小学1年生は自分の正当性を言葉で説明できるようになってくる年齢。それだけに、きょうだいゲンカの仲裁も難しくなってきます。「ほめて認める」育児法を提唱する藤田敦子先生に、困ったときの対処法をうかがいました。
Q:兄弟ゲンカを上手に止めるには?
年子の弟としょっちゅうケンカをします。食べ物やおもちゃ、ゲームの取り合いなど、きっかけはいろいろです。私も最初は放っておきますが、だんだんうるさくなってくるので、「やめなさい」「いい加減にしなさい」などと止めに入ります。すると、双方が私に自分の正当性を訴えてきて、火に油を注いだようになってしまいます。激しい兄弟ゲンカをうまく収めるにはどうすればよいでしょう。 (M・T さん)
A:ケンカとは関係のない声掛けで気をそらしましょう。
子どもの兄弟ゲンカのほとんどは、些細なことが原因です。とはいえ、2人は本気でケンカしていますから、親が仲裁に入ってもなかなかやめません。どちらが悪いか追及しても、どちらかが不満を抱えてしまうので、やめたほうがよいでしょう。
最も効果的なのは、2人の気をそらすこと。わざと大きな声で、「これ何だろう? ちょっと見て!」と、こちらに注意を向けるのです。あるいは、「一緒に遊ぼう!」などと誘ってみてもいいですし、「おいしそう! ママだけ食べちゃおう」も効果抜群です。すぐにケンカをやめて飛んできますよ。
私はもめごとが苦手なので、兄弟ゲンカになりそうな種はできるだけ取り除くようにしていました。例えば、テープカッターは家庭にひとつあれば十分ですが、わが家では工作好きな息子たちのために、同じものを2つ用意していました。
おやつも同じものを同じ量だけ用意するように心がけました。同じものが用意できないときは、じゃんけんで勝った方が先にとるようにしていました。おかげでケンカはほとんどなく、大人になった今でも兄弟仲良しです。
最後にもうひとつ、子どもの失敗を叱らないことも大切です。兄弟のどちらかを叱る親の言葉や態度を、子どもがマネするからです。叱らないためには、子どもの失敗を予見して取り除くことがポイント。例えば、食事中に「子どもが床にこぼしてしまうかも!?」と思ったら、床に新聞紙を敷いておくのです。そうすれば、実際にそうなってもイラッとして叱ることもないでしょう。これも、どちらかがどちらかを非難する嫌なケンカを子どもにさせないための秘策です。ぜひ実践してみてくださいね。
\私がお答えしました/
藤田 敦子 先生
ほめて認める独自の「ぺたほめ®子育て術」を提唱し、テレビ出演・出版・講演などで大活躍の子育てアドバイザー。「ぺたほめ®子育て術」によって成長した二人の息子は、最難関大学・京都府立医科大学医学部医学科に現役合格。著書に『母親が変わればうまくいく 第一志望校に合格させた母親がやっている子育て39』(講談社)。藤田敦子オフィシャルブログ https://ameblo.jp/petahome/
1925年創刊の児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターとともに、子ども達各々が自身の無限の可能性を伸ばす誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載し、HugKumの監修もつとめています。
『小学一年生』2021年10月号別冊『HugKum』 イラスト/やまのうち直子 構成/天辰陽子