ビジュアルプログラミングとは?
そもそも「ビジュアルプログラミング」とは、どのような意味なのでしょうか? なぜ近年注目を集めているのか、その理由と併せて解説します。
ビジュアルプログラミングの意味
「ビジュアルプログラミング」とは、絵や図形・ブロックなどを動かして、見た目に分かりやすい形でプログラミングすることです。
ビジュアルプログラミングで使う言語は、「ビジュアル言語」もしくは「ビジュアルプログラミング言語」と呼びます。
低年齢の子どもがプログラミングをすると、文字をキーボードで打つのがハードルになりがちです。また、プログラミングは英語やアルファベットで行うため、それらが苦手だとプログラミングにも苦手意識を持ってしまいかねません。
ビジュアルプログラミングは、文字をたくさん打たなくてもプログラミングできるよう工夫された、子ども向けプログラミング手法だといえるでしょう。
注目される理由
小学校でプログラミング教育が必修になったことから、同じく「プログラミング」と名の付くビジュアルプログラミングにも注目が集まることになりました。
注意したいのは、小学校で行われるのはプログラマーになるための教育ではないことです。
プログラミングを使ってどのようなことができるか知ったり、「プログラミング的思考」を通常科目の授業に取り入れたりすることがメインの取り組みになります。
プログラミング的思考とは、「何をしたら何が起こるのか」論理的に物事を考える思考です。このプログラミング思考を学ぶときに役立つツールとして、ビジュアルプログラミングが注目されているのです。
ビジュアルプログラミングの基本
ビジュアルプログラミングを始めるには、どのようなことを押さえておけばよいのでしょうか。基本となる言語の種類や、必要となるものを紹介します。
言語の種類は三つ
主なビジュアルプログラミング言語の種類は、「ブロック型言語」「フロー型言語」「独自のルールがある言語」の三つです。それぞれの言語には、下記のような特徴があります。
≪ブロック型言語≫
色・文字や機能などが備わった「ブロック」を組み立てて、プログラミングを行います。矢印などの記号を用いたものであれば、まだ文字の読み書きが難しい年齢の子どもにも、論理的に考える訓練が可能です。
≪フロー型言語≫
「ノード」と呼ばれるさまざまな機能を持つパーツを、線でつないで表現します。どのような流れで処理が行われるのか、前後の関係が見た目に分かりやすいのが利点です。
≪独自のルールがある言語≫
ソフトが独自ルールで作っているビジュアルプログラミング言語です。小さい子どもでも感覚的にプログラミングできる教材が多くあります。
どの言語も文字入力はあまり必要なく、簡単なドラッグ&ドロップ操作でプログラミングできるのが特徴です。
始めるために必要なもの
ビジュアルプログラミングを家庭でするために必要なものは、下記の通りです。
・パソコン
・インターネット環境
インターネットにつながるパソコンがあれば、ソフトなどをダウンロードせずにブラウザ上で操作ができるものも多くあります。ただし、ソフトによっては課金・購入が必要なものもあるため、公式サイトなどで確認しましょう。
タブレットやスマホで使用できるアプリ版を持つものもありますが、パソコン版のほうが高度なカスタマイズや本格的なプログラミングができるためおすすめです。
使用するパソコンは、容量や速度が速いほどストレスなく使いやすいですが、値段も高くなるため予算を考慮して決めましょう。
ビジュアルプログラミングの利点と弱点
プログラミングと混同されがちなビジュアルプログラミングですが、どのような利点や弱点があるのでしょうか。
ビジュアルプログラミングでできること・できないことを押さえて、家庭学習の参考にしましょう。
プログラミングの基礎がつかめる
英単語をタイピングせずとも視覚的にプログラミングできることが、ビジュアルプログラミングの大きなメリットです。
論理的に思考する能力を伸ばせば、「どうしてこうなるんだろう?」と考えて問題を解決する力が身に付きやすくなるでしょう。
できることが限られる
一方で、ビジュアルプログラミングは、各ソフトのテンプレート上でプログラミングを行うため、コマンドが限定されています。まったくのゼロからコードを書くテキスト言語に比べると、できることは限られます。
ウェブサービスやアプリの構築などの本格的なプログラミングができるようになるには、将来的にはテキスト言語での記述も学ぶ必要があるでしょう。
ビジュアルプログラミングの人気ソフト
多くのソフトがあるビジュアルプログラミングですが、人気ソフトを選べばユーザーが多い分情報も多く、分からないことを調べやすくなります。
各ソフトの特徴やできることを知り、子どもに合っているか確認してみましょう。
Scratch
日本だけでなく全世界で親しまれている「Scratch(スクラッチ)」は、子ども向けプログラミング言語の代表格です。対象年齢は8~16歳で、ライセンス購入の必要はなく完全無料で遊べます。
言葉が書かれたブロックをドラッグ&ドロップして命令を組み立てる、分かりやすい操作方法です。ユーザーの選択によってストーリーが変化するゲームやアニメーションを、自由に作ることができます。
出来上がった作品は世界中に公開できるため、向上心を持って取り組みやすいでしょう。
Scratch – Imagine, Program, Share
CodeMonkey
「CodeMonkey(コードモンキー)」は、かわいい猿のキャラクターがバナナを取る動作をプログラムしていくソフトです。対象年齢は小学生~中学生程度です。
コードをエディターの画面で打つため、実際のプログラミングに近い感覚で進められます。ただし、英単語をキーボードで入力する分、ハードルは高くなります。間違えるとヒントが表示されるので、トライ&エラーを繰り返して学ぶ習慣を付けられるでしょう。
就学前の子どもを対象とした「コードモンキーJr.」もあります。
CodeMonkey ( コードモンキー ) 日本公式サイト – STEM教育・プログラミング教育に
Viscuit
自分で描いた絵を自由に動かして遊ぶ「Viscuit(ビスケット)」は、お絵描き感覚でプログラミングを学べるソフトです。「メガネ」というツールを使い、描いた絵に動きを持たせて遊びます。
対象年齢は4歳から小学生ほどで、簡単かつ感覚的に操作できるため人気です。パズルゲームやアニメーションなどを親子で作って遊んでみてはいかがでしょうか。
MOONBlock
Scratchのようにブロックを組み立てて、簡単なゲームが作れる無料のソフトです。インストール不要で、サイトを開くだけですぐに始めることができます。
大きな特長は、作ったプログラミングをJavaScriptのソースコードで確認できることです。視覚的に作ったものを確認することで、プログラミング言語の勉強にもつながります。
さらに、自分でJavaScriptを記述すればオリジナルのブロックも作れるため、大人のプログラミング学習にも使えるでしょう。
子どもとプログラミングを始めてみよう
ビジュアルプログラミングの言語・ソフトにはそれぞれ特徴があります。どのソフトにするか迷ったら、気になるソフトの特徴と子どもの興味・適性を照らし合わせて選ぶとよいでしょう。
親世代が子どものころには、ビジュアルプログラミングは一般的ではありませんでしたが、これからの社会を生き抜く子どもたちには、プログラミングに触れるよいきっかけとなるはずです。
家族でビジュアルプログラミングソフトをプレイすれば、初めての世界を新鮮な気持ちで楽しめるかもしれません。
文・構成/HugKum編集部