「温故知新」の具体例知ってる? 言葉の意味や由来、英語表現まで解説

「温故知新」の読み方は「おんこちしん」で、意味は、「過去のことから学び、新しい知識を得る」です。座右の銘にされたり、スピーチなどでも使われたりする言葉ですね。今回は「温故知新」の例文や英語表現、類語、対義語まで徹底解説します。

「温故知新」とは?

ニュースや会話などでよく聞く「温故知新」。座右の銘にされたり、スピーチなどでも使われたりする言葉ですね。なんとなく意味はわかっていても、いざ言葉の意味を聞かれると、詳しく説明できない方もいるかもしれません。

そこで今回は、言葉の由来、類語などもまじえ、「温故知新」の意味をわかりやすく解説します。

読み方と意味

「温故知新」の読み方は「おんこちしん」。「過去のことから学び、新しい知識を得る」という意味の四字熟語です。

訓読すると「故(ふる)きを温(たず)ねて新(あたら)しきを知(し)る」。なお、この「温」は、「たずねる」ではなく、「あたためる」と読む解釈もあるそうです。ただし、「故」は「古」ではないので、その点は間違えないように注意しましょう。

由来・語源

「温故知新」の由来は、儒教の経典の一つ『論語』にあるとされています。『論語』とは、中国の昔の思想家・孔子(こうし)と、その弟子たちの会話などをもとに、孔子の教えをまとめたものです。

この書物に書かれている「温故知新」の語源となる原文は、「温故而知新 可以為師矣」。これを簡単に現代語訳すると「古くから伝わる教えを学び、新しい知識を得ること。そうすると、師になれる」です。この教えがもとになって、「温故知新」という言葉が生まれました。

使い方を例文でチェック!

過去のことから、将来に生かす知識やアイデアを得るという意味の「温故知新」。正しい意味を知ったところで、「温故知新」をどのように使えばいいのか見ていきましょう。「温故知新」により生まれた物の具体例も紹介します。

1:「歴史の授業から学んだことを活かして、温故知新の精神を持ち続けるようにしてください」

「温故知新」は、学生や若い人たちへの教えでも使われることが多い言葉です。この例文では、歴史という教科・学問を修めた学生に向けて、先生が「過去の出来事から学び、新しい知識を得ようとする気持ちを忘れないでください」と言っています。なお「温故知新」は、この例文のように「温故知新の精神」と表現することもできますよ。

2:「この革命的な商品は数々の失敗から生まれたそうだ。まさに温故知新だね」

画期的な商品やサービスも、多くの失敗がもとになって生まれているケースがほとんどではないでしょうか。過去の失敗からその原因を探り、試行錯誤をしていくからこそ、新しい方法や知恵が浮かぶものです。

3:「温故知新といえば、東京スカイツリーは五重塔の建築からヒントを得てつくられたそうだ」

東京スカイツリーは、1300年以上も前に建てられた法隆寺の五重塔に着想を得て建築されたのだそうです。五重塔の中心には、心柱と呼ばれる大黒柱のようなものが立っています。この心柱は、外周部の塔体と直接つながっていないのだとか。

この仕組みが、地震の揺れを軽減させ、塔を倒れにくくしているのだそうです。東京スカイツリーもこの仕組みを参考にして、中心に心柱を立てています。まさに昔の知恵から着想を得たという意味で「温故知新」といえる例ですね。

類語や言い換え表現とは?

「温故知新」の同義語も確認しておきましょう。言い換え表現を知ることで、語彙力がアップしますよ。

1:覧古考新

「覧古考新」の読み方は「らんここうしん」です。意味は、「古い事柄を参考にして、新しい問題を考えること」。「古(ふる)きを覧(み)、新(あたら)しきを考(かんが)える」と訓読することもできますよ。「温故知新」とほぼ同じ意味ですので、類義語として使っても問題ないでしょう。

2:彰往察来

「彰往察来」とは「しょうおうさつらい」と読みます。意味は、「昔の出来事を明らかにして、先のことを予測すること」。こちらも、「往(おう)を彰(あきら)かにして来(らい)を察(さっ)す」と読むこともできます。

3:承前啓後

「承前啓後」は「しょうぜんけいご」。訓読すると「前(まえ)を承(う)け後(あと)を啓(ひら)く」です。「昔からのものを受け継ぎ、後世につなぐ」などの意味を持ちます。昔から続く事業や、学問、文化などを大切にして、後世にしっかりと引き継ぐという意味合いで使われることが多いようです。

対義語とは?

続いて、「温故知新」の対義語に当表現表現をいくつか紹介します。反対の意味を持つ言葉を知ることで、より「温故知新」という言葉への理解が深まりますよ。

1:前車の轍を踏む

「前車(ぜんしゃ)の轍(てつ)を踏(ふ)む」とは、「先人のした失敗を繰り返すこと」。この「轍」とは、「車輪の跡」という意味。前の車が転倒した跡は避けるべき、つまり、先人のした失敗を繰り返すなという戒めを込めた言葉です。「温故知新」は、先人から学び、新しい知識を得るという意味ですから、反対の意味を持つ言葉として適しているでしょう。

2:二の舞を踏む

「二の舞を踏む」の意味は「人の後に出て、その人の真似をすること」「前の人と同じ失敗を繰り返すこと」です。こちらも、前の人の行動から学ばず、同じ失敗を繰り返してしまっているため、「温故知新」の対義語といえなくもありません。

英語表現とは?

「温故知新」を英語で説明したい場合は、どのような言葉を使えばいいのでしょうか。英語にも、「温故知新」に似たことわざのような表現もあるので、いくつか紹介しましょう。

1:He that would know what shall be, must consider what has been.

この表現を直訳すると、「(これから)どうなるかを知りたければ、(過去)どうだったのかを考えなければいけない」です。つまり、過去のことから学ぶことで新しい考えを得られるという意味の「温故知新」をさす英語になります。

2:Remember to build on the old ways of doing things to develop something new.

この英文は「新しきことをするためには、古いやり方に基づいて進めることを忘れずに」といった意味を持ちます。「故きを温ねて新しきを知ることが大事」と伝えたい場合にぴったりな表現でしょう。

最後に

今回は、「温故知新」について例文や類語をまじえながら詳しく解説しましたが、意味をしっかりと理解できましたか?  四字熟語やことわざのなかには、よく耳にするけれども、正しい意味を知らない言葉がありますよね。これを機会に正しい意味を知って、実生活でも自信を持って使えるようになりましょう。

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構成・文/結野雅美(京都メディアライン)

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