エアコンが効かない原因「室内機」
エアコンが効かないときは、「室内機」か「室外機」のどちらかに不具合が起きている可能性があります。最初に室内機のチェックポイントを見ていきましょう。
フィルターの汚れ
エアコンが効かないと感じたら、まずはフィルターを確認しましょう。室内機には冷風や温風を吹き出すだけでなく、部屋の空気を吸い込み室外機へ送る役割があります。
吸い込み口のフィルターにホコリがたまり、目をふさいでしまうと、空気がスムーズに流れません。このためフィルターがきれいなときに比べて、エアコンが効きにくくなるのです。
自動掃除機能が付いている機種でも、フィルターの隅や内部に入り込んだホコリまでは取り切れません。掃除機能が付いているからと安心して放っておくと、ホコリがたまってエアコンが効かなくなるため注意が必要です。
霜取り運転中
暖房中に急に運転が止まったときは、「霜取り運転」に切り替わった可能性があります。どんなエアコンでも、外の気温が低いときに暖房運転を続けると、室外機に霜が付きます。
そのままでは暖房効率が悪くなるため、エアコンには自動で霜取り運転に切り替え、室外機を暖める機能があるのです。
霜取り運転が始まると、室内機にはランプが点灯するなど、霜取り運転中であることを示す表示が出ます。説明書で、室内機の表示について記載されている欄をチェックしてみましょう。
なお、霜取り運転が理由で暖房運転が止まっている間は、霜取りが終わるまで待つしかありません。
吹き出し口周りがふさがれている
冷風・温風の通り道にカーテンや衝立、棚などがあると、部屋全体に風が行き渡らずエアコンの効き具合にムラが生じます。風を遮る可能性のある家具は、できるだけ吹き出し口から離れた場所に置くようにしましょう。
家具を移動できない場合は、部屋中に風が届くように吹き出し口の角度を調整したり、サーキュレーターを置いて空気を循環させたりするのも有効です。
エアコンが効かない原因「室外機」
室内機に問題がなければ、「室外機」をチェックしてみましょう。室外機の環境が、エアコンの効き具合に及ぼす影響を紹介します。
室外機周りに物がある
室外機の周りに物があると、運転中に吹き出す熱気や冷気の逃げ場がなくなります。すると室外機の吹き出し口付近は、冷房運転の場合は周囲よりも温度が上昇し、暖房の場合は冷えてしまうでしょう。
吹き出し口付近の温度が高過ぎると、室外機は室内機が取り込んだ熱をうまく冷やせません。また、低過ぎる場合は、霜が付きやすくなります。
室外機から出る空気を速やかに逃すためには、吹き出し口の前を最低でも30cmは空ける必要があります。室外機のすぐ近くに自転車や鉢植え、物置などを置いている人は、別の場所に移動させましょう。
ファンの汚れ
室外機周辺に物を置いていないのにエアコンが効かない場合は、ファンや裏側の取り込み口に汚れがたまっているのかもしれません。
ファンには外から手が届かないため掃除は困難ですが、吹き出し口のフィルターは掃除をすれば汚れの付着を防げます。ついでに本体の外側も拭き掃除しておくと、見た目もさっぱりします。
室外機の裏側は枯れ葉やビニール袋などのごみがたまりやすいので、周囲に落ちているごみも取り除いておきましょう。
直射日光を受けている
室外機に直射日光が当たると、本体の温度が上がってしまいます。室外機の温度が上がると、取り込んだ熱を冷やす機能が低下して、冷房が効きにくくなります。
室外機が直射日光が当たる場所にある場合は、すだれや日よけシート、室外機カバーなどを使って直射日光を遮ると効果的です。別売の日よけカバーを用意しているメーカーもあります。
エアコンが効かない原因「その他」
単純なミスや物理的な故障が原因で、エアコンが効かないことも考えられます。よくある原因を見ていきましょう。
リモコンの設定ミス
エアコンの操作は、主にリモコンで行います。リモコンにはたくさんのボタンが付いているので、操作を間違えてしまうこともあります。
暖房運転をしたいのに冷房や除湿のボタンを押していたり、設定温度が適切でなかったりすると、期待した効果は得られません。また、風量が弱過ぎると部屋全体に風が行き渡らず、エアコンが効いていないと感じます。
暖房が効かないときは、風の向きもチェックしましょう。暖かい空気は上に行く性質があるため、吹き出し口が上を向いているといつまでも暖かくならないことがあります。
エアコンの能力に対し部屋が広過ぎる
買ったばかりのときや、引越し先で初めて運転したときにエアコンが効かない場合、エアコンの能力と部屋の広さが合っていないことが考えられます。
エアコンは出力の大きさによって、使用に適した部屋の広さが決まっています。例えば、6畳用のエアコンを10畳の部屋で使っても、十分な能力は発揮できません。
さらに同じ広さの部屋でも、木造と鉄筋ではエアコンの効果が変わります。木造建築では室内の空気が外に逃げやすいため、エアコンが効きにくいのです。エアコンの能力に「6~9畳」などと幅があるのは、木造なら6畳、鉄筋なら9畳まで対応できるという意味です。
冷媒ガス漏れ
エアコンが効かない原因の中でも、特に目立つのが「冷媒ガス」の漏れです。室外機のホースに霜が付いたり、エアコンの内部が結露したりする場合、冷媒ガスが漏れている可能性があります。
冷媒ガスとは、エアコンが室内や外の空気から取り入れた熱を運ぶガスのことです。
エアコンの内部と配管パイプには冷媒ガスが充満しており、そのガスが熱を運んでいます。何らかの原因で冷媒ガスが漏れてしまうと、熱を運ぶ量が減りエアコンが効きにくくなります。
エアコンが効かない場合の対処法
エアコンが効かない原因が分かったら、それぞれ適切な方法で対処しましょう。自分でできることと、業者に依頼するべきことを解説します。
エアコンの汚れなどは自分で対処
室内機のフィルターや、室外機の周囲の汚れは自分で対処が可能です。ホコリが詰まったフィルターは取り外してきれいに洗い、よく乾燥させてから元の位置に戻します。その後は定期的に掃除機でホコリを吸い取る習慣を付けましょう。
外に置きっぱなしの室外機は汚れやすいため、周りの物をどかして手の届く範囲を掃除します。周りに物がなければ掃除もしやすいので、室外機置き場の周辺もきれいにしましょう。
日よけを設置する際は、吹き出し口をふさがないようにするのがポイントです。
ガス漏れや故障なら業者に依頼
冷媒ガスが漏れている場合は、業者に再充填を依頼します。エアコンを設置した直後にガス漏れが起こったときは、施工ミスが原因と考えられます。取り付けた業者に連絡すれば、ほとんどの場合、無償で充填してくれるでしょう。
経年劣化で配管が破損している場合は、有償修理を依頼する必要があります。また、エアコンのセンサーや基盤が故障している場合も、業者に修理してもらうしかありません。
修理には、出張費や部品代などを合わせて数万円の費用がかかります。エアコンの耐用年数は約10年ですので、5年以上使っている場合は新しい機種に買い替えるのも一案です。
エアコンが効かない原因を知り対処しよう
エアコンが効かない原因は、室内機や室外機の汚れ・設定や選び方のミス・エアコン自体の故障など多岐にわたります。エアコンが効かない状態が続くと生活に支障が出てしまい、子どもの体調管理にも影響が出かねないため、早めに解決したいところです。
普段からこまめに手入れをすることで、フィルターの目詰まりや室外機の不具合は予防できます。掃除などによってエアコンへの負荷が軽くなれば、ガス漏れや故障のリスクも減らせます。
手入れ方法は機種によって異なるので、説明書をよく読んで、適切な対処を心がけましょう。
構成・文/HugKum編集部