地中海性気候の特徴と適した農業とは? 世界における分布も紹介【親子で地理を学ぶ】

イタリア・シチリア島からのぞむ地中海

 

「地中海性気候(ちちゅうかいせいきこう)」は、地球上の一部の地域で見られる特徴的な気候区分です。イタリアなどの分布エリアでは、独特の気候を生かした農業が盛んで、多くの特産品を生産しています。地中海性気候の特徴と世界での分布、主な農産物を紹介します。

地中海性気候の特徴とは?

地中海性気候は、地球の中でも暮らしやすいとされている、「温帯」に属する気候区分の一つです。他の気候区分とはどのような違いがあるのか、主な特徴を見ていきましょう。

温帯に属する四つの気候区分の一つ

ドイツの気象学者「ケッペン」の気候区分によると、地球の気候は大きく「熱帯」「乾燥帯」「温帯」「冷帯(亜寒帯)」「寒帯」の五つに分けられます。

温帯は、他の気候帯に比べると、暑さや寒さが厳しくなく、四季の変化があるのが特徴です。温帯には気温や降水量の季節的な違いをもとに、さらに四つの気候区分があります。

「地中海性気候」はその一つで、主にヨーロッパとアフリカに挟まれた地中海の周辺で見られます。他の区分には「温暖湿潤気候」「西岸海洋性気候」「温暖冬季少雨気候」があります。

温暖湿潤気候は日本の東京、西岸海洋性気候はフランスのパリ、温暖冬季少雨気候は香港(ほんこん)が、各気候の代表的な地域です。

温暖で夏は乾燥する

地中海性気候の大きな特徴は、夏は、ほぼ雨が降らないことです。

夏の降雨量は1カ月に30mm未満と非常に少なく、空気が乾燥しています。気温は高いものの湿度が低いため、日本の夏のような蒸し暑さは感じません。

冬になると雨が降りやすくなり、乾いた大地を潤します。

地中海性気候は北半球の場合は南寄りに、南半球では北寄りに分布しているため、気温が大きく下がることはなく、温暖で過ごしやすいのもポイントです。

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世界における地中海性気候の分布

地中海性気候は、その名前から地中海沿岸エリア固有の気候と思われがちです。しかし、実際は、同じような気候のエリアがいくつかあります。地球上の地中海性気候の分布を見ていきましょう。

地中海沿岸エリア

地中海性気候が見られるエリアで最も有名なのが、地中海沿岸です。具体的には、下記のような国が挙げられます。

・イタリア、スペイン、モナコ、ギリシャなどのヨーロッパ南部
・モロッコ、チュニジアなどのアフリカ北部
・トルコなど西アジアの国の一部

ただし、地中海性気候は非常に限定的で、同じイタリアでも、北部に行くと気候は全く異なります。1年を通して温暖で過ごしやすく、リゾート地や観光地として世界的に人気なのが地中海性気候のイタリア南部です。

ナポリ港とヴェスヴィオ山。イタリア第3の都市ナポリには、歴史地区やポンペイ遺跡などの世界遺産がある(イタリア)

南半球は南緯30度付近に点在

南半球では、3大陸の南緯30度付近で地中海性気候が見られます。

アフリカ大陸では、南アフリカ共和国南部、南アメリカ大陸ではチリの中央部、オーストラリア大陸では西南端の都市パースの近辺が該当します。

いずれのエリアも、近年、人気が高まっている「ニューワールド・ワイン」の産地として有名です。

同じ地中海性気候のイタリアやスペインのように、ブドウの栽培に適しており、大きな産業となっていることが分かります。

オーストラリア・パースのブドウ畑

北アメリカ大陸の西海岸にも存在

地中海性気候のエリアは、北アメリカ大陸の西海岸にもあります。アメリカの場合は、北はシアトルから南はロサンゼルス辺りまで、南北に長く延びているのが特徴です。

寒流である「カリフォルニア海流」が近くを流れているため、地中海沿岸エリアに比べると、気温はさほど高くありません。

ロサンゼルス。カリフォルニアの青い空と摩天楼(アメリカ合衆国)

夏の乾燥に適した農業とは?

農作物の生育には「雨」が欠かせませんが、夏に雨が降らないエリアでは、乾燥に強い植物を育てる独自の農業様式が発展してきました。

地中海性気候のエリアで行われる農業の特徴と、主な特産品を見ていきましょう。

主に行われる地中海式農業

地中海沿岸のイタリアやスペイン、ギリシャなどで行われてきた農業様式を「地中海式農業」といいます。

地中海式農業は、夏と冬で栽培する作物を分けると同時に、乾燥に強い家畜を飼育しているのが特徴です。

夏には、乾燥した気候に適したオリーブ・イチジク・トマト・ブドウ・レモンなどを、雨が多い冬は小麦を中心に栽培します。

夏にとれる農産物は、主に商業用で、オリーブオイルやワイン、トマトソースなどに加工されて世界中で親しまれています。

どこまでも延々と続くオリーブ畑(スペイン・グラナダ地方)

地中海式農業の盛んな地域は?

地中海式農業は、もともとイタリア・スペイン・ギリシャ・南フランスなどの地中海沿岸エリアで盛んに行われてきました。山の傾斜に沿って、階段状の耕作地が広がる景観は、地中海沿岸エリアの特徴的な風景です。

また、アメリカのカリフォルニア地方では、近代的な灌漑(かんがい)設備を用いた地中海式農業により、オレンジなどの柑橘(かんきつ)類を大量に栽培しています。

地中海性気候が見られる南半球の各地域でも、地中海式農業が取り入れられています。特に、ブドウの栽培が盛んで、ワインとして加工するだけでなく、デザート用のブドウも、近年よく出回るようになりました。

温暖な地中海性気候について理解しよう

地中海性気候は基本的に温暖で晴れの日が多く、乾燥した気候です。過ごしやすいとされる温帯の中でも爽やかで、気候を生かして作られる、おいしい農産物も魅力です。地中海性気候の特徴を理解して、地理の学習に役立てましょう。

構成・文/HugKum編集部

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