「ギフテッド」とはどのような子ども? その特徴や才能を伸ばす育て方とは

「ギフテッド」という言葉をご存知でしょうか。生まれつき優れた能力を持つギフテッドの子どもには、能力を伸ばす育て方が必要です。ギフテッドの子どもに共通する特徴や、子どもと接する際に気を付けたいポイントを詳しく解説します。

ギフテッドとは?

映画や小説などで「ギフテッド」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ギフテッドとは、どのような子どもを指しているのでしょうか。

ギフテッドの子どもの診断テスト

ギフテッドとは、医学的用語ではありません。ギフテッドは、明確に定義するのが難しい概念で、同年代の子どもと比べて突出した才能を持つ子どものことを表す言葉です。英語では「gifted」と表記され、生まれ持ったギフトを与えられたという意味でそのように呼ばれています。

ギフテッドの検査方法はウィスクラー(WISC-Ⅳ)でのIQ(知能)検査が一般的です。しかし、どの能力が高いのかは一人一人違うため芸術面や対人面での優れた能力はIQテストでは測れないので、WISK-Ⅳのみでギフテッドと判定することは難しく、総合的に判断するのが現実的なようです。

子どもたちの高い潜在能力を生かすため、いわゆる学校教育とは異なった特別なプログラムを実施している国もあります。アメリカではギフテッド教育が盛んですが、州によってギフテッドの定義はさまざまです。

知能指数の高さや芸術性など子どもによって幅広い特徴が見られますが、ギフテッドを明確に定義するものは存在しません。ギフテッドとは、あくまでも同世代の子どもと比べて高い能力を持つ子どもを指す相対的な概念です。

遺伝と環境の両方が影響

ギフテッドの子どもが生まれる要因としては、遺伝と環境の両方が関係しています。

遺伝は先天的な要因であり、環境は後天的な要因です。しかし、この二つのどちらが子どもの知能に影響を与えるかは、まだ解明されていません。しかし、先取りの幼児教育をすればギフテッドになるという訳ではありません。

ギフテッドには「OE」という特徴があるといわれています。OEは過度激動や過興奮性とも呼ばれ、外部からの感覚刺激に対して強い反応を示すことを意味する用語です。精神運動性・知覚(感覚)性・感情性・想像性・知性といった5つに分類されます。

ギフテッドの子どもの中には、感覚情報の受け取り方が独特な場合があり、刺激に対して過剰な反応を示すこともあります。

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ギフテッド2種類のパターン

ギフテッドには、大きく分けて2種類のタイプに分かれます。それぞれの特徴について解説しましょう。

全般的に優れた能力「英才型」

一般的な知能検査では、言語性や動作性といった項目ごとに知能指数を測定します。英才型は認知や記憶など、全般的に高い能力を持った人が該当します。

英才型のギフテッドは、学校でも優秀な成績をおさめている場合がほとんどです。苦手なことが少ないため、周囲からも能力を認められやすいでしょう。

英才型といっても、ギフテッドは単に優秀な子どもとは違った特徴を持っています。勉強熱心な子どもがテストでよい成績を取る一方で、ギフテッドの子どもは従来の勉強法を行わなくても優れた結果を出すことが珍しくありません。このタイプは、特に問題が出ることはないようです。

発達障害を有する「2E」型

ギフテッドの子どもは鬱、不安障害などの精神疾患や、自閉スペクトラム症、アレルギー等免疫疾患などの割合が3倍以上も高いというデータがあります。

ギフテッドの子どもの中には、ギフテッドの先天的な能力と発達障害を併せ持つ子どもがおり、2Eと呼ばれています。

2Eとは「twice-exceptional」の略称で、二重に特別であることを表す言葉です。全体的に高い能力を持つ英才型に対して、得意な分野と苦手な分野がはっきりしているのが2E型の特徴といえます。

発達障害のギフテッドの子の場合、計算能力が高くても字を書くのが苦手であったり、理解力に優れていてもコミュニケーションが不得手であったりと、能力に凹凸があります。

ギフテッドと発達障害の特徴を持ち合わせていると、高い能力を持っていても周囲に気付かれにくい場合があります。

ギフテッドの特徴

IQ130以上の子がギフテッドとされています。ギフテッドは、明確に定義するのが難しい概念です。ギフテッドに見られる特徴を説明します。

 ① 記憶力が非常に高い

② すぐに物事を学び判断できる

③ 年齢のわりに語彙が多く、複雑な文章構造を話せる

④ 数字やパズルなどの問題を楽しむ

⑤ 感情の起伏が激しく、神経質

⑥ 社会や政治、不正に対して関心がある

⑦ 想像力があり、空想に夢中になる

⑧ 好奇心が強い

⑨ 集中力が高い

⑩ 並外れたユーモアのセンスがある

出典:『NAGC

IQが高い子の場合は学習の習得スピードが独特なため学習についての理解が早く、反復する必要が無いので、身につく速度が速く、海外では学年を飛び級することも多いようです。

物事を論理的に考えて発言する為、同年代の子よりも年上と話す事を好む子がいます。使う言葉も大人が使う難しい言語を使う事があります。

探求心、好奇心も旺盛な事があり、自分が好きな事、興味を持っている分野については高い集中力を発揮し、とことん掘り下げて探求していく傾向があるようです。その反面、興味関心が偏る事があり、こだわりが強い部分があります。

ギフテッドはイメージ力、想像力が豊かな子もいます。学習面だけではなくリーダーシップを発揮するタイプの子もいますし、芸術やスポーツの分野で突出した能力を発揮する場合もあります。

ギフテッドの才能を伸ばす育て方

ギフテッドの子どもは、さまざまな才能を持っています。それらの才能を伸ばすためのポイントを見ていきましょう。特に学校は、人と同じことをしなくてはならない環境なので、家の中では子どもを「普通」の枠組みから解放することが必要です。

ギフテッドの子どもに必要なサポート

ギフテッドの子どもは大人びたところがあるものの、感情をコントロールするのが苦手な場合もあります。自分を客観的に見られるように、マイナスの感情について話し合うのもよいでしょう。

学校でも興味がない、つまらないなどで授業中にぼんやりしたり他の事をしていたりと先生から不適切行動だとみられる場合もあり誤解を受けるかもしれません。

周りの子どもが好きな遊びに興味を持てなかったり、うまくコミュニケーションが取れなかったりする場合、子ども自身が周りとの違いに悩みを感じる事があります。

 学校では浮く事が多い為、低学年や中学年のうちはいじめなどにも注意が必要です。自己肯定感も下がりやすくなる事が多く、この頃に早期介入することで不安障害や鬱など精神疾患を回避できます。

学校や環境が合わない場合には、転校やオンライン学習、フリースクールなど、自分の好きな学習や興味のある学びに取り組む機会を与えられるように適切な学習環境を用意することが必要になる場合があります。

さらに、高学年以上になると、同様のギフテッドの子どもたちとの交流など、居場所や興味を拡げられるような環境を用意するのが望ましいでしょう。

天からの贈り物を生かす育て方を選ぼう

ギフテッドの子どもは、相対的に優れた能力を持っているのが特徴です。得意なことには並外れた集中力を発揮しますが、中には苦手な分野がはっきりしている子どももいます。

ギフテッドは強い感受性と高い思考能力を持っているため、学校社会では評価をされず個性的だと言われることも多いかもしれませんが、人と違った見方を尊重することが大切です。

生まれ持ったギフトを生かすためには子どもの個性を認め、伸び伸びと育てることを意識しましょう。

記事監修

健康運動指導士、介護福祉士、保育士。株式会社スプレンドーレ代表
藤原美保さん

発達障害の子ども達への運動指導担当をきっかけに感覚統合やコーディネーショントレーニングを学び、「放課後等デイサービスLuce」の運営に至る。Luceでは発達障害の女の子のサポートを行っており、性教育に力を入れている。著書に『発達障害の女の子のお母さんが、早めにしっておきたい47のルール』(エッセンシャル出版)、『発達障害の女の子の「自立」のために親としてできること』(PHP研究所)がある。

2020年5月より、YouTubeで「子どもの対応おたすけチャンネルMamma mia」を主宰。

構成・文/HugKum編集部

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