「小学校低学年のうちから性教育の話をするなんて早すぎない?」と思う方も多いはず。性教育=セックス、性器や生殖にまつわる話と感じているなら、意識のアップデートが必要かもしれません。
小学1年生は「性教育」の 適齢期って本当ですか?
性教育とは本来「いのち・からだ・健康」の学問で、自分と他者をどうやったら大切にできるかを学ぶもの。家庭での性教育に関する著書を出版されたフクチマミさんは、日本の性教育は、性に対して「恥ずかしい」「不潔」という誤解を生みやすいといいます。
大人が性を不潔視すると、子どもは「そういうもの」と学習してしまいます。反対にまだ偏見のない小学1年生であれば、正しい知識を身につけやすい。さらには防犯の意味でも、プライベートパーツやNO GO TELL(下参照)を教えることから、性教育をはじめるといいと語ります。
「長女が低学年のときに登校中に不審者につきまとわれたことがありました。そのときは『助けて!』と大声を出したことで人が集まり難を逃れたんですが、大声を出せたのは、私が、怖いと感じたら大声で叫んで逃げていいんだよと、くり返し伝えていたからだと思います。低学年での性教育に抵抗感のある方も、防犯のためと考えると伝えやすいのではないでしょうか」
「性被害から子どもを守るためにもおうち性教育が大切です」
普段、地域の防犯メールに登録していると、毎日のように子どもへの声かけや性犯罪の情報が届きます。なかには、「こんなことで?」と思うような内容もありますが、フクチさんは、些細だと思えることも親に相談できる土壌が大切だと話します。
「防犯メールで情報がまわるのは、子どもが不快な経験を親に相談できているからこそ。プライベートパーツを理解していれば、体を見られたり触られたりすることを不快に感じますが、知らないでいると自分が性犯罪にあったことにさえ気づかないかもしれません。登下校や習い事など親と離れる時間が増える小学1年生のタイミングで性について話し、自分で自分を守る力やヘルプを求める力を育ててあげる必要があると思います」
プライベートパーツから教える性教育は、今後の思春期での性の理解にもつながります。セックスとは、他の人に勝手に触らせてはいけないプライベートパーツを誰かに明け渡す行為。
「どういう人に対してそれができるか」を、子どもに考えさせることができるのです。
「私たち親世代のほとんどは子どもの頃にきちんとした性教育を受けてきていないので、教えるのが難しいのは当然です。教えるというよりも、家族みんなで一緒に学んでいく気持ちではじめてみてはいかがでしょうか」
性教育 まずはここからはじめよう!
①プライベートパーツ
「体は全部その人のもので、すべて大切だけどとくにこの4つは大切」その人のいのちに直接関わる場所だから。
「他人が勝手に触ったり、触らせたり、見ようとしたり、見せたりしてはいけないよ」と、日常生活の中でくり返し伝える。
②NO GO TELL
嫌だ(怖い、不安、痛い、腹がたつ、悔しい気持ちになる)と感じることや、声かけをされたら、とっさにこの行動をとれるよう普段からくり返し伝える。
※NO GO TELLはNPO法人CAPセンター・JAPANのプログラムです。
記事監修
「発育のススメ」は『小学一年生』別冊HugKumにて連載中です。
記事監修
1925年の創刊以来、豊かな世の中の実現を目指し、子どもの健やかな成長をサポートしてきた児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターに関わっていただき、子ども達各々が自身の無限の可能性に気づき、各々の才能を伸ばすきっかけとなる誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載しています。