赤ちゃんは1日の大半を寝て過ごします。夜の就寝時間は何時頃がよくて、理想の睡眠時間はどのくらいなのでしょうか?
また、日本の赤ちゃんは就寝時間が遅いと言われていますが、赤ちゃんの寝る時間が遅いと、成長ホルモンや免疫力など、赤ちゃんにはどんな影響があるでしょうか? 赤ちゃんの就寝時間を早くするための工夫とともに見ていきましょう。
目次
赤ちゃんの就寝時間はどのくらい?
「寝る子は育つ」とか「赤ちゃんは寝るのが仕事」などと言われるように、赤ちゃんは1日のほとんどの時間を寝て過ごします。日本や外国の、赤ちゃんの睡眠状況について見ていきましょう。
日本の赤ちゃんの就寝時間は遅い
アメリカのフィラデルフィアこども病院の教授たちが、0~3歳の赤ちゃんの就寝時間について、世界17ヵ国で行った2010年の調査の結果をご紹介しましょう。
それによると、日本の赤ちゃんの睡眠時間は、17か国中で17位と最も短いことがわかりました。また日本の赤ちゃんの平均就寝時間は午後9時17分、17か国のうち10番目に遅い時間という結果でした。
世界の赤ちゃんの就寝時間は?
日本以外の国の赤ちゃんの平均就寝時間は、ニュージーランド、アメリカなどが比較的早く、一方でアジアの国々は比較的遅めの時間であることがわかりました。
- ニュージーランド:午後7時28分
- イギリス:午後7時55分
- アメリカ:午後8時52分
- 中国:午後8時57分
- 日本:午後9時17分
- 韓国:午後10時6分
- 香港:午後10時17分
参考:Cross-cultural differences in infant and toddler sleep
赤ちゃんの理想の睡眠時間や就寝時間はどれくらい?
世界的に見ても、睡眠時間が短い日本の赤ちゃん。では、理想的な睡眠時間はどれくらいで、就寝時間は何時くらいなのでしょうか?
理想の睡眠時間
赤ちゃんの睡眠時間は、月齢によって異なります。生まれたばかりの赤ちゃんの睡眠時間が最も長く、成長にあわせて、日中に起きている時間が長くなり、1日の睡眠時間は短くなっていきます。
赤ちゃんの1日の睡眠時間の目安は、次のとおりです。
・生後0~1ヶ月:16~20時間
・生後1~3ヶ月:14~15時間
・生後3~6ヶ月:13~14時間
・1~3歳:11~12時間
参考:未就学児の睡眠指針(愛媛大学医学部附属病院 睡眠医療センター 厚生労働科学研究費補助金 未就学児の睡眠・情報通信機器使用研究班)2018 年 3 月 31 日発行
赤ちゃんの睡眠の特徴や、月齢別の快眠方法などの詳細は、下記の記事で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。
理想の起床時間
赤ちゃんは1日の大半を寝て過ごしていますが、ママ・パパと一緒に過ごすことで、昼は活動して、夜は寝るといった基本的な生活リズム、そして体内リズムを身につけていくことが大切です。
そのためにも、朝は遅くまで寝かせているのではなく、徐々に毎朝決まった時間に起こすようにしていくとよいでしょう。
理想の就寝時間
赤ちゃんを夜間に預かる施設などでは、夜の就寝時間は午後7時が多いようです。ママ・パパの生活スタイルや各家庭の事情がありますので、午後7時に赤ちゃんを寝かせることはなかなか難しいかもしれませんが、できれば午後8時頃までには寝るように習慣づけられるとよいでしょう。
赤ちゃんの寝る時間が遅いとどんな影響がある?
できるだけ早く赤ちゃんを寝かせたいと思っていても、なかなかそうは行かないもの。ですが、赤ちゃんの寝る時間が遅いと、赤ちゃんの成長にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
将来の肥満
子どもの睡眠不足が将来の肥満につながりやすいことが、いくつかの調査で指摘されています。健康な子どもに育てていくためにも、夜は早く寝て十分な睡眠時間を取る生活リズムを、赤ちゃんのうちから身につけていくことが大切です。
赤ちゃんの就寝時間を早くするには?
ママ・パパの生活スタイルに合わせると、どうしても赤ちゃんも夜遅くまで起きていることになりがち。ママ・パパも赤ちゃんと一緒に生活スタイルを少し改善して、就寝時間を早くしてみてはいかがでしょうか。ここでは赤ちゃんの就寝時間を早くするための工夫を紹介します。
朝起きる時間を少しづつ早く
当然のことですが、就寝時間を早くするには、まず早起きすることが一番です。起床時間が遅いと、1日の活動時間が全体的に遅くなってしまい、就寝時間も遅くなります。
就寝時間が遅く、起床時間も遅いという悪循環から抜け出すために、まずは朝起きる時間を少しずつ早めていくようにしましょう。そしてママ・パパも、できるだけ朝型の生活スタイルにしていくことがおすすめです。
朝、日光を浴びる
朝、太陽の光を浴びると、セロトニンというホルモンが体内で分泌されます。セロトニンは、気分や意欲をアップさせる働きがあります。また、眠るために必要なメラトニンの材料になるため、朝、太陽の光を浴びてセロトニンを分泌させることは、夜しっかり眠ることにつながります。
朝、目を覚ましたらまずカーテンを開けて、赤ちゃんと一緒に太陽の光を浴びるようにしてください。
毎日、同じリズムで生活する
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ生活リズムが整っていません。ママ・ママと生活し、昼間に授乳や昼寝をすることで、生後1ヶ月頃から少しずつ生活リズムができあがってきます。
赤ちゃんにとっては、生活リズムを崩さないことが大切。週末や休日は遅い時間まで寝ていたくなりますが、できるだけ平日と同じリズムで生活するようにしましょう。
就寝1~2時間前に入浴する
人は体の深部体温が下がってくると、眠くなってスムーズに入眠できます。深部体温を下げることに有効なのが、入浴です。
お風呂に入ると体温は上がりますが、その後、徐々に深部体温は下がっていきます。就寝時間の1~2時間くらい前にお風呂に入っておくと、ちょうど就寝時間の頃に深部体温が下がり始め、気持ちよく眠りにつくことができます。
シャワーだけでは体温が十分上がりません。湯舟にしっかり入るようにしてください。だたし、体が小さい赤ちゃんは、のぼせやすいので注意しましょう。
ルーティンを決める
赤ちゃんの就寝時間を早め、それを維持していくためには、夜寝るときのルーティン(約束事)を決めるとよいでしょう。
例えば、寝る部屋を暗くして、ママやパパが赤ちゃんの隣で寝ながら、体をやさしくトントンするなど、眠りに入るためのお決まりの行動を習慣化します。こうすることで、赤ちゃんは「夜寝る時間になったんだ」と理解でき、眠りにつきやすくなります。
夕方から、テレビを消す
テレビやスマホ、パソコンなどは、ブルーライトを放出しており、赤ちゃんを興奮させてしまうと考えられています。寝る直前まで、テレビやスマホの画面を赤ちゃんに見せることは避けてください。
赤ちゃんに質のよい睡眠時間をもたらすためにも、寝る前や寝かしつけにテレビやスマホなどを使うのはやめましょう。
パパの帰宅を待たない
パパにとって、毎日の赤ちゃんとのスキンシップは大切な時間です。でも仕事から帰って、赤ちゃんとスキンシップをはかろうとすると、どうしても夜遅い時間になってしまいます。ママも、「パパと赤ちゃんを会わせてあげたい」と思うかもしれませんが、赤ちゃんのことを考えると、そこは我慢することが賢明な選択です。
赤ちゃんとパパのスキンシップは、早起きして、朝の時間帯につくるなどの工夫をするとよいでしょう。
毎日の工夫で赤ちゃんの就寝時間を守ろう
世界の国々と比べても、日本の赤ちゃんの寝る時間は遅く、睡眠時かも短くなっています。できるだけ就寝時間を早くして、睡眠時間をしっかり確保することを心がけてください。
もちろん毎日の育児や仕事に忙しいママ・パパにとって、できること・できないことがあるでしょう。そのなかでも朝は早く起きて、パパと赤ちゃんのスキンシップの時間をつくるなど、できることから小さな工夫をしてみるのは、いかがでしょうか?
記事監修
河井恵美
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部