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高学年はどんな時期? 性別によって差はある?
男女の性差が大きく現れたり、人間関係のあり方も複雑化したり。小学校高学年になると、大人と同様に自分で物事を考え判断できるようになる一方で、これまでよりも複雑な悩みごとや問題を抱える子が多くなります。
女の子は男の子よりも成長が早い?
なかでも女の子は初潮を迎えたりと、当然ながら個人差はありますが、男の子よりも比較的早く成長や変化が見受けられます。反抗的な態度を見せる子も増え、時には、そんな娘への対応が難しいと感じることもあるかもしれません。
そこで今回は、高学年になる女の子事情をリサーチ。その成長・変化の特徴や、HugKum読者のご家庭から寄せられた体験談をもとに、親として、この時期の女の子にどう関わっていけば良いのかを検討していきます。
高学年で、女の子はどのように成長・変化する?
まずは、高学年の女の子にはどのような変化や成長が訪れるのか、その特徴を把握しておきましょう。
身体の変化に伴い、情緒が不安定になる場合も
この時期になると、多くの女の子が初潮を迎えます。徐々に胸が膨らみ、身体つきも女性らしく変化。それに伴い、貧血気味になったり、ホルモンバランスが乱れて情緒が不安定になる場合があります。
集団行動が多くなり、人間関係が複雑に
また、高学年の女の子は、男の子に比べて、不思議と「集団行動」が増えます。理由としては、成長過程における人間関係への不安感(同性で集っていると安心できる、自分の決まった居場所があると気持ちが安定する)などが挙げられますが、実際には諸説があるようです。そして、この集団行動が排他的であると、何かとトラブルの原因になりがちに。
親に対して反抗的になることも
少しずつ自立心が芽生えはじめ、その反動で親に反抗的な態度をとる子どもが多くなります。これまでは絶対的であった「親」という存在を多角的に見られるようになると同時に、親が言うことに疑問を抱いたり、反抗心を抱いたりすることも。
【読者体験談】 高学年女子特有の難しさとは?
では、実際にはHugKum読者の親御さんたちは、どのようなシーンで高学年女子特有の難しさを感じているのでしょうか? HugKum読者を対象にアンケートで聞いてみました。
友人関係のトラブル
まず挙がったのが、「友人関係のトラブル」でした。先述したとおり、高学年の女の子はグループ行動が増えるため、そこにうまく入れなかったり、グループ内で揉め事があったりと、なにかとトラブルに見舞われがち。自分で物事を考えられるようになる一方で、ひとりで悩みを抱え込んでしまう子も多いようです。
スマホ・携帯によるトラブル
また、最近では小学生のうちからスマホを持つ子が増え、それがトラブルの原因となることも多いようです。いじめにまで発展するケースもあるので、スマホを持たせる際にはルールをしっかり決めておく必要があります。
感情的になって言うことを聞かない
また、飛躍的に身体が変化するこの時期の女の子は、ホルモンバランスが不安定になることから自律神経が乱れ、イライラしたり情緒が不安定になる場合があります。同時に自立心も成長しているため、これらの要因が合わさって、反抗的かつ感情的に親に当たる子が増えるようです。
嘘をつくようになった
低学年の頃に比べると、嘘が上手くなるのもこの頃の子どもの特徴。生きていく上での処世術のひとつとも言えるため、嘘をつくようになることも「成長の証」のひとつとして捉えることができます。とはいえ、何が本当で何が嘘かわからないと、親としては戸惑ってしまいますよね…。
口答えや言い訳が多い
嘘が上手くなるのと同様に、口答えや言い訳が激しくなったとの回答もありました。これもまた、自己主張という成長の一過程…とはわかっていても、あまりにも頻繁だと、大人だってついムキになってしまうことも…。
娘の気持ちの理解や接し方が難しい
どうしてイライラしているのか、何が不満なのか…娘の気持ちがかつてのようには分からなくなってしまい、接し方に難しさを感じている、との声も。娘さん自身が「自分の気持ちが分からない」場合もあるので、あくまでも冷静に対処したいですね。
父親と話さない
この時期は、異性を意識しはじめると同時に、父親を避けるようになる女の子も多くなります。父親は、母親以上に娘との距離感を意識していく必要があるようです。詳細は、以下の章でお伝えしていきます。
【シチュエーション別】高学年女子への親の対応
みなさんから寄せられた体験談からも分かるとおり、高学年女子にはさまざまなトラブルや問題が付きもの。これらに直面したとき、親はどのように対応すれば良いのか、下記ではそのヒントを、シチュエーションやトラブル別に解説します。
子どもが悪口を言うとき
集団行動が多くなる高学年女子の悪口は、友人関係を保つためのものかもしれません。誰かが言っている悪口に同調することで、自分の身を守っている場合もあるようです。
とはいえ、悪口を言うことは、決して良いことではないですよね。子どもが誰かの悪口を言っていたら、まずは「なぜ悪口を言うのか」、子どもの気持ちを聞いてみることが大切です。そして、子どもの気持ちに寄り添いつつ、「悪口は誰かを傷つける」ということを諭しましょう。
もしもその悪口が他の問題につながっていて、子ども同士で解決できそうにない深い問題をはらんでいる場合は、担任の先生に相談するのもひとつの策です。
スマホを持たせるとき
子どもにスマホを持たせると、家族間での連絡がスムーズかつ便利になりますよね。一方で、お友達とのやりとりが頻繁になり、アプリ等の活用が増えると、これがまたトラブルの大きな要因になりがち。高学年女子特有のグループトラブルがスマホを介して拡大するパターンもあります。
子どもにスマホを持たせるときは、使用時間の制限や、やってよいこと・ダメなことを決めるなど、事前にしっかりとルールを設けるようにしましょう。「フィルタリング機能」や、SNS・メッセージアプリでのやりとりを見守ってくれる「見守りアプリ」を親が上手に活用することも大切です。
父親を嫌いはじめたとき
この時期の女の子は、ただでさえ異性に嫌悪感を抱く場合があるため、父親が家庭内でデリカシーのないふるまいをしていると、娘にいやがられる可能性が高いです。
たとえば、半裸でリビングをうろついたり、娘のスマホを覗き込んだりするのはNG。高学年の娘には、一人の女性として、適切な距離感とデリカシーを大切にしつつ関わるようにしましょう。
子どもがいじめに加担しているとき
子どもがいじめに加担していた場合、まずは子どもや学校の先生と冷静にコミュニケーションを取り、状況を把握しましょう。もしもいじめの加害者であることがわかった場合は、いさぎよく認め、被害者にきちんと謝罪します。
また、いじめ加害者は、家庭内で何かしらのストレスを抱え、それが原因でいじめを行なっている場合が多いと言われます。子どもに事の重大さを諭すと同時に、親自身も、家庭環境や自分の子どもへの接し方について、しっかりと見直し再発防止に努めましょう。
子どもがいじめられているとき
子どもがいじめられていることがわかった場合、まずは冷静に、子どもから事情を聞き取って、「いつ・どこで・だれに・なにをされたか」文書化しましょう。文字情報としてまとまっていると、記録として役立つだけでなく、他者にも具体的に状況を伝えやすいはずです。万が一怪我をしていた場合は、写真に記録しておくことも必要です。
また、もしも暴力をふるわれていたり、物を壊されたり、金品を取られたりなどの犯罪行為がみられる場合は、学校の担任や校長先生、警察に相談しましょう。
犯罪行為に至っていない場合は、まずは親が絶対的な味方であることを伝え、お子さんの心のケアに努めることが大切です。すぐには解決できず、お子さんが学校に行くことが辛ければ、しばらくお休みすることもひとつの手。子どもが学校を休んでいる間に、親が先生と話し合って、解決に向けて動きます。
【注意点】親の関わり方として気をつけたいポイント
前の章では、シチュエーション別に高学年女子への対応のヒントをお伝えしてきましたが、悩みごとは解決できそうでしょうか? ここではシチュエーションにとらわれず、親として高学年の娘に関わる際の注意点をお伝えしていきます。
頭ごなしに叱るのはNG
子どもが反抗的な態度をとる時や、言うことを聞かない時も、頭ごなしに叱るのはNG。繰り返しになりますが、この時期の子どもには自分で考え、判断したい自立心が芽生えはじめます。特に女の子の場合は、男の子よりも早く成熟している場合が多いようです。
無理強いをすると、ただただ反抗心を刺激してしまうので、「子ども」としてではなく「一人前の人間」として、気持ちや意思を尊重しながら真摯に向き合うようにしましょう。
「指示」「命令」はせず、「ヒント」を与える
また、性別に関わらず、この時期の子どもを指導する際は、命令口調にはならず、まずは納得ができるように論理的に話をしましょう。そして、自分で考えて解決策を見出せるような「ヒント」を与えるに留めるのがおすすめです。
どんなシーンにおいても、「自分で思考した」こと、その上で「行動をした」ということが大切な経験となります。
何か失敗をしてしまった時や問題を起こした時も、子どもが自分の非を認められるように、誘導してあげましょう。
親も子離れの準備を
子どもに自立心が芽生えはじめたら、親も少しずつ「子離れ」の準備をしていきましょう。子どもの自主性を重視しているうちに、きっと親も子どものことを「一人前の人間」として捉えられ、自然と子離れができるはず。
娘さんが悩んでいたら、上から「こうしなさい」と指示するのではなく、「こんなのはどう?」と同等の目線でアドバイスができるようなヨコの関係を築けるとベストです。
高学年女子の子育てに悩んだら手に取りたい本
考えれば考えるほど悩ましく、奥が深い高学年女子の変化や心理。ここでは、そんな高学年女子の子育てに行き詰まってしまった際に、きっと役立ってくれる書籍をご紹介します。
口に出せない気持ちをわかってほしい 思春期の女の子が親に求めていること
思春期の悩みは、なかなか親には言い出しにくいもの。本書では、これまでに3000組以上の親子関係を見てきた心理セラピストが「心と体」「友だち関係」「勉強」など5つの側面から、それぞれの問題に「親がどう対応すべきか」を解説。
女の子の本音がどんな行動や態度に表れているのか。親はどんな目配りをする必要があるのか。具体的な特徴や対応法から、保つべき距離感までをも伝授してくれる必読書です。
娘のトリセツ
成長とともに娘との関わり方に戸惑いがちなパパ。本書はそんなパパ向けに、人工知能研究者であり脳科学コメンテイターの著者が、男女脳の違いから、女の子育てにおいて大切なポイントを解説します。
父と娘とのコミュニケーションが、その後の娘の人生に影響するというくだりは必読。高学年の時期に限らず、娘の幸せを見守り育むためのトリセツです。
小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと
いよいよ同等にコミュニケーションが取れるようになる小学校高学年。思春期開始後も親子の信頼関係を結んだままでいるためには、この時期にしっかりと子どもと向き合うことが大切です。
本書では、そんな中学校前の小4〜小6の過ごし方やこの時期に気をつけたい「親としてのふるまい」を徹底的に教えてくれます。子どもが自分で物事を考えられるようになった今こそ、真剣に対話を重ねましょう。
日々、親子の信頼関係を構築していくことが大切
高学年女子はデリケートな悩みを抱えやすいことを、あらためて認識できましたね。高学年にもなると、子どもは話す相手を見極めて「どの人にどのくらい胸の内を打ち明けて良いものか」を判断します。
デリケートな悩みを抱えているときでも、娘に心をひらいてもらうためには、日々、親子の信頼関係を構築していくことが大切です。今回お伝えしてきたポイントを押さえつつ、今まで以上にしっかり娘さんと向き合ってみてくださいね。
構成・文/羽吹理美