そもそもプログラミングとは?
プログラミングについては、自分が勉強をしてこなかったり、「正直、苦手分野で……」と敬遠してしまったり、という親世代の声もよく聞きます。子どもにプログラミングを学ばせるうえで、大切なこととは何なのでしょう。
今回、お話を聞いたのは、女子大(英文科)在学中に独学でプログラミングを学び、現在は世界的IT 企業のアメリカ本社所属のDevRel担当のエンジニアとして、日本国内や海外での登壇多数している千代田まどか(ちょまど)さん。まずは、第一歩として、「そもそもプログラミングとは?」という疑問をぶつけてみました。
(プロフィール)
ITエンジニア兼漫画家
ちよだまどか/栃木県生まれ。「デベロッパーズサミット2017」ベストスピーカー総合第1位を受賞。絶妙なトークでエバンジェリズムを発揮し、Twitter(@chomado)では多くのフォロワーを持つ。また、女性ITエンジニア限定の技術コミュニティー『Code Polaris』を主宰。共著に『マンガでわかる外国人との働き方』がある。
ちょまどさん(以下敬称略):確かに、プログラミングが何かって、だいたいはイメージできるけど、明確に説明できない場合もありますよね。プログラミングっていうのは、プログラムを書くことなんですけど、ここでいうプログラムっていうのは、コンピュータにしてほしい命令や処理をまとめたものです。
コンピューターというのは、当然ですが、人間の言葉は理解できなくて、0と1で構成される機械語しか理解できません。そんな機械語を人間が使うのはとても大変で、最終的に機械語に翻訳される、人間寄りの専用の言葉、それがプログラミング言語であり、それを操ることがプログラミングなんです。
――そんなプログラミングが必修化されたというのは、どういう背景からなのでしょうか。
ちょまど:昔だったら、電化製品などはあったとしても、コンピューターが身の回りにあるということをそれほど意識しませんでしたよね。でも今はスマートフォンをはじめ、デジタルデバイスを日常的に使い、パソコンが仕事や生活に深く入り込んでいます。そうした中で、プログラミングを理解して、コンピューターの気持ちになれることは、エンジニアに限らず、生きていくうえですごく重要になってきますよね。
それに、文部科学省も言っていますが、プログラミングを学ぶことで、論理的でロジカルな思考ができるようになるっていうメリットもあります。コンピュータのプログラミングっていうのは、書いたとおりにしか動かないもの。「動いてほしいとおりに動く」じゃなくて、あくまで「書いたとおりに動く」。だから、すべてに理由や原因があるんです。これって人間関係とかにも応用が効くと思っていまして。たとえば私自身、昔は親とケンカしちゃったとき、「腹立つ!」で終わっていましたけど、プログラミングをするようになってからは、「なぜ怒ってるんだろう」「あれがトリガーだったんじゃないか」って、冷静に分析ができるようになったんです。
プログラミング教育の功罪!重要なのは親世代!
――では、そんなプログラミングが学校で学べるというのは、子どもの将来について、享受できるものも多そうですね。
ちょまど:もちろんそうなんですけど、私としては、不安な部分もあるんです。それは、子どもたちにとってプログラミングが “お勉強” になってしまわないか、です。学校の勉強というのは、どこか義務感がありますし、正解なら○、間違ったら×をつけられてしまうもの。最初の印象ってすごく大切で、「やらされているもの」という出会い方をしてしまうと、プログラミング自体の楽しさや、プログラミングを知っているからこその世界の広がりに、気づけない可能性もあるかなって思うんです。
私にとって、英語がまさにそれでした。とくに高校のときは「受験科目」になっていました。また、大学は英文科だったんですけど、周りには帰国子女の人も多くて、普通にみんなペラペラだから、一度も日本から出たこがない私は、勉強についていくのに必死で。「勉強のために英語で映画を見よう」とか言って意気込むんですけど、全然楽しめない。そんな私ですが、今は外資系企業で働いていて、しかもアメリカ本社所属なので、コミュニケーションが全部英語になったんです。毎日のメールも会議もチャットも全部英語。でも、コミュニケーションのための英語が楽しいんです。それはお勉強じゃなくて、自分の考えや意見を伝えるためのツールだから。私の中で英語が「受験科目」「義務教育」から「コミュニケーションのための自由な生きた言語」になった瞬間、とても楽しいものになりました。
――確かにそうですね。そうならないように、親世代でサポートできることはあるのでしょうか。
ちょまど:私の中では、まさに20代から50代の親世代が、とっても重要だと思うんです。なぜなら、子どもたちは、デジタルネイティブで、生まれた瞬間からスマホやタブレットい触れられる環境にいて、パソコンが家にあるのも珍しくない。でも、60代から上っていうのは、もちろん使いこなしている人もいますけど、基本的には、生まれたときには身の回りにコンピューターがないのが普通で、徐々に普及してきたことを経験してきた世代。だから、割と多くの人が「わからなくても平気でしょ」と思っているようです。
このデジタルネイティブの世代と、非ネイティブ的世代の橋渡しができるのが、今の親世代の人たち。極端なことをいうと、もちろん最近はいろいろと新しい制度が誕生しているとはいえ、ベースとしては「デジタル何もわからん世代」がつくった制度がベースの中で、デジタルネイティブの子供を育てるっていう、とても難しいチャレンジをしているんです。
――なるほど。とはいえ、親も一緒にプログラミングを勉強する、というのはなかなか現実的ではないのも事実ですよね。
ちょまど:そうですね。でも、プログラミング自体を理解する必要はないと思うんです。まずは子どもに、プログラミングを楽しめる環境だったり、機会だったりを提供してあげること。それから、話を聞いてあげて、見守ること。私なんか大学時代、ずっとパソコンに没頭していたとき、親から相当心配されましたから(笑)。この子は現実の友達がいないんじゃないかって。
その気持ちもわかりますけど、当時、独学でプログラミングを勉強して、やっぱりとっても楽しかったですし、その経験が今の私をつくっている。だから、まずは子どもに「楽しい」って感じてもらうこと、それがいちばん大事だと思います。楽しかったら、自然と「もっと学びたい」って思ってもらえるはずですから。
人間と友達になるのも大切だけど、同時に「コンピュータとも友達になろう!」という言葉で締めようと思います。みなさんを応援しています。
小学生向けプログラミング教育についての取材をお受けしました🎤
お話ししたことは
「一番大切なのは『楽しむこと』。プログラミングは楽しい」
「人間と友達になるのも良いけどコンピュータとも友達になろう」
です☺️
小学館の子育てサイト「#HugKum(はぐくむ)」に掲載予定とお聞きしました✨ pic.twitter.com/LXEWyb9sSA
— ちょまど🎀💻エンジニア兼漫画家 (@chomado) December 27, 2021
楽しみながらプログラミングを主体的に学べる大会が開催中!
「プログラミングの学びには、楽しいと思える機会が大切」−そう語るちょまどさんも審査員として参加している、全国の小学生向けのプログラミング大会が開催中です。その大会とは、小学館など4社で運営する「ゼロワングランドスラム」。「日本一の小学生プログラマーを決める大会」として、プログラミング大会には珍しく、競技形式を採用。プログラミングを学ぶ子どもたちがチームを組み、ライバルたちとの戦いを勝ち抜いていきます。優勝者には豪華賞品も!現在、WEB予選を実施中!参加費無料ですので、日ごろのプログラミングの腕試しやクイズ感覚で、ぜひ参加してみては。
〈1st STAGE〉WEB予選
2022年1月23日(日)まで
〈2nd STAGE〉
【西日本ブロック】2022年2月20日(日)イオンモール堺鉄砲町(大阪)にて
【東日本ブロック】2022年2月27日(日)イオンレイクタウンkaze(埼玉)にて
〈FINAL STAGE〉
2022年3月20日(日)東京池袋・サンシャインシティ噴水広場にて
参加費:無料
対象:全国の小学生
カメラ/黒石あみ