持続可能な開発目標SDGs。目標15は「陸の豊かさも守ろう」です。陸上には緑豊かな自然の中、多種多様な生き物たちが暮らしています。しかし、人間社会が引き起こした環境悪化の影響で、植物や生き物たちの住む環境が変わってしまい、数が減ってしまったり、絶滅してしまったりといった問題が出てきているのです。現在、陸上ではどんな問題を抱えているのか、自分たちにどんなことができるのかを、見ていきましょう。
「目標15.陸の豊かさも守ろう」が掲げる内容とは?
「目標15.陸の豊かさも守ろう」には以下のような目標が設定されています。
現在、陸で起こっている問題とは?
「砂漠化」が深刻、大きな原因は二つ
目標の中に「砂漠化」という言葉が出てきましたね。砂漠化とは、これまで砂漠ではなかった乾燥地帯で、人間活動の影響や気候の変動が原因で、植物が生育しなくなり、農業にも適さない土地になってしまうことをいいます。この砂漠化がどんどん進んでいるのです。砂漠化の原因には、気候の変動によるものと、人間の活動が原因となっているものとの2種類があります。
人間の影響によるものは、ヒツジやヤギを過剰に放牧することで草がなくなってしまうことや、過剰な農地開墾、過剰な森林伐採などが挙げられます。周辺に住む人たちの急な人口増加や貧困なども絡む、複雑な問題となっているのです。
▲参考:https://www.alrc.tottori-u.ac.jp/japanese/sabaku_hakase/sabaku04.html
「森林減少」も大きな問題
地球上の森林面積は、陸地全体の3割を占めていますが、その面積は年々減少しています。原因はさまざまで、プランテーション(注1)や、牧場や農場に土地転換するための森林伐採、燃料用にと木材を過剰に採取する、違法伐採、森林火災など、いくつもの原因が挙げられます。
2010~2015年にかけて森林の減少が激しかったのは、ブラジル、インドネシア、ミャンマーなどでした。逆に増加が見られた国は中国やフィリピン、インドなどです。活発な植林活動が行われていることが理由です。
注1)プランテーションとは?
熱帯、亜熱帯地域にある大規模農園。バナナ、天然ゴム、パーム油の原料となるアブラヤシ、紙パルプの原料となるアカシアなど、単一の作物を大量に栽培しており、日本でもこうした作物や原料の恩恵を非常に多く受けています。
しかし熱帯林開拓による減少、農園での労働環境、農園維持のための違法な放火など、問題も多いのです。
多様な生物が「絶滅の危機」にある
今地球上で絶滅の恐れがある動物の数は、なんと3万7千種以上にもなり、レッドリスト(注2)に登録されています。
原因は、開発により生息地が奪われてしまう、乱獲、環境汚染、外来種の影響…など動物の種類によって多岐にわたるため、種を守るためにはそれぞれの動物の状況に合わせた対策が必要となります。
注2)レッドリストとは?
野生動物についての国際的な機関、「国際自然保護連合(IUCN)」が作成する絶滅危惧種のリストのことです。種を以下の9カテゴリーに分類。「未評価、データ不足、低懸念、準絶滅危惧、危急、危機、深刻な危機、野生絶滅、絶滅」。
IUCNのサイトで動物を検索することができます(英語)。https://www.iucnredlist.org/ja
自分たちにできること
地球規模の問題についてはなかなか自分事として捉えることは難しいものです。ただ、少しずつでも問題解決に向けて自分にできることから取り組みたいですね。
「生物多様性」について学ぼう
地球上には動物、魚、虫、植物や微生物に至るまで、あらゆる生き物が暮らしていますね。これら全てが関わり合い、地球上の世界を成り立たせている、ということを、「生物多様性」といいます。
人間にとってみても、植物には酸素をつくってもらい、動物や植物を食べ、人体にも多くの菌を保有しています。木から家をつくり、綿から服をつくり、動植物の成分から医薬品をつくり…とあげたらきりがありませんね。他の生き物同士も同じです。捕食関係だったり、植物を住みかにしている動物だったり、動物の体に住む微生物だったり…。生き物同士関わり合って生きています。人間以外のあらゆる生き物と地球をシェアしている、ということを学び、認識することが大切です。
ぱたぱた絵本を子どもと作ってみよう
こちらは、環境省のサイトで紹介されている、子ども向けの啓発絵本。切って、折って、貼るだけで、簡単に作れる絵本です。楽しみながら、親子で絵本のメッセージについて話してみましょう。
生物多様性について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。http://www.biodic.go.jp/biodiversity/possibility/tools/files/BD_panel_new.pdf
FSC認証の製品を選ぼう
カレーのルウのパッケージや、鉛筆など、木や紙を使用した商品についているこのマーク、見たことはありますか。
これらの認証マークは「FSCマーク」といい、森林管理協議会という国際的な非営利団体により管理されています。
まずは森林が適切に管理され、働く人や先住民や地域社会にも配慮されているかが評価されます。その上で、適切に育った木を原材料として生産された製品に対し、FSC認証マークが付けられています。私たちがFSCマークの製品を選ぶことで、森林を守り、森林や製品の生産に関わっている人々を支持することにつながっていくのです。
FSC認証のためのチェック項目を以下に掲載します。一読してみると、森林への配慮がどんなものかわかるでしょう。
▲画像引用:FSC JAPAN https://jp.fsc.org/preview.fsc.a-491.pdf
陸を守るために…子どもと一緒にできること
「目標15.陸の豊かさも守ろう」。地球規模のさまざまな問題は壮大ですが、子どもに少しずつでも関心を持ってもらいたいですね。
まずは、子どもにとって身近な動植物をテーマに学んでいくのはいかがでしょうか。例えば、自然の生き物をテーマにしたテレビ番組などを一緒に観るだけでも、関心は高まります。自然の中で多様な生き物が関わり合って生きる様子や、弱肉強食の様子を学ぶことで、自然の中の生き物の生態を、知識として蓄えていけますね。
また、子どもの好きな動物や魚、虫、植物などの生態や原産国を図鑑やインターネットで一緒に調べてみるのもいいでしょう。外来種の問題や絶滅の危機にある動植物は、背景にさまざまな社会問題が絡んでいるため、学ぶことで多くの気づきがあるでしょう。子どもたちのの生き物への興味関心を育んでいけるとよいですね。子どもたちが未来の地球に生き続けられるように…できることから行動を始めましょう。