ハンドサインとは
「ハンドサイン」とは、手や指・腕を使ったジェスチャーのことです。よく見かけるものとしては、写真を撮るときのピースサインや、野球選手が作戦を伝えるためのサインがあります。
ハンドサインには、一般的にはどのような役割があるのでしょうか?
気持ちを伝えるジェスチャー
ハンドサインは、自分の気持ちや考え・意志を伝えるツールです。仲間内で情報を交換したり、周囲で起きている状況を相手に素早く伝えたりできます。
野球の他に、シュノーケリングやロードバイクといったスポーツでも使われており、声を出しづらい場面で重宝されています。
仲間同士で使うと連帯感を高める効果もあり、人間関係をスムーズにするツールの一つともいえるでしょう。
覚えておきたいハンドサインと意味
ハンドサインを使うことで、意思を的確に伝えてスムーズにコミュニケーションが取れるようになります。海外でも一般的なハンドサインには、どのようなものがあるのでしょうか?
「ありがとう」
手のひらを相手に見せてこぶしを握り、親指と小指を広げるハンドサインは「ハング・ルース(Hang loose)」といい、「ありがとう」「こんにちは」といったあいさつを表します。
ハング・ルースはハワイ発祥で、信号のない横断歩道で停まってくれた車に感謝を伝えるのに使うこともあります。
ちなみにハング・ルースと同じ手の形でも、相手に手の甲を見せるのは「シャカ(Shaka)」という違うハンドサインです。シャカは「元気?」「大丈夫?」など、ポジティブな意味で使われます。
ちょっとしたあいさつ代わりに、家族の間でも使えそうなハンドサインです。
「幸運を祈る」
英語圏で「Good luck(幸運を祈っています)」の意味で使われるのが、「フィンガーズ・クロスド(Fingers crossed)」になります。ピースサインを作り、人差し指と中指を交差させたもので、欧米ではごく一般的なジェスチャーです。
英会話でも相手の成功を祈る「I’ll keep my fingers crossed」という定型表現があり、「がんばってね」「幸運を祈る」といった意味があります。
ただしベトナムでは、フィンガーズ・クロスドは相手を侮辱する卑猥な表現を意味し、失礼にあたります。使うシーンは慎重に選びましょう。
「助けて!」「SOS」
直接口に出せなくても「助けて!」と伝えるヘルプサインが、「シグナル・フォー・ヘルプ(Signal For Help)」です。サインは、以下の一連の動作を行うことで表現します。
- 手のひらを相手に向ける。
- 親指を内側に折る。
- 残った4本の指も内側に曲げ、親指を包みこむようにする。
シグナル・フォー・ヘルプは「DV被害に遭ったとき、近くに加害者がいても助けを求められる」として、カナダ女性財団やアメリカの女性基金ネットワークが推奨しています。
自分が使うだけでなく、誰かに助けを求められたときに気付くためにも覚えておきましょう。
参考:Signal For Help | Use Sign to Ask for Help | Canadian Women’s Foundation
注意が必要なハンドサイン
日本と外国では、同じハンドサインでも違う意味を表すことが多々あります。中には不快な意味になるサインもあるため、国によるとらえ方の違いを知ることが大切です。
サムズアップ
Facebookの「いいね!」ボタンにも使われている「サムズアップ」は、握りこぶしを作って親指を立てたサインです。欧米を中心に「Good、OK」の意味で使われます。
しかし、イタリア・ギリシャ・イランなどヨーロッパや中東諸国の一部では、相手を性的に侮辱する不快なハンドサインとされています。
ハンドサインだけでなく、サムズアップがデザインされた服などは日本でも手に入りやすいため、注意を払って着用しましょう。
ピースサイン
「ピースサイン」は、手のひらを外に向け、こぶしを握って中指と人差し指を立てたジェスチャーです。数字の2を表すのにも使われ、欧米では勝利(Victory)のVを表すのにも使われます。
海外でも広く使われているピースサインですが、ギリシャでは侮辱的な意味を持ちます。ギリシャでは昔、犯罪者に向かって二本指で物を投げつけていた慣習があるからです。
日本でもよく使うサインですが、不快に思う人がいることも知っておきましょう。
OKサイン
親指と人差し指で丸を作る「OKサイン」は、日本では「了解、いいよ」といった意味で使われます。
一方、海外では違う解釈をしているケースが少なくなく、例えば下記のようなものがあります。
・フランス:数字のゼロを表し、暗に役に立たないことを匂わせる
・ブラジル:肛門を表すサインで、性的で下品な意味を持つとされる
さらに近年、親指と人差し指で丸を作り、残りの3本の指を立てた形が「WP(ホワイト・パワー)」を表すとして、アメリカの白人至上主義者たちの間で使われるようになりました。
このことから2019年には、アメリカ最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止連盟(ADL)」が、OKサインをヘイトシンボルとしてデータベースに登録する動きに発展しました。
特に海外においては、OKサインの使用には注意が必要でしょう。
参考:Okay Hand Gesture | Anti-Defamation League
ハンドサインで表現の幅を広げよう
ハンドサインは、相手に気持ち・状況を気軽に伝えられるメリットがあります。しかし、海外にいるときや外国人相手に使うときは注意が必要です。
グローバル社会で活躍するには「自分の何気ないしぐさで傷付く人がいるかもしれない」と考える想像力や知識が必要です。状況に合ったハンドサインが使えるように、子どもと一緒に理解を深めましょう。
構成・文/HugKum編集部