衆議院と参議院の違いを知ろう! 国会の基本情報を詳しく紹介

2022年7月は参議院議員選挙が予定されており、テレビやネットで連日その話題が取り上げられます。一方、その参議院と並ぶ「衆議院」については理解していますか? 参議院との違いや、衆議院議員の選ばれ方、衆参両院の国会の仕組みまで含めておさらいしましょう。

国会についての基礎知識

衆議院・参議院はともに国会を構成する二つの院の一つです。まずは国会の役割や仕組みについて、基礎知識をおさらいしましょう。

国会の役割や種類

国会とは、選挙で選ばれた国民の代表(国会議員)が集まり、国の政策について審議する場です。国会には必ず開かれる「常会」のほかに、「臨時会」「特別会」があります。

「常会」の会期は150日間で、毎年1月に召集されます。「臨時会」は主に補正予算や外交に関することなど、急を要する事案があるときに開かれる国会です。

「特別会」は衆議院が解散し、総選挙が実施されたときに開かれ、内閣総理大臣の指名などを行います。臨時会と特別会の会期は国会の議決で決まり、2回まで延長が可能です。

参考:国会に関するよくある質問 | 首相官邸ホームページ

国会の仕組み

日本の国会は「二院制」といって、「衆議院」と「参議院」の二つで成り立っています。両院は独立しており、審議から決議まで個別に行う仕組みです。

二院制には国の政策を、より慎重に決められるメリットがあります。選挙の時期や方法が異なるため、国民の意見を幅広く取り入れられるのもポイントです。

日本では、国の権力を「立法権(国会)」「行政権(内閣)」「司法権(裁判所)」に分ける「三権分立」が採用されています。一つの機関に権力を集中させないことで、国民の自由と権利を守っているのです。

もし、行政を担う内閣がほかの権限も持っていたら、為政者に都合のよい法律がつくられたり、不公平な判決が出されたりするかもしれません。そのような事態を防ぐために、国民の代表である国会議員が、法律や予算を決めることになっているのです。

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衆議院とは?

最初に「衆議院」のほうをおさらいしておきましょう。衆議院議員は国民の代表として、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。選挙の方法も合わせて見ていきましょう。

衆議院の仕事

国会では主に、下記の事項について話し合われます。

・法律案の審議
・予算案の審議
・内閣総理大臣の指名
・国際条約の承認
・国政に関する調査
・裁判官の弾劾裁判など

法律案は政府(内閣や中央官庁)だけでなく、議員が提出することもあります。国会での審議にあたり、内閣への質問書を作成したり、国民からの請願を紹介したりするのも議員の仕事です。

予算については、衆議院から先に審議が始まり、可決した上で参議院へと送られます。

衆議院の選挙について

衆議院の任期は4年ですが、任期の途中で解散されるケースもあります。任期満了時や解散時には、全議員を新たに選び直す決まりです。

一方の参議院は、任期が6年で解散もありません。3年ごとに選挙を行って、議員を半数ずつ入れ替える仕組みです。そのため、衆議院議員を選ぶ選挙は「総選挙」、参議院議員を選ぶ選挙は「通常選挙」と呼ばれています。

任期が短く常に解散の可能性がある衆議院は、国民の声をより早く、的確に反映できる場所です。衆議院議員総選挙は、投票する私たちにとっても大変重要なイベントといえます。

参議院とは?

一方「参議院」にはどんな役目があるのでしょうか。衆議院と参議院との間には、任期以外にもいくつかの違いがあります。主な違いと参議院に求められる役割を見ていきましょう。

基本情報を比較

両院の大きな違いは議員の定数で、衆議院は465名、参議院は245名です。ただし、参議院の定数は、2022年の通常選挙から248名に増えます。

また、議員に立候補できる年齢も異なり、衆議院が満25歳以上、参議院が満30歳以上です。選挙区も、以下のように異なることを覚えておきましょう。

・衆議院:全国289区の小選挙区及び全国11区の比例代表
・参議院:都道府県単位で45区(合区あり)及び全国を1区とする比例代表

なお、都道府県単位の選挙区については、鳥取・島根及び徳島・高知がそれぞれ2県で1選挙区(合区)となっています。

参考:
選挙について:よくある質問:参議院
総務省|選挙の種類

参議院の仕事

参議院の仕事内容は、衆議院とほぼ同じです。ただ、衆議院が解散中に急を要する事案が発生した場合は、「参議院の緊急集会」が開かれ、参議院のみで審議を行います。

参議院は「良識の府」「再考の府」などと呼ばれることもあります。任期が6年あって解散しない参議院では、法案などを同じメンバーで、長く審議することが可能です。

このため参議院には、時勢に左右されやすい衆議院に対する監視や、軌道修正の役割が期待されているのです。

衆議院の優越が認められている

二院制には、お互いの意見が食い違ったまま平行線をたどると、審議が進まなくなるデメリットがあります。そういったときのためにあるのが、より世論を反映しやすい衆議院の意見を優先させる「衆議院の優越」です。

衆議院の優越が適用される主な事柄は、以下の通りです。

・法案の議決
・内閣総理大臣の指名
・条約の承認

予算については急いで決める必要があるため、衆議院が先に議決することになっています。さらに、内閣不信任について決議する権利は、衆議院のみに認められています。

国民の声を反映する「衆議院」、慎重な国会審議の番人「参議院」

国会で決まる法律や予算の使いみちは、私たちの生活に大きく影響します。国会議員の仕事は、国民の声を正しく政策に反映させ、より暮らしやすい社会をつくることです。

成人年齢が18歳に引き下げられ、若い年代の政治参加が求められています。衆参両院や国会運営の仕組みをきっちり理解したうえで、選挙の際には誰に投票するべきか、子どもにも考えさせてみるとよい勉強になるでしょう。

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構成・文/HugKum編集部

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