サバナ気候とは?
世界の気候は、主に平均気温や降水量によって区分されます。まずは「サバナ気候」の特徴と、分布する地域を見ていきましょう。
年中暑く、雨季と乾季の差が明確
サバナ気候は、熱帯地域に分布する気候の一つです。熱帯なので、1年を通して気温が高く、最も寒い月でも平均気温は18度C以上あります。
ただし、他の熱帯気候に比べると、年間の気温差は大きく、雨季と乾季の差も明確です。冬はほとんど雨が降らず、草木も茶色く枯れてしまいますが、夏にはしっかりと雨が降り、植物も元気になります。
分布している地域
サバナ気候が分布している地域は、アフリカ大陸・東南アジア・オセアニア・中南米の、緯度が南北10~20度の範囲です。
アフリカ大陸の中央部では、熱帯雨林気候の地域を取り囲むように、サバナ気候の地域が広がっています。マダガスカル島の北西部も、サバナ気候の分布地域です。
東南アジア・オセアニアでは、インド半島からオーストラリア大陸北部までの間に、熱帯雨林気候地域を挟みながら分布しています。中南米では、メキシコ南部からアルゼンチン北部までの地域が該当します。
サバナ気候下の特徴
気候が変われば、生息する動物や植物も変わるものです。サバナ気候の地域では、どのような動物や植物が暮らしているのでしょうか。それぞれ具体的に紹介します。
動物の特徴
サバナ気候下で暮らす野生動物といえば、アフリカ大陸のキリン・シマウマ・ゾウ・サイ・ライオンなどが代表的です。
オーストラリアのサバナ地域には、カンガルーやワラビーの他、多くの爬虫類(はちゅうるい)や鳥類が暮らしています。他の地域では見られない珍しい動物が多く、観光客にも人気の地域です。
南アメリカ大陸のベネズエラやコロンビア近辺には、雨季に低地部分が湿地に変わる草原があり、さまざまな水鳥が飛来する様子が見られます。
植物の特徴
サバナ気候と聞いて、野生動物が駆け回る広大な草原をイメージする人も多いでしょう。実際に、サバナ気候の地域では、背丈の高いイネ科の植物が一面に広がり、草原を形成しています。
草原の中には、バオバブやアカシアなど、厳しい環境に耐えられる樹木も点在しています。バオバブは幹の中に水を蓄える能力があり、アカシアは野火(のび)に強い木です。どちらも乾燥状態が長く続くサバナ気候に、非常に適した樹木といえます。
またサバナ気候下で採れる農作物としては、サトウキビや綿花、コーヒーが有名です。
似た気候の特徴や違い
サバナ気候の周囲には、「熱帯雨林気候」や「ステップ気候」が分布しています。それぞれの特徴と、サバナ気候との違いを見ていきましょう。
熱帯雨林気候
熱帯雨林気候も、サバナ気候と同様に、熱帯地域に分布する気候です。サバナ気候との大きな違いは以下の通りです。
・年間の気温差が少なく、常に高温
・雨季と乾季の差がない
熱帯雨林気候では、高温多湿な状態が続くため、植物がよく育つ環境です。乾季に植物が枯れることもなく、木々がうっそうと生い茂るジャングルが形成されます。
生き物の種類も多く、熱帯雨林気候下で暮らす動植物の数は、全世界の半数以上ともいわれるほどです。
ステップ気候
ステップ気候は、「乾燥帯」に分布する気候です。乾燥していることや、草原が広がっている点が、サバナ気候によく似ています。
同じ乾燥帯である砂漠気候の地域からサバナ気候・温帯気候の間に分布しており、モンゴル・中国北部および西部や、インドのデカン高原東部、南米のパンパ地方、アフリカや中近東にも分布しています。
ステップ気候は、乾燥帯の中では雨が降りやすく、農作物の栽培も可能です。降雨量が多い地域は土壌が肥沃(ひよく)になる特徴があり、小麦が多く生産されています。
一方でサバナ気候と異なる点としては、ステップ気候の草原は植物の背丈が低いのが特徴です。そのため、草を飼料とする遊牧や牧畜も盛んに行われています。
日本の気候区分は?
サバナ気候は、日本からはるか遠くの地域に分布しており、日本の気候とは特徴が大きく異なります。日本の気候区分や天気の特徴について、具体的に見ていきましょう。
日本の気候区分は複数
南北に長く延びる日本列島には、複数の気候区分が存在しています。国土のほとんどは「温帯」に属しますが、北海道の気候区分は「亜寒帯」、沖縄や小笠原諸島は「亜熱帯」です。
また、日本は標高の高い山が南北に山脈を形成しているため、山脈の西側(日本海側)と東側(太平洋側)で気候が変わる特徴もあります。特に、冬は気候の違いが顕著で、日本海側は雪の降る日が多いのに対して、太平洋側は晴れて乾燥した天気が続きます。
さまざまな気候の特徴や違いを知ろう
気候の特徴や違いを知れば、その気候が分布する地域の様子を、より正確にイメージすることが可能です。たとえば動物園に行ったとき、気温の高いサバナ気候で暮らす動物が、日本の冬の寒さに弱いということも、すんなりと理解できるでしょう。
サバナ気候について学ぶついでに、他の気候や日本の気候のことも、子どもと一緒に調べてみると、新たな発見があるかもしれません。
構成・文/HugKum編集部