ライセンスとは何?
ビジネスシーンで使われることも多い「ライセンス」の意味やニュアンスは、状況によって微妙に変化します。まずはライセンスの基本の意味をしっかりと理解しておきましょう。
ライセンスの基本の意味
ライセンスとは、英語の「license」を語源とする言葉で、日本では「認可、免許、許可証」などと訳されます。訴訟大国のアメリカでは法律用語として幅広く使われており「(禁止されている)行動を許可すること」という意味です。
日本では知的財産を守るために、「特許や著作権を持つ人(クリエイター)が、自分の知的財産を第三者が使用しても良いと許可すること」を指している場合がほとんどです。
一方で、ダイビングや車などの免許や資格を「ライセンス」と表現する場合もあります。
ライセンス契約とは
ライセンス契約とは、「知的財産の利用を許可する契約」です。また、知的財産とは特許や著作権のことです。
ライセンス契約は、特許や著作権を持つクリエイターと利用を希望する第三者の間で締結され、決められた期間や用途であれば、クリエイターの許可のもと、知的財産を自由に利用することができます。
ライセンス契約は権利を譲渡するわけではなく「利用を許可するだけ」の契約です。
特許や著作権などの権利が利用者である第三者に移動することはなく、クリエイターが知的財産を失うことはありません。特約がなければ、複数の相手とライセンス契約を結ぶことも可能です。
ライセンス契約の対象や具体例
知的財産を守るための契約である「ライセンス契約」は、どのようなものに適応されるのでしょうか。具体例を確認し、さらに理解を深めていきましょう。
ソフトウェア
私たちが毎日使用しているパソコンやスマートフォンのソフトウェアも、ライセンス契約によって保護される知的財産の一つです。
インストールの際に利用規約への同意が求められることが多く、万が一規約に違反すれば訴えられる危険性があるので注意しましょう。
また、音楽や映画・書籍などもソフトウェアの一種です。これらも著作権によって保護されているため、ライセンス契約に従って利用しなくてはいけません。くれぐれも違法コピーなどしないようにしてください。
商標やキャラクターの著作権
ブランド名やキャラクターなどは商標権や著作権で保護されているため、原則的に無断で使用することはできません。アニメやネットで人気のキャラクターを利用した商品を作りたければ、クリエイターとライセンス契約を結ぶ必要があるのです。
スマートフォンの普及で、誰もが気軽に画像をダウンロードできる時代だからこそ、商標や著作権を守る意識も向上しています。
軽い気持ちで無断使用せず、まずはクリエイターへ確認することが大切です。
ライセンス生産
製品の開発・製造を行う企業のノウハウやブランド・商標を、知的財産として別の企業へ貸し出し、同じ仕様の製品を生産する方式を「ライセンス生産」といいます。
知的財産を所有する企業はライセンス料を得ることができ、生産を担当する企業は他社のノウハウやブランド力を利用することで利益が見込めます。
契約に際しては、ライセンスの利用範囲や使用料などの細かな取り決めを行う必要がありますが、どちらにとってもメリットのある方法だといえるでしょう。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは
インターネットの普及によって、コンテンツの流通や消費のスピードが上がっています。
クリエイターの権利を守ると同時に利益も守ることができる「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(CCライセンス)についても確認しましょう。
言葉の意味と著作権との違い
「クリエイティブ・コモンズ」は、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」を提供している国際的非営利組織とそのプロジェクトの総称。
「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」は、クリエイターが著作権を持ちながらも、インターネット時代に相応しいスピード感で作品の流通を図ることができるように意思表示をするための国際的なルールです。
このライセンスを利用している作品は、定められた条件内であれば再配布や改変をすることが可能で、作品を共有することができます。
これまでの著作権に比べると、クリエイターの権利を守りながらスムーズに作品の共有ができ、新しい時代に合わせた作品の発展も見込めます。
クリエイターの意思を表す4つのアイコンを理解して規定を守ろう
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには、4つのアイコンがあり、使用する種類によってクリエイターの意思を表示しています。
1 「BY(表示)」
このアイコンが付いている作品を共有する際には、著作者や作品に関する情報を明記する必要があります。
2「NC(非営利)」
このアイコンが表示された作品は、非営利目的の場合で使用することができます。営利目的での使用を検討する場合にはクリエイターの許諾を得て、ライセンス契約を結ばなければいけません。
3 「ND(改変禁止)」
作品の加工や編集を禁止しているアイコンです。共有する場合には、手を加えてはいけません。
4 「SA(継承)」
作品の改変が可能ですが、改変した際にはその作品にも同じアイコンを付ける必要があります。
これらのマークを組み合わせて、6種類のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが定義されます。マークの有無、種類を見逃さないよう、注意しておきましょう。
ライセンスとは何かを把握しておこう
ライセンスとは、知的財産の第三者による使用を許可することです。難しい言葉に思われますが、ブランド名やキャラクターなど、身近なところにもライセンスが関与していることが分かりますね。
ライセンスのあるものを二次利用する場合などは、ライセンス契約が必要です。また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの言葉の意味や四つのアイコンの違いを知っておくと、契約の際に流れがスムーズになります。
クリエイターの権利を守り、これからもより良い作品が多数生み出されるよう、全ての作品にリスペクトの気持ちを持って接したいものです。
記事監修
大澤 健太
国際法務・技術法務を専門とし、知財戦略立案や国際ライセンス契約に関するコンサルティングを行う。
構成/HugKum編集部