正式な社名は「小文字」になっていない!
正解は、
「シャチハタ」→「シヤチハタ」
「キャノン」→「キヤノン」
どこが違うか、おわかりですよね。「キュ」の「ュ」、「シャ」「キャ」の「ャ」は、正式な社名では小文字になっていないのです。どうしてなのでしょう。
もちろんそれぞれの会社によって事情のあることだと思いますが、その理由をことばの面から説明することができるのです。
実は、キャ、キュ、キョ、シャ、シュ、ショのように小さな「ャ、ュ、ョ」を綴(つづ)りにもつ音節を表記する場合、かつては、「ャ、ュ、ョ」を小文字にすることはなかったのです。このような、小さな「ャ、ュ、ョ」を伴う音は、「拗音(ようおん)」と呼ばれています。
戦前からある企業の「証し」
この拗音で使われるャ、ュ、ョが、小文字で書かれるようになったのは、比較的新しく、第二次世界大戦後のことです。1946年(昭和21年)に公布された「現代かなづかい」には、「拗音をあらわすには、や、ゆ、よを用い、なるべく右下に小さく書く」とあります。なぜこのような注記が必要だったかというと、それ以前は、拗音を小さく書く慣習はほとんどなかったからです。
上記の3社は、いずれも創業は戦前です。従って、拗音を小文字にする必要はなかったのです。
「現代かなづかい」は、1986年(昭和61年)に「現代仮名遣い」として改定されました。そして、そこにも「拗音に用いる『や、ゆ、よ』は、なるべく小書きにする」と書かれています。「なるべく」とわざわざ断っているところを見ると、上記3社のような例もあるので小文字にはしない表記も認めるということでしょう。さりげない注記ですが、とてもいい判断だと思います。
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