「ブルーノ・ムナーリ ―役に立たない機械をつくった男」展が世田谷美術館にて11月17日より
イタリアの画家にして、デザイナー、さらには絵本を多数制作し、子どものための造形教育にも力を注いだ、ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)。その多彩な活動を短い言葉で表すのは困難ですが、その作品は、どんなジャンルのものであってもシンプルな考え方から作られており、誰にでも(大人でも、子どもでも)親しめるものとなっています。本展覧会では、イタリア未来派に始まるムナーリの活動を、約300点の作品で振り返ります。
本展覧会は、 プロローグとエピローグを含む 9 つのパートで構成されています。 7 つのパートは、 ブルーノ ・ ムナーリが 1985 年に東京のこどもの城で行った子どものためのワークショップにヒントを得て、 テーマを設定しました。日本初となるブルーノ ・ ムナーリの本格的な回顧展です。2018年 4 月に神奈川県立近代美術館葉山で開幕した巡回展の最終会場となります。
開催概要
会期 | 2018年11月17日~2019年1月27日 |
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会場 | 世田谷美術館 |
住所 | 東京都世田谷区砧公園1-2 |
電話 | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
開館時間 | 10:00~18:00 |
休館日 | 月(12月24日、2019年1月14日は開館)、12月25日、29日-2019年1月3日、15日 |
観覧料 | 一般 1000円 / 65歳以上 800円 / 大学・高校生 800円 / 中小学生 500円 |
アクセス | 東急田園都市線用賀駅徒歩17分またはバス「美術館」下車徒歩3分 |
URL | https://www.setagayaartmuseum.or.jp |
ブルーノ・ムナーリって?
ブルーノ ・ ムナーリ(1907-1998)は、 20 世紀イタリアを代表する美術家、 デザイナーです。
その活動の幅は、 絵画、 彫刻から、 グラフィック ・ デザイン、 インダストリアル ・ デザイン、 絵本、 著述と、 とても広く、 さらに 70 歳を過ぎる頃からは、
子どものための造形教育に積極的に取り組んでいきました。
1930 年代初頭、 ムナーリは未来派の一員として活動するなかで、 〈役に立たない機械〉 を発表します。 この作品は、 動きを美術に取り入れたという点で画期的なものでしたが、 その軽やかすぎる作品の佇まいのために、 あまり理解されませんでした。第 2 次世界大戦以降は、 絵本やインダストリアル ・ デザインの作品も多く発表するようになり、 イタリアで優れたデザインに与えられるコンパッソ ・ ドーロ賞をたびたび受賞してもいます。日本でも 1950 年代以降、 折に触れて紹介されており、 またムナーリが来日する機会も何度かありました。 1985 年には、東京のこどもの城で大規模な回顧展が開催され、 その際には、 ムナーリ自身による子どものためのワークショップも行われています。
いずれの作品や活動にも、 ムナーリの一貫した美術やデザインに対する考え方が現われているといえます。
その考え方とは、誰もが楽しみながら美術やデザインに触れ、 そして自分でも創作できるようにするというものです。
『役に立たない機械』とは?
「役に立たない機械」は、糸で吊られた軽やかなモビールの作品です。かすかな空気の動きにつれて色の組み合わせが様々に変化する動く彫刻です。 動きを美術に取り入れたという点で画期的なものでしたが、 その軽やかすぎる作品の佇まいのために、 あまり理解されませんでした。
機械が賛美された時代に、何の役にもたたない「機械」を生み出したムナーリ。彼は、ごくありふれた日常生活の中に美を見いだし、私たちの心と生活を豊かにしてくれる。
(出典:Art inn 滋賀県立近代美術館:生誕100年記念「ブルーノ・ムナーリ展 あの手この手」)
関連イベント続々
パフォーマンス「風が吹くかぎりずっと --ブルーノ・ムナーリのために」
会場:1階展示室、エントランス・ホール
出演:鈴木ユキオ、竹内英明(原案・構成・振付:ルカ・ヴェジェッティ)
※予約は定員に達しました。当日券のみ(詳細はお問合せください)
講演会「ムナーリの言葉から考えるデザイン教育」
会場:講堂
講師:阿部雅世(デザイナー、ベルリン大学国際応用科学大学教授)
定員:先着140名 ※当日13:00よりエントランスホールにて整理券を配布
料金:無料、手話通訳つき
講演会「ムナーリの創造思考とその魅力」
会場:講堂
講師:加藤賢策(LABORATORIES代表、アートディレクター)
定員:先着140名 ※当日13:00よりエントランス・ホールにて整理券を配布
料金:無料、手話通訳つき
ムナーリを理解するエッセンス
絵はあらゆる箇所が生きている
Il quadro vive in ogni punto
ムナーリは、 第 2 次世界大戦後、 前衛芸術の運動であるMAC に参加しました。 そこで発表したのが 〈陰と陽〉 です。すべての色彩と線に同等の役割を持たせて、 人の目のなかで色彩の運動を起こすことを目指したのです。
子どもはすべての感覚で世界を認識している
I bambini stanno conoscendo il mondo
con tutti i sensi
ムナーリは、 触感によって言葉では伝えられない多くのものを伝えることができ、 私たちはこの感覚を再発見する必要があると述べています。 〈読めない本〉 では文字は印刷されていません。 色彩と触覚だけで物語を想像する本です。
どんな素材にもファンタジアへのヒントがつまっている
Ogni materiale dà suggerimenti alla fantasia
ムナーリは小さなものを拡大するスライド ・ プロジェクターを見て、 今までにない絵画作品の制作方法を考えつきました。 フィルムの代わりに、 羽根や糸や色つきセロファンの欠片などをマウントに挟んで、 壁に映写するのです。
考古学のアイデアを美術の領域に取り入れる
Trasportiamo il ricostruzionenel campo dell’ arte
本来であれば違ったカテゴリーや文脈にある図像などを 1 枚の紙の上に組み合わせて作品を制作する技法を、 コラージュといいます。 ムナーリ自身もコラージュ作品を制作し、 また雑誌のアート ・ ディレクターとして写真と文章で紙面を構成する仕事もしています。 ムナーリにとっては、美術作品を制作することとデザインすることとの間で、 その制作方法に大きな違いはなかったといえるでしょう。
みんなの美術にたどりつきたかったら
Se si vuole arrivare a un’arte di tutti
技術の可能性というものは、 誰もが美的な価値を持つなにかを創造できるようにすることにあると、 ムナーリは考えていました。 ムナーリの作品は、 多くの人が自分の手で、 そして道具を介して制作できるように、 ムナーリの頭のなかにある変換の秘密を伝えるものなのです。
作品は無限の変化の一つとして出現する
Ogni oggetto si presentava come una
parte di un infinito modulato
ムナーリは、 多くの人が美術に参加できることが大切だと考えます。 それには簡単な方法で制作できることが必要。 その例としてムナーリは、 スタンプを使って絵本の挿絵を描きました。
どれほど多くの人が月を見て人間の顔を連想するか
Pensate quanta gente vede una faccia nella luna
誰もが意図的に想像力を働かせなくても、 あるものから別のものをイメージしてしまう経験を持っているはずです。 壁や雲や街中の建物を見て、 その模様や陰影から人の顔やほかのなにかを連想することは、 よくあるのではないでしょうか。 見立てる力を利用したムナーリは、 縞のある石に自転車を描いて、 白い部分を道路にしたりもしています。 このような作品を見ていると、自分のなかにすでにあり普段使っていることに気がつかない想像力が、 改めて刺激されるようです。
q21本展の会期は1月27日まで。家族でアートに触れる休日、おすすめします!
教えてくれたのは、LITTLE ARTISTS LEAGUEのお二人。
LITTLE ARTISTS LEAGUEは母になった、アーティスト二人が立ち上げた、
親子へ向けた、本気でアートをやっていく活動団体です。
コスチュームデザイナー・アーティスト | アーティスト |
MIOKO MOCHIZUKI | LUMICO HARMONY |
子供服ブランド | 親子で国際交流、NPO法人 |
DRESS UP BOX主宰 | THE GLOBAL FAMILIES 主宰 |
2児の母 | 3児の母 |
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