子どもが登校拒否になってしまったら?小学生に考えられる原因や親の対応

小学校に入ると「登校拒否」という言葉を聞く機会もあるはず。でも実際に登校拒否とはどういう状態なのでしょうか。また、親として登校拒否を防ぐためにできることや、登校拒否になってしまった時の対処法など、いざというときに困らないように、と事前に知識として身につけておくことが大切です。

子どもの登校拒否、親ができることは

今回は、そんな登校拒否について紐解いていきます。

登校拒否とは

言葉ではよく聞くものの、登校拒否って実際はどういう状態のことを言うのでしょう。厚生労働省の定義では、

何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合を除く。)”

とあります。不登校も実質的には同じ意味で、短期間の登校拒否もあれば、長期間に渡ることもあり、原因などを含めてさまざまです。

参照:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-056.html

子どもの登校拒否の原因

特別なことのように思われますが、ことのほか多く、その後の学齢期にも影響を及ぼしてしまう小学生の子たちの登校拒否の原因をまとめました。

環境の変化

特に大きい環境の変化は小学校は1年生ですね。幼稚園・保育園とは全く違う環境に置かれ、決まった時間にイスに座り授業を受けるのはなかなか大変なこと。また、2年生以上でもクラス替えで、担任が変わり環境の変化による原因は多いようです。

友だちとの関わり

小学生にとっての世界は、多くの場合、家族と友だちという狭いもの。特に小学生は友だちとの距離感の作り方も未熟で、ケンカをしてしまうことも増えるかもしれません。ちょっとした無視から友だちが怖くなってしまう、友だちと些細なケンカをしたから嫌で学校に行かないという声はよく聞きます。

容姿をからかわれる

家庭環境が多様化している中で、他の子と容姿が違うことでからかわれてしまうことも。言った方はちょっとしたことでも、アイデンティティに関わることなので、言われた本人は深く傷つきますよね。

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子どもの登校拒否の症状

子どもが登校拒否をするようになると具体的な症状が現れることも。具体的にはどんな症状が現れるのでしょう。

体の症状

お腹が痛くなる、というのはよく聞く症状です。また、頭が痛い、吐き気がするという症状もあります。いずれも実際に病的なものではないことがほとんど。また、学校に行こうとすると起こり、休みの日には出ない症状だったりすることも特徴的です。食欲不振や倦怠感なども挙げられます。

精神的な症状

精神的な症状としては、よく眠れない、気力がわかない、イライラする、集中力の低下など、本人も何だか分からないけど調子が悪いという状態です。

参照:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/sos/sos_02.html

子どもの登校拒否のサイン

子どもの登校拒否を避けるためには、早めに対処することが大切。上記のように、学校に行きたくない、というサインを発していることもあるでしょう。また、ママ・パパが気付きやすいポイントがあることも。事前に知っておくことで、もしかして、と気づくことができるかもしれません。

学校での話をしなくなる

前には学校の話をよくしていたのにしなくなった、聞いても生返事しか返ってこない、などはよくあるサイン。学校でのことを思い出したくないのかもしれません。

朝起きられなくなる

学校に行きたくないという気持ちから、朝起きられないということはよくあるもの。「寝坊ばっかりして」と無理に起こすのではなく、続くようであれば、起きられない理由を落ち着いた環境で聞いてあげたいですね。

反抗する

イライラしがちになって、何かに当たったり、親に八つ当たりをしたりと反抗がちになることも。高学年などでは、もう反抗期なのかしら、なんて思ってしまうことも。学校に行きたくないという、気持ちの持って行き場所がなくてイライラが募っていることもあります。

登校拒否の時のママパパ体験談

実際に子どもが登校拒否だったというママ・パパの貴重な体験談を寄せてもらいました。我が子に置き換えて考えておくことや、他の登校拒否の子を理解するためにもぜひ読んでおいて。

友だち関係が原因で

学校での友だち関係は登校拒否につながる一番の多い理由ではないでしょうか。子どもの世界では友だちが一番なので仕方がないことも。学校がともに考えてくれたのは良いケース。また、嫌な気持ちが残っている学校に無理に行かせるよりも転校するのも一つの手のようです。

「友人から肌の色を指摘され笑われたことが原因。過敏性腸症候群になり、毎朝腹痛下痢嘔吐で登校できなくなった。 学校には抗議でなく、共に解決策を探す歩み寄り。子供へは行きたくないなら行かなくても良いけど、毎日ゲームやYouTubeに逃げてはいけないと言っていました。でも最終的には転校しました」(40代・東京都・子ども3人)

先生と合わなくて

担任の先生が合わなかったというのは残念ですよね。しかも他の子にとってもよい先生ではないこともあるようです。親もなんとか学校に行かせたいと思ってしまいますが、どんと構えて、子どもの心の安定に努めたそう。

「学校の先生が入学1ヶ月後にうつで休養、代わりに来た先生は、怒鳴ったり、厳しく注意したりと、穏やかでなかった。そんな環境で、慣れない生活に疲れて果て、学校に行けなくなってしまった。 最初は親が慌ててしまい、無理に行かせようとしたが、子どもはどんどん元気がなくなってしまった。結局は今は回復が1番ということを意識し、無理に行かせたり、勉強させてたりは辞めた。少しでもできたら、褒めて、心を安定させるようにした」(30代・神奈川県・子ども2人)

最初は友達とのケンカが原因で

こちらは友だちとのケンカが理由。親はなんとか行かせたいと思うものの、子どもは親にこそ味方になってほしいのですね。納得するまでは難しいですが、親が気持ちを落ち着かせたそう。また、支えてくれた先生との出会いも大きかったようです。

「友だちとのケンカが原因で登校拒否がたまにあり、5年生から完全不登校になりました。始めはムリに行かせようと怒ったりしてましたが、子どもに『お母さんは何を言っても理解しようとしてくれない!!僕には味方なんていない!!』と大声で言われた時に我に返りました。 ちゃんと向き合ってみて、子どもの好きにさせることにしました。 学校とも何度も話し合いをして『子どもが行きたくないなら無理強いさせません』と言えるまでに自分も子どもの味方になれました。 中学校に上がり、担任が子どもの身になって接してくれて向き合ってくれました。『来たくないなら無理しなくていいよ』とまで言ってくれて段々子供も心を開いていきました。親の私よりも担任の先生が子どもを支え救ってくれました。 私は子どもと向き合って、話を聞いて理解してあげるようにしていました」 (30代・岩手県・子ども2人)

登校拒否への対応・親ができること

子どもが学校へ行き渋ったり、登校拒否になってしまったときの親はどうすればいいのでしょう。いくつか案を持っておくことが、落ち着いて構えるための秘訣です。

無理をさせない

行きたくない学校に無理矢理に行かせることは、子どもの心がさらに傷ついたり、親子関係の悪化につながることも。子どもの話をよく聞きながら、保健室まで行く、家で休養させるなどまずは無理をさせないことがいちばん。

学校と密に連携する

最近では、文部科学省の指針の下、無理に学校に来させるという指導はしていないはず。そこで親は、遠慮せずに学校に相談をするのがベスト。クラス担任やスクールカウンセラーなどと連携して、どんな形なら登校できそうか、また学校の勉強の遅れないようにオンライン授業を受けるなどいろいろな手を打っておくべき。その際には、対応してくれるのが当たり前と思わず、常に対応してくれてありがたいという気持ちを伝えておくことが大切です。

フリースクールに通わせる

今は民間やNPO団体など、不登校の子を対象にしたフリースクールはさまざまに揃います。家以外に子どもの居場所になれるタイプや、学校復帰を目指すところ、学業支援をしてくれるところもあります。自分の子どもが行きたいと思うところをいくつか見てみるのがおすすめ。学校にも相談しながら決めると必要な支援が見えてくるはず。

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登校拒否には慌てないのが大切

子どもには毎日元気に学校に通ってくれるのが理想の姿。そんな中、自分の子が不登校になってしまうとどうすればいいか慌ててしまいますよね。でも、喜ばしいことではありませんが、登校拒否をしている子は意外と多いもの。どんと構えて、初期段階で適切な対処をすれば、短期間で解決することもあるかもしれません。そのためにも子どもと学校の話をよくするような習慣づけをしましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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