熱してオイル漬けにしておくと、生のままよりも衛生面で安全な他、アレンジ料理に使いやすくなります。
牡蠣を浸したオイルの旨味は絶品です。堪能するにはバゲット、パスタ、野菜など、方法は多彩なので、新鮮なうちに作ると楽しみが広がります。
材料
牡蠣(むき身) 200g
白ワイン 大さじ1
オリーブオイル 適量(保存用の瓶の大きさに合わせてください)
ローリエやローズマリーなどのハーブ 適量
作り方
【1】牡蠣をよく洗い、フライパンに並べて中火にかけます。水分が出てきたら白ワインを加え、蓋をして2分間蒸し焼きにします。
【2】蓋をとり、水分がなくなるまで蒸発させてください。
【3】保存瓶に牡蠣を詰め、オリーブオイルとハーブを入れて完成です。
保存期間
煮沸消毒をした清潔な保存瓶を使い、牡蠣の身がオイルに完全に浸った状態であれば、冷蔵で2週間の保存期限です。ですが、痛みやすい牡蠣ですから、できるだけ早めに食べるほうが安心して食べられますよ。
殻付きの保存方法
殻付きの牡蠣は、水揚げされた後も数日間は生きています。密閉してしまうと、息ができずに死んでしまうので、気をつけてくださいね。
牡蠣(殻付き)の冷蔵保存方法
【1】殻付きの牡蠣は、あまり重ならないようにして容器に入れます。容器に傷がつかないように、下にキッチンペーパーを敷いておくと安心です。
【2】濡らしたキッチンペーパーを牡蠣にかぶせて、乾燥から守ります。このペーパーは乾かないように気をつけてください。
【3】密閉しないようにラップをふんわりとかけ、冷蔵庫で保存します。
保存期間
生牡蠣は、家に到着後2日間の保存期限です。購入したお店からの情報をよく確かめて、なるべく早く食べてください。
牡蠣の冷凍保存法
牡蠣は冷凍保存もできます。冷凍することでさらに長く1ヶ月ほどの保存も可能になります。殻付き・むき身の場合別に冷凍方法をご紹介していますので、詳細はこちら ↓ の記事をご覧ください。
オイスターグレーは適切な保存から
牡蠣が「海のミルク」と呼ばれるのは高い栄養価からですが、灰色がかった美しい乳白色も魅力のひとつですね。オイスターグレーと呼ばれ、新鮮だからこそ目にすることができます。
適切な保存で新鮮さを保ち、守るべき点にはよく注意をしながら、牡蠣の栄養と旨味を心ゆくまで味わってくださいね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)