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18年ぶりの新章『マトリックス レザレクションズ』が全米に先駆けて公開
キアヌ・リーブス主演のアクション超大作『マトリックス レザレクションズ』が12月16日(金)より公開されました。1999年に1作目の『マトリックス』が、2003年に続編の『マトリックス リローデッド』と『マトリックス レボリューションズ』が制作されましたが、今回はなんと18年ぶりの新章となりました。しかも、本国アメリカの公開日が12月22日(水)なので、日本ではそれに先駆けての公開となりました!
世界中から熱い視線を浴びている本作のメガホンをとったのは、『マトリックス』シリーズの生みの親で全作品を監督してきたラナ・ウォシャウスキーです。キアヌは、ラナから本作のオファーをもらった時、驚いてソファから立ち上がったそうですが、もちろん2つ返事でOKしたとか。ネオ役のキアヌをはじめ、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ランバート・ウィルソン、ダニエル・バーンハードら主要キャストが続投しました。
『マトリックス』といえば、よく「映像革命を起こした作品」とされていますが、一体どんな点が画期的だったのでしょうか? また、時代を経ても根強い人気を誇るスーパースター、キアヌ・リーブスの魅力をはじめ、最新作『マトリックス レボリューションズ』の見どころについて、駆け足でご紹介したいと思います。
1作目の『マトリックス』は、キアヌが弾丸を避ける予告編が話題沸騰!
『マトリックス』のあらすじは以下の通りでした。キアヌ演じる主人公のトーマスは、コンピュータ・プログラマーですが、裏稼業では「ネオ」と呼ばれるハッカーでした。そんな彼が、謎の美女トリニティー(キャリー=アン・モス)と出会い、彼が生きているこの世が、実はコンピュータによって作られた仮想世界“マトリックス”であるという衝撃的な真実を告げられます。その後、ネオは人類を救う救世主としてコンピュータを相手に闘うことに。
少し「時を戻そう」と思います。
『マトリックス』の1作目が公開されたのはまだ20世紀で、あの「ノストラダムスの大予言」で騒がれた1999年です。すでに「ケータイ」はありましたが、「スマホ」という言葉はまだありませんでした。そんななか、まず人々はテレビのCMで流れた『マトリックス』の予告編を観て「なんだこれは!」とおののきました。キアヌが体をしならせ、華麗に弾丸をよけるシーンがかなりのインパクトを与えたからです。
「これは何かが起こっている!」と期待した映画ファンたちがこぞって映画館に出かけましたが、そこで展開された革新的な映像美に驚き、また、キアヌたちのキレのあるアクションに度肝を抜かれました。加えてインターネットの黎明期ですから「仮想世界」という世界観にも引き込まれたこと、間違いなし。そして日本の目利きたちは、押井守監督作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)からインスパイアされた要素を観て、かなり熱狂したようです。
キアヌたちのアクションシーンは、複数のカメラを用いて撮影する「バレットタイム」という手法によって、スローモーション映像が効果的に使われ、そのスタイリッシュな映像に息を呑みましたし、カンフーにVFXを掛け合わせることで超人的かつ美しい格闘シーンがこれまた斬新でして。人々は初めて観る画期的な画に大興奮したこと間違いなし。本作はその後、映画ファンだけではなく、世界のクリエイターたちにもインスピレーションを与えていきます。
来日する度に好感度アップ!大スター、キアヌ・リーブスの飾らない素顔
キアヌの出世作といえば、1994年公開の『スピード』で、その後に続く出演作はあまりぱっとしない印象でしたが、この『マトリックス』3部作によって、世界的な人気スターとなりました。そんなキアヌは親日家で、大のラーメン好きという気取らない素顔も、ファンから愛されています。例えば、何度か足を運んだと言われているラーメン屋「山頭火」や「ラーメン二郎」「蒼龍唐玉堂」では、来日する度にキアヌの目撃情報がネットでアップされてきました。
来日記者会見やインタビューでは、いつもフランクな笑顔で対応してくれるキアヌ。あいにくコロナ禍ということで、今回の来日キャンペーンは果たせませんでしたが、先日開催された「マトリックスデイ」と名うったイベントでは、キャリー=アン・モスと共にリモートで登場してくれたキアヌ。『マトリックス レザレクションズ』の日本版インスパイアソングを手掛けたMY FIRST STORYのヴォーカルHiroと、日本語吹替版キャストの柴咲コウとも愉快なやりとりを繰り広げてくれました。
キアヌは大きく手を振りながら「特別で素晴らしくクレイジーな形で、この瞬間をみなさんとわかちあえて最高です!」とご機嫌に挨拶。キアヌとは『47RONIN』(13)以来の共演となった柴咲さんは、思わず「キアヌ―!」と声を上げ、「Remember me?」と語り掛けます。するとキアヌが「Off course!」とカメラに急接近して投げキスをしてくれました。キアヌは「本当ならそこでハグしたり、直接笑顔を見たかったけど、こうした形で再会できてうれしい。来てくださってありがとう!」と興奮しながらコメントし、会場を沸かせました。
ちなみに、キアヌ主演の人気アクション『ジョン・ウィック』シリーズで知られるチャド・スタエルスキ監督は、『マトリックス』シリーズでキアヌのスタントダブルを担当していて、そのつながりで『ジョン・ウィック』を手掛けることになりました。
ラナ・ウォシャウスキー監督もそうですが、常にチームの仲間を大切しつつ、プロ意識を持ってお互いを高め合ってきたからこそ、キアヌは息の長いスターとして輝き続けられているのではないかと。また、スタエルスキ監督は『マトリックス レザレクションズ』でも重要な役どころを演じているのでぜひご注目を!
『マトリックス レザレクションズ』が伝える「愛」のメッセージ
さて、いち早く本日封切られた『マトリックス レザレクションズ』。まさにシリーズを手掛けてきたラナ・ウォシャウスキー監督作だけあって、過去作とかなりリンクしたシーン作りがなされているし、麗しい若き日のキアヌたちの映像も随所に織り交ぜられていて、ファン的には大満足な内容となっています。そのうえ舞台として東京が登場するのもうれしい限り。
『マトリックス レザレクションズ』では、再びキアヌが、現実世界と仮想世界“マトリックス”を行き来しながら、人類の救世主としての戦いに身を投じていきます。キアヌは命懸けで愛したトリニティーのことを今も思い続けていますが、彼女はどうやら別の男性と結ばれ、娘もいる様子。果たして2人の運命はどうなっていくのでしょうか。
ちなみに『マトリックス』といえば、過酷な現実に戻される赤いカプセルを飲むか、そのまま夢のような世界にいられる青いカプセルを飲むかという選択肢を提示されるシーンが有名ですが、本作にもそのシーンが登場します。この質問はけっこう深いなと毎回思いますが、今回もかなり重要なシーンである人物が決断を迫られることに。ネタバレは避けますが、このくだりではかなりママやパパも逡巡してしまうのではないかと。
本作についてキアヌは「SFアクション映画でありながらラブストーリーでもある」ということを強調されていましたが、映画を観れば大いにうなずけます。20年以上かけて続いてきた本シリーズの落としどころが、やはり「真実の愛」というものに着地していたことがなんとも感慨深かったです。
そんなクライマックスでの余韻に浸るなか、最後に流れるエンドクレジットにおいても、ママやパパたちへのメッセージが入っていて、思わず熱いものがこみ上げてきました。コロナのパンデミックも含め、人生においてはいろんな苦難や逆境が訪れると思いますが、そこで大切なものはやはり「愛」なんだなと。すべては愛から始まるということを、まさか『マトリックス』で再確認することになるとは思ってもいませんでした。ですからぜひ、ママやパパたちにも映画館で観ていただきたい1作として、心からプッシュさせていただきます!
監督:ラナ・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、プリヤンカ・チョープラー・ジョナス、ニール・パトリック・ハリス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、クリスティーナ・リッチ…ほか
公式HP:matrix-movie.jp
文/山崎伸子
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