反抗期がないのはおかしい?
反抗期とは、成長の過程で、親や周囲の人たちに反抗的な行動・態度をとりやすくなる期間を指します。
人生において迎える反抗期は基本的に2回とされ、そのうちの「イヤイヤ期」としても知られる幼児期(1歳半〜4歳ごろ)の反抗期を「第一次反抗期」、思春期(小学校高学年〜中学生ごろ)の反抗期を「第二次反抗期」と呼びます。自我の発達や、心身の成長にともなう不安・ストレスのやり場のなさが原因となる場合が多く、反抗期は大切な「心の発達のステップ」と言えるもの。
しかし、昨今では「反抗期がない」という例も少なくありません。大切な「心の発達のステップ」でもある反抗期がないと、どのような問題が想定されるのでしょうか。
まずは、お子さんに「目立った反抗期がなかった」ご家庭から寄せられた体験談から見ていきましょう。
子の反抗期がなかったママパパ体験談
第一次反抗期
1歳半〜4歳ごろに迎える「第一次反抗期」。「イヤイヤ期」としても知られ、多くのママパパたちが頭を悩まされるイメージがありますが、そんな「イヤイヤ期」がなかったというケースも多いようです。
HugKumがアンケート調査したご家庭からは、そもそもどれほどの反応がイヤイヤ期とされるのか分からなかったため、「第一次反抗期」がなかったように思うとの声が寄せられました。
そして、自我の発達のサインと考えられる「イヤイヤ期」がないことに不安を感じる声も。
一方で、「イヤイヤ期」が大変にならないように気を配っていたことで、「イヤイヤ期」が軽減されたというご家庭もあります。
第二次反抗期
思春期にむかえる「第二次反抗期」がなかったとの回答も多数見受けられました。
「第一次反抗期」がなかったご家庭に比べて、「第二次反抗期」がなかったご家庭からは、「反抗期がない=子どもの性質」として過度な心配はせずに、どっしりと構える声が多い印象です。
ただし、子どもが自分を抑えているのではないかと心配する声も。
▼関連記事はこちら
反抗期がない子に考えられる理由
では、反抗期がないケースに考えられる理由も、あわせて見ていきましょう。反抗期がなくても安心な場合と、心配な場合があります。
親と良好な関係が築けている
子どもに目立った反抗期が見られない理由のひとつとして考えられるのが、このケース。親がしっかりと子どもの変化に気づき、適切な行動をできていたり、ふだんから自分の意志や考えを子どもが親に示せる関係が築けている場合は、そもそも子どもが反抗する理由が少ないと言えます。
だからといって「反抗期がある=親との関係が悪い」というわけではありませんが、このケースの場合は、反抗期がないことをポジティブに捉えて良さそうです。
親に支配されていて反抗ができない
逆に、親の束縛や支配が強い場合も、反抗期は起こりにくいと言えます。親の主張が強すぎる場合、子どもは反抗したくてもできなかったり、自分の意見を言っても無駄だと諦める思考に陥りがちに。
反抗をするほどのコミュニケーションが取れていない
親の多忙や無関心から、子どもが反抗する機会もないほどコミュニケーションが取れていないという場合もあるようです。反抗期以前の問題なので、まずはお子さんと向き合える十分な時間をとる必要があります。
子どもの性質によるもの
また、もともとのお子さんの性質から、反抗期がないというケースもあります。
親思いな性格だったり、優等生気質で、反抗心はあっても自分の意見を胸にしまってしまうというもの。
お子さん自身が納得しているのであれば問題はありませんが、自分を押さえつけている場合は、そのストレスを取り除いてあげる必要があります。
反抗期がないと将来反動がくる?
では、反抗期がなかった場合、将来なにかしらの反動や影響が起こりうるのでしょうか? ここではその可能性についてお伝えします。
後々、爆発してしまうパターンも
自分を抑え込んだことで適切な時期に反抗期を迎えられなかった場合、溜め込んでしまったストレスを後々大爆発させてしまう可能性もあります。自分の気持ちをうまく言い表した経験がないために、引きこもりや暴力に発展する場合もあるので注意が必要です。
HugKumがアンケート調査したご家庭からは、20歳を過ぎてから反抗期を迎えたという声も寄せられています。
自分の意志や考えを主張できない大人になる場合も
こちらも同様に、自分を抑え込んでしまい、適切な時期に反抗期を迎えられなかったことが原因で起こりうるケース。人に自分の葛藤や主張を訴える反抗期を経てこなかったことで、大人になってからも、自分の意志や考えをうまく人に伝えられないことがあります。自分で大切な判断ができず、親へ依存したままになる可能性も。
▼こちらの記事もおすすめ
反抗期がない子への対処法
では、上記のような反動を防ぐためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか。反抗期がない子にできる対処法として、以下の行動が考えられます。
親の意見を押し付けない
もしも子どもに親の意見を伝えすぎている場合、それがお子さんの意思表明の妨げになっているかもしれません。
特に、もともと引っ込み思案なタイプの子は、伝えたい思いがあっても、親の意見を優先してしまいがち。アドバイスをすることはあっても、親の意見を押し付けないように注意したいところです。
子どもの気持ちや考えに耳を傾ける
「反抗期」として目に見えて表出されなくとも、成長に伴う葛藤は誰にでもあるもの。
自分の気持ちや考えを胸にしまう癖がついてしまわないように、お子さんが思っていることに耳を傾ける習慣をつけましょう。
次第に、お子さんが自分の意思を伝えやすい親子関係を構築していけると良いですね。
周囲とどのようなコミュニケーションが取れているかが大切
反抗期がないからといって、悲観的になる必要はありません。反抗期の有無よりも、この時期に、親や周囲の人たちとどのようなコミュニケーションができているかが大切。難しい時期ではありますが、コミュニケーションを重ねながら、お子さん自身も気付けていないような、意思や考えを引き出してあげましょう。
あなたにはこちらもおすすめ
構成・文/羽吹理美