きゅうりは冷凍保存できる! 酢の物、ポテトサラダにも美味しく使える活用術

一年中流通していて食卓には欠かせない食材、きゅうり。今回は定番野菜のきゅうりを冷凍保存する方法についてみていきます。冷凍したら、フニャフニャでは…?  そんな不安を解消する使い方をご紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

きゅうりは冷凍できるの?

そもそも、きゅうりは冷凍ができるのでしょうか。まずはそこから確かめていきましょう。

冷凍きゅうりの活用術

たしかに、冷凍きゅうりを解凍してサラダとして食べても、ぶよぶよした食感なのでおいしくありません。ですが、冷凍処理をしたきゅうりは、塩もみをした場合と同じ作用が働きます。

「冷凍は水分を抜く工程」と考えていただくと、活用場面が一躍倍増します。ポテトサラダや、酢の物を漬ける時にあれば大活躍。水分を抜いたきゅうりが、いつでも冷凍庫に常備できるのです。

きゅうりを冷凍するメリット

冷凍保存のメリットとしてまず挙げられるのは、長期保存ですね。夏場のきゅうりは大量に収穫できるにも関わらず、すぐにシナシナになったり、ヌルヌルしてしまったり、長く保存ができません。そんな時にきゅうりを冷凍すると、ご自分のペースで長く保存ができますよ。

また、水分の多いきゅうりは味が染み込みにくい特徴がありますが、冷凍によって細胞が壊れたきゅうりには、その心配がありません。味が染み込みやすくなり、お酢などのさっぱりとした味つけでもすぐに馴染みます。

きゅうりの青臭さが苦手、という声も耳にしますが冷凍するとそれも弱まります。苦手な方にもチャレンジして欲しいのがきゅうりの冷凍保存です。

塩もみして冷凍

それでは、具体的な冷凍方法を確認します。まとめて塩もみをしてから冷凍しておくと、その便利さに驚くこと間違いありません。少量ずつ取り出したり、サッと一品に仕上げたりと、きゅうりの持つ万能感を存分に発揮することができます。

アクを抜く

きゅうりのアク抜きといえば、板ずりです。塩をまぶしてまな板の上でズリズリとこするあれですね。その他にも、切り落としたヘタでクルクルと切断面をこすり合わせる方法も、効果が高いのでご紹介します。

クルクル、クルクルとしばらくこすり合わせていると、大量のアクが!

 

両端を切り落として、それぞれアク抜きをすると、きゅうりの苦味が減りますよ。

刻んで塩もみ

アクを抜いたきゅうりは、薄切りにします。冷凍すると水が抜けて縮むので、厚めにスライスすることを心がけてください。あまり薄すぎると、ほどよい食感を失うことに。仕上がりを3ミリしたければ、5ミリくらいがちょうど良い厚さです。

塩を全体にまぶしてから20分ほど置いておくと、水が出てきます。よく絞ってください。

冷凍する

冷凍用保存袋に入れて冷凍します。あまり詰め込みすぎるよりは、薄く平らにして詰めておくと、あとで好きな量を取り出しやすくなります。冷凍庫で3時間以上、冷やしてください。

これを半解凍するだけでも、冷たい塩漬けでおいしい!

保存期間

刻んで塩もみをした冷凍きゅうりは、2週間程度の保存期限です。

解凍方法

解凍後は、シャキシャキ感が弱まりますが、同時に青臭さも弱まります。自然解凍はもちろん、流水解凍や、使いたい量をお湯につけて解凍するのもおすすめ。いずれにしても、解凍後にさらに水が出るので、しっかりと絞ることがポイントです。

冷凍きゅうりの酢の物

冷凍保存したきゅうりの使い方を、酢の物の調理を通して見ていきましょう。簡単でおいしい酢の物ができます。

◆材料

冷凍きゅうり 一本分

【漬け汁】
醤油 100㏄
みりん 100㏄
酢 100㏄

◆作り方

【1】塩もみをして冷凍したきゅうり一本分を自然解凍、流水解凍などで解凍します。水が出るのでしっかりと絞ります。

きゅうりを流水に当てて解凍しました。

 

【2】【漬け汁】の調味料をすべて鍋に入れ、ひと煮立ちさせます。
【3】きゅうりを容器に入れ、上から【2】の液を流し入れて冷めるまで味をなじませます。

漬物にして冷凍

きゅうりを漬物にしてから冷凍する方法も、強力なお助け惣菜として心強い味方になりますよ。大量のきゅうりの消費に困った時にも、ぜひお試しください。

きゅうりのキューちゃん風レシピ

きゅうりの漬物は浅漬けに始まり、ぬか漬け、粕漬と多様にあります。今回は冷凍保存もできる醤油漬け、「きゅうりのキューちゃん」風レシピをご紹介します。

みんな大好き、きゅうりのキューちゃんのように。夏場の塩分補給にピッタリです。

◆材料

きゅうり5本
生姜30g

醤油 150cc
砂糖 90g
酢 大さじ2

塩(塩もみ用) 小さじ1と1/2

◆作り方

【1】きゅうりを1センチの輪切りにして、塩をまぶします。30分くらい置くと水が出てくるので、軽く水洗いしてからギュッと絞ります。
【2】細切りにした生姜と、調味料を鍋に入れて沸騰させます。【1】のきゅうりを足して、ひと煮立ちさせます。長く煮るとポリポリした食感がなくなってしまうので、すぐに火を止めてください。このまま冷めるまで置きます。

このまま一晩漬けておく人もいるそうです。味がよく染みますね。

 

【3】きゅうりを一旦取り出します。
【4】鍋のつけ汁を煮詰め、きゅうりから出た水の分を蒸発させます。1割くらい減るのが目安です。

1回目の加熱では、中まで味が染みていません。2回目で中まで染み込みます。

 

【5】もう一度きゅうりを鍋に戻して、ひと煮立ちして完成。
【6】きゅうりを濾して器に移します。残ったつけ汁はゆで卵を漬けると、これも絶品。他の野菜の漬物にも利用してくださいね。

冷凍方法

漬けたきゅうりは、冷凍用保存袋に入れます。できるだけ空気を抜いて封をしてください。冷凍庫で保存します。

5本のきゅうりが、こんなに小さくなりました。10本で作るとMサイズの袋にピッタリです。

保存期間

3週間程度の保存期間です。

解凍方法

食べる1時間ほど前に器に盛り付けて、常温で置いておくと自然解凍ができます。半解凍でヒンヤリしているのもおいしいですよ。

お弁当にも

お弁当に添える場合は凍ったまま入れると、お昼には解凍されています。保冷の役目にもなるので嬉しいですね。

まるごと一本で冷凍

切る時間もない!という場合はまるごと一本の冷凍もできます。これなら野菜室の隅でしんなりしているきゅうりを見かける事もなくなります。傷みやすいきゅうりでも安心ですね。

下ごしらえもなし!ラップで包むだけのスピード冷凍。新鮮なうちに!

水気をふきとる

洗ったきゅうりの水分をよく拭き取ってください。

冷凍方法

一本ずつラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

保存期間

2~3週間の保存期限です。

解凍方法

ラップをはずして流水の下に3分ほど置いてください。

まさにブヨブヨ!(笑) 皮下にたっぷりと水分を感じます。

包丁を入れても十分に柔らかくなってから、使いたい大きさに切り、もう一度ぎゅっと水をしぼればOK。

水があふれ出てきます。炒め物にするなら絞らずに加熱しても。

 

冷凍すると水が抜けて味が染みるので、先ほどの「きゅうりのキューちゃん風レシピ」を漬ける下ごしらえとしても使えます。ただし、漬けた後の再冷凍は、2度目の冷凍になることからおすすめできません。冷凍保存はせずに食べてくださいね。

冷凍きゅうりはポテトサラダにも

スライスした冷凍きゅうりは塩もみしなくても水が出て、ポリポリ感があります。ポテトサラダ用に常備しておくと、本当に便利なんですよ。

この水分量!しっかりと絞ります。

 

ここでは、おからのサラダをご紹介します。解凍した冷凍きゅうりを使って作ることができます。

おからとヨーグルトのポテトサラダ風

発酵パワーが凝縮!  はちみつとヨーグルトでほんのり甘みと酸味のある、さっぱりしたポテトサラダのようなおからのサラダ。

◆材料

(2~3人分)
生おから 150g
ハム 4枚
コーン缶 1/2カップ
きゅうり 1本
塩 小さじ1/5

【A】
プレーンヨーグルト 300ml
おろし玉ねぎ 小さじ1
はちみつ 小さじ2
塩 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1

◆作り方

【1】生おからは耐熱皿に入れて、電子レンジ(600Wの場合)で3分加熱し、冷ましておく。ハムは1cmの角切りに。きゅうりは縦に4つ割りにし、さらに7~8mm幅に切って、塩を振ってもんでおく。
【2】ボウルに【A】を入れて混ぜ、ハム、コーン、水気を切ったきゅうりを加え混ぜる。
【3】【2】におからを加え混ぜる。

教えてくれたのは


藤井 恵さん

ふじいめぐみ/料理研究家、管理栄養士。女子栄養大学在学中から料理アシスタントを務め、料理家の道へ。25~30歳の5年間育児休業するも、復帰後、メディア各種、イベント、講演会など、幅広く活躍。「キユーピー3分クッキング」(日本テレビ系)の講師としても人気。

『めばえ』2017年1月号

愛され続ける名脇役、冷凍きゅうり

河童の好物はきゅうりと言われていますね。かっぱ巻やかっぱ漬けなんて名前もかわいらしく、きゅうりが身近な食材として愛されてきたことがよくわかります。一方で、きゅうりは世界一栄養の少ない野菜としてギネスブックにも登録されているんですよ(笑)。栄養の少なさは、むしろ食べやすさ、調理のしやすさなのかもしれません。そして他の食材や味を引き立てる名脇役や漬物として、多くの料理で使われています。夏だけでなく一年中流通しているので、冷凍保存のコツをつかんでより活用の幅を広げたいところです。

 

構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

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