交通事故から子どもを守る!Hondaの「まもってトート」とは?「“魔の7歳”の安全について伝えていきたい」

50年続く安全運転普及本部の地道な取り組み

交通安全教育プログラムと、指導者の育成にも力を入れる

――ほかにはどんなプロジェクトが?

坂:「まもってトート」と同じ2019年に行った広報部のプロジェクトとしては「ドライブ中の隠れ脱水を防ぐ」というのもあります。

――隠れ脱水?

坂:車の中は乾燥しやすく、長時間運転していると、知らない間に体の水分が失われて、集中力が低下するというのが「隠れ脱水」です。そのことをもっと広めて、ドライブ中に水分補給してもらおうというものです。

――さまざまな角度から交通安全を啓発しているんですね。

坂:Hondaの交通安全の取り組みの歴史はすごく長くて、交通安全・安全運転普及に取り組む安全運転普及本部が発足してから50年経つんです。

日本の自動車メーカーで本部まで作って交通安全・安全運転普及に取り組んでいるのはHondaだけだと思います。

――具体的にどういった活動を?

坂:交通安全・安全運転教育プログラムの開発と、指導者の育成に力を入れています。

プログラムは、幼児、小学生低学年、高学年、中高生、お年寄り、職業ドライバーなど、いろいろな方向けに作っています。

交通安全教室を開催してくれるのは地域の交通安全指導員や、Hondaの販売店のスタッフなどですが、指導者になる方に講習を行い、講習終了後に教材をお渡しして、教室を開催していただくということをやっています。

子供向けの取り組みは、1995年に小学生向けの交通安全教育プログラム「あやとりぃ」を作ったのが始まりです。2019年度だと、幼児向けのプログラムは約35万人のお子さんに受講いただいてますね。

また、近年では幼児の保護者向けのプログラムも作っています。親の行動を子どもは見ているので、いくら「信号が点滅したら渡っちゃいけないよ」と言っていても、親がやっていたら子どもは真似してしまいますよね。そういうことに気づいてもらうプログラムです。

交通安全アドバイスロボ「ロポット」も開発中

――子どもの交通安全に役立つアイテムは今後も予定されていますか?

坂:まだ研究開発中で商品化は決まっていないのですが、肩に乗せる交通安全アドバイスロボット「ロポット」というものがあります。もうすぐ小学校1年生になる子どもがいる技術者の発案で開発が始まりました。

GPSとミリ波レーダーを搭載した、小さくてかわいらしいロボットなんですよ。

――どうやって使うんですか?

坂:登下校の際、ランドセルの肩ベルトにつけて使います。事前に交差点などの安全確認地点を設定しておくと、そこに近づいたときに振動して安全確認を思い出させてくれる機能があります。

さらに、ミリ波レーダーで後ろから車が接近していることを感知すると、振動して教えてくれるんです。

また、子どもが歩いたルート、どこで止まったかをスマホのアプリで確認できるので、お子さんが帰宅してから、一緒に通った道を振り返って「ちょっとここでは止まってね」という確認もできます。子供と一緒に出かけると、お父さん・お母さんが交差点で「危ないよ、止まって」って声をかけるじゃないですか。それを代わりにやってくれるロボットです。

――すごい……! 見た目はどんな感じですか?

坂:手のひらサイズで、子どもの相棒をイメージしてデザインされています。目が丸くて、今いる場所や、充電状況に応じて表情が変わるんです。実証実験をしているところですが、ロポットに紙のおうちを作ってあげたお子さんもいたそうです。

――ペットのような(笑)。

坂:そうですね。今はまだ、費用的な課題や、小学校に受け入れられるかという課題などもありますので、そうした課題がクリアできれば、発売できるのではないかと思います。

 

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