礼儀やお礼など、日常に使う言葉の中でもきちんとした場面で使うことが多い印象の「礼」。名付けでも男女ともに使える礼は、名前でも人を尊重し、感謝の心を大切にしてほしいママパパにおすすめの漢字です。
この記事では、礼の成り立ちや意味、名前における礼のイメージについて解説。男女別に礼を使ったおすすめの名前もご紹介します。
礼の成り立ち
礼は「ネ(しめすへん)」と「乚(イン、かくれる)」で構成されている漢字です。主な読みは「れい」「らい」、人名に使える読みは「のり」「まさ」「あき」「みち」「ひろ」などさまざま。
▼ネ(しめすへん)
「ネ(しめすへん)」は神や祈といった漢字にも使われているように、神様に関する言葉に付く部首です。もともとは「示」であり、こちらも祠(ほこら)や祇(ぎ)といった、やはり神事にまつわるものでした。
▼乚(イン、かくれる)
「乚(イン、かくれる)」は隠す、人目に付かない場所、ひそかといった意味を持ちます。現在では見ることのない漢字ですが、古くは現在の「隠」と同じように使われていました。
礼の旧字体は「禮」。日常ではあまり使われない漢字ですが、名字などで知っている方も多いのではないでしょうか。ちなみに、2004年からは「禮」も名付けに使うことができるようになっています。
礼の由来と意味
礼儀、お礼など日常でも良く使う礼。馴染みのある漢字ですが、意外に知られていない意味もあります。ここからは、礼の由来と意味について解説します。
人との関係に欠かせない「敬意」、「礼儀作法」
礼の一番よく知られている意味は、礼節や礼儀作法といった、人との関係で大切な「相手を敬い尊重する」気持ちや行動です。
「親しき仲にも礼儀あり(どんなに仲が良くても相手への礼儀は忘れてはいけない)」、「三顧の礼(上下関係にとらわれず、相手に礼を尽くすこと)」といったことわざや慣用句にもあるように、礼は人との関係においてとても重要な姿勢を指します。
「決まりごと」「儀式」
礼には、政治や宗教上の重要なイベントや儀式、またそこで行う行為を指す言葉でもあります。
例えば、お正月に初詣に出向いた際に行う「二礼二拍手一礼」のなかの礼は、神へのあいさつや敬意を示す行為です。腰を90度に曲げて、普段より深く礼をするという作法は今も実践されていますね。また、キリスト教の一部の宗派の儀式にも「堅信礼」という名前のものがあります。
天皇が即位するときの儀式は「即位礼正殿の儀」「即位の礼」と呼ばれ、日本では古来より政治の重要なイベントを指す漢字としても用いられてきました。
「贈り物」
礼の意味として意外に見落とされがちなのが「贈り物」。「お礼」「御礼」には、感謝の気持ちと共に贈る物品の意味もあります。お祝いに対するお礼の品は「返礼」、またお中元は古くは「盆礼」とも呼ばれていました。
「プレゼント」「贈り物」といった名称を「礼」を使ったものにすると、背筋が伸びるような、きちんとした印象になります。
礼の旧字体「禮」の意味
礼の旧字体は「禮」。神にまつわる漢字に使われる「示」と「豊」から成ります。「豊(れい)」は神に捧げる甘酒をあらわし、「禮」は神事を指す漢字でした。
これが時代と共に意味を変え、神との関わりだけでなく、人との関係における姿勢を指すようになりました。
礼を使った名前はどんなイメージ?
礼の本来の意味が分かったところで、名前における礼の意味やイメージについても知っていきましょう。
どんなときにも礼義や作法を忘れない気高さ
親しい友達や家族との間でも欠かすことのできない「礼義」。相手を尊重し、尊敬できる関係はその人自身を育ててくれる大切なものです。
礼を使った名前には、どんなシチュエーションや間柄でも礼義や作法を忘れない、芯のある気高い人というイメージが込められます。
周囲への感謝の気持ちを忘れない人に
礼を使った名前には、周囲の人への感謝を忘れず、常に謙虚な気持ちを持ち続けられる人という意味が込められます。どんなに優秀な人でも、謙虚さや感謝の心を忘れてしまえば成長は止まり、人間関係にも良くない影響を及ぼしてしまうものです。
人への敬意を失うことなく、助け合い、感謝しながら生きていけるようにという願いを込めて、礼という漢字を使ってみてください。
礼を使った女の子の名前5選!
礼子(れいこ、あきこ、のりこ、まさこ)
女性の名前に使われることが多い「子」は、賢さや品格をあらわします。礼子は、どんな年齢になっても違和感なく、上品さが保てる名前です。読みのバリエーションが多く、気に入った響きが選べるのもポイント。
礼(れい、あや、あきら)
2音の名前は近年人気なので、「れい」「あや」という読みを持つ礼1文字も、女の子の名前としておすすめです。凛とした字面が特徴の礼は、すっきりと背筋の伸びた人のイメージが込められます。
礼夏(あやか、のりか、れいか)
夏という漢字には、エネルギッシュ、生命力にあふれて活発なイメージが込められます。子どもの健康や元気の良さ、活発さを持ちながらも、きちんと礼儀を知っている人になってほしいという願いを込めて。
礼乃(あやの)
乃は近年、女の子の名前の止め字として人気の漢字。しなやかさや美しい心身を願って用いられます。
礼乃という名前には、人への感謝や礼儀を忘れない美しい心を持ち、人から愛されるようにという意味が込められます。
真礼(まひろ、まれい)
真実や真心といった、嘘いつわりの無い様子や物事の本当の姿を指す真という漢字は、名前でも表裏の無い性格や本質を見抜く力を願って用いられます。
人に本心から尊敬や感謝の念を抱くことができる実直さを願って。
礼を使った男の子の名前5選!
礼人(あきと、あきひと、のりひと など)
人は、男の子の名前の止め字として人気の漢字。日ごろ良く見かける漢字ですが、名前では組み合わせた漢字に合わせてさまざまなイメージを持たせることができます。
礼人という名前には、礼儀正しく謙虚な人、人との関係を大切にできるようにといった願いが込められます。
暁礼(あきひろ、あきのり)
夜明けを意味する暁という漢字は、前向きで明るく、物事を見通す力を願って用いられます。
暁礼は、人への尊敬や感謝の気持ちを持ち、明るい性格で人に好かれるようにという願いが込められる名前です。
健礼(たかのり)
体の丈夫さや健康を願って用いられる健。体だけでなく、すこやかでまっすぐな心を願って用いられます。
健礼は、心身ともにすこやかに育ち、人と良い関係を築いてほしいという願いが込められる名前です。
礼一(れいいち、のりかず、まさかず など)
一は物事の始まりや頂点、唯一無二といった意味を持ち、また名前では長子に用いられることも多い漢字です。礼一という名前には、礼節、礼儀を忘れず、人の輪で重要な存在になれるような人物になってほしいという意味が込められます。
礼士(れいじ)
博士、武士、名士などの言葉のように、士には学や技術を身につけた立派な人という意味があります。
礼士は、優秀ながらも謙虚な心や感謝の気持ちを忘れない人になってほしいという願いが込められる名前です。
名付けのポイントと注意点
ここからは、赤ちゃんの名前を考えるときのポイントや注意点をご紹介します。
名前の響き
名前は実際に呼び合うことも多いので、字面や意味だけでなく響きも大切です。
口に出してみて違和感が無いか、名字とつなげて呼んだときのバランスも確認してみましょう。
名前の意味
漢字にはさまざまな意味があり、名付けにはママパパの願いを託せる文字を選びます。
お子さんにどんな人に育ってほしいのか、名前に込める意味に合う漢字を探してみましょう。
姓名判断
日本では古くから、名前の字画からその人の性格や運命を占う姓名判断がさかんに行われてきました。
神経質になる必要はありませんが、気になる方は調べてみましょう。姓名判断は、Webサイトで手軽にできるものから、お寺や神社で行う本格的なものまであります。
凛とした、きちんとしたイメージなら礼がおすすめ!
礼には人との関係でとても大切な礼節や感謝の心といった意味が詰まっています。生きていく上で、人間関係は欠かせないものです。助け合い、感謝し合いながら人生を歩んでいけるように願う方や、きちんと礼儀を保ち、凛とした人に育ってほしい方は、ぜひ名付けに礼を検討してみてはいかがでしょうか。
文・構成/HugKum編集部