月謝の相場や費用は?ピアノの習い事の効果やメリット、子どもに始めさせる時期

習い事の中でも人気のピアノ。実際に子どものころ習っていたという親御さんも少なくないと思います。わが子にこれから考えているという家庭も多いと思いますので、今回は習い事としてピアノを習わせるメリットをまとめてみました。

ピアノの習い事をさせるメリット

ベネッセ教育総合研究所が行った『第5回 幼児の生活アンケート』を見ると、ピアノは安定して人気の習い事の1つに選ばれていると分かります。同調査内の選択肢は「楽器(ピアノやバイオリンなどの個人レッスン)」となっていて、必ずしも「習っている(習わせている)」と回答した人がピアノをやっているかどうかは分かりませんが、やはり楽器と言えばピアノを選ぶ人が数としては主流だと思います。

また、厚生労働省の『第6回21世紀出生児縦断調査結果の概況』を見ても、特に女子(の親)がピアノなど音楽の習い事を、他と比べても圧倒的に多く選んでいる傾向が分かります。女子の習い事として、ピアノを中心とした音楽はやはり鉄板みたいですね。

男の子も一緒!? ピアノを習い事として選ぶとどんなメリットや効果があるの?

では女子の習い事として特に人気のあるピアノには、どのような効果があるのでしょうか?習い事に「効果」や「成果」ばかりを求めてはいけないという意見もありますが、お金を払って習わせる以上、ちょっとした「効果」を期待してしまう親心は当然ありますよね。

ピアノを習わせるとなれば、もちろん「将来はピアニストに」という淡い期待が出てくると思います。しかし、子どもが一握りのプロのピアニストになるには、親子で厳しい競争に勝ち抜かなければいけません。そうした現実を考えると、「ピアノを習わせる」→「プロになれる」「音楽で生きていける」という考え方は、ちょっと飛躍しすぎかもしれませんね。

現実的に言えば、「情操教育のために」だとか、「将来の子どもの豊かな人生のために」といった目的で習わせる親御さんが多いと考えられます。井上好人著「幼児期からのピアノレッスンによって身体化された文化資本のゆくえ」と言う論文によれば、少女時代の豊かな文化的環境や文化体験が、学校での好成績や高学歴をもたらし、結婚市場でも資産の大きな異性を配偶者に得る可能性が高いと、幾つもの研究が明らかにしているそう。

同じく井上公人著の「日本におけるピアノ所有の社会的意味の変容に関する分析―威信財から教育財、教育財から選択的贅沢趣味財へ―」では、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの論文が紹介され、

<上層階層出身者ほど、勉強に直接役立つ習慣や訓練、姿勢だけでなく、芸術的趣味や嗜好といった文化的素養を家庭から相続する>(上述の論文より引用)

と書かれています。両親から「相続」した文化的な素養は学校教育と親しみやすいため、結果として上述したように学校の成績や学歴も高くなる傾向があるのだとか。

ピアノをはじめとして、勉強に直接役立つわけではないけれど、子どもに豊かな芸術体験をさせてあげる親の姿勢こそが、子どもの学業や社会的な成功の一助に結果としてなってくれるとの話。その意味では、もちろん男の子の習い事としても、ピアノは好ましい習い事の一例と言えるかもしれませんね。

ただ一方で、「情操教育」や「芸術的素養」などのすぐに役立たない効果よりも、学力アップという「目に見える効果」だけを取り出してピアノを習わせようとしている人は、ちょっと注意が必要かもしれません。確かに世の中には「東大生の半分が子どものころにピアノを習っていた」的な調査結果があふれていて、うちの子にも習わせれば「頭がよくなる」と考えてしまいますよね。

しかし、上述の井上好人著「幼児期からのピアノレッスンによって身体化された文化資本のゆくえ」という論文でも指摘されている通り、「ピアノを弾けば頭がよくなる」式の考え方は、実際にはきちんと検証されていないために、あまりうのみにしない方が良いとの話。

「東大生」の多くが実際にピアノを小さいころ習っていたとしても、冷静に考えれば「ピアノを習う」→「東大に入れるくらい頭がよくなる」という直接的な因果関係があるかどうかは、全く分かりませんよね。

むしろ他に何か要因(第三因子)があって、ピアノを習わせるような家庭に共通するまた別の特徴(例えば文化的な素養を身につけさせようとする両親の精神的な豊かさや日々の文化水準の高い暮らし)が、子どもの感受性や好奇心を育み、結果として「頭のいい」子どもを育てると考えた方が自然ですよね。ピアノだけを取り出して、習わせれば頭が「良くなる」と考えると、思った「効果」が出ないでがっかりしてしまうかもしれませんね。

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ピアノの習い事はいつから始めさせるべき?

芸術的な経験を豊かにさせてあげる意味で、わが子にピアノを習わせると決めたとしましょう。では、ピアノは一体いつから習わせ始めればいいのでしょうか?

5 歳 9カ月で始めて 12歳 1カ月で辞める流れが一般的

1つのヒントは、成田朋子著「早期教育のあり方について考える―保育科学生とその保護者への習い事についての回想調査に基づいて―」(2013年)という論文に書かれています。文中には名古屋柳城短期大学の学生とその保護者に対して行った習い事についてのアンケート調査があり、習い事を始めた時期と辞めた時期も明らかにされています。回答者がピアノを習っていた期間は、平均すると5歳9カ月~12歳1カ月。

「ピアノは3歳から」という言葉を聞きますが、

<カワイ音楽教室では身体や認知の発達という理由から、ピアノを始める年齢は4歳からが適切と考えています>(カワイ音楽教室のホームページより引用)

とあるように、実際は3歳からではピアノに触るレッスンを行わないスクールが主流です。ヤマハ音楽教室のコース一覧を見ても、ピアノにきちんと触れるレッスンは4~5歳から。その根拠として指先の発達と弾く力の発達が、それ以前は未熟だからとされています。

ヤマハ音楽教室やカワイ音楽教室だけでなく、他のピアノ教室でも3歳以下の子どもたちには多彩な音に触れる機会を提供している様子。その意味では「3歳になったから」と焦らずに、家庭でいろいろな音や音楽に触れさせて、英才教育を施す予定がないのであれば、弾く力の備わってくる5歳・6歳などの段階で始めても問題ないのかもしれませんね。

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ピアノ教室の月謝の相場やかかる費用はどれくらい?

最後に、ピアノを習わせる場合の金銭的な面をまとめてみます。

ピアノの習い事にかかる月謝や費用

ピアノを習う場所としては、個人のピアノ教室、集団で受けられる大手のピアノ教室があります。それぞれの月謝や必要な費用などのくらいなのでしょうか?

例えば上述したヤマハ音楽教室の場合、4歳(年中)と5歳(年少)を対象とした1回60分(年40回)の集団レッスンは、月謝が6,500円、別途で教材費、入会金、施設費が教室によって発生すると公式ホームページ上に書かれています。筆者の暮らす富山市の家の近所にあるヤマハ音楽教室(富山音楽センター)を調べると、

  • レッスン料:月額6,500円
  • 施設費:月額1,000円
  • 教材費:入会時7,600円、半年後5,400円、1年後5,400円、1年半後5,400円

となっています(2年間の4・5歳児 幼児科)。

個人のピアノ教室について言えば、『キッズならいごと』というウェブサイトが(ピアノを習わせる親100人に対してSNSを通じて)行ったアンケート調査を見ると、月謝の相場が4,000~6,000円だと明らかにされています。

電子ピアノだとどのくらい?ピアノの購入費用

上述したように、ピアノは他の習い事と比べても特段に月謝が高いという印象はありません。ただ、ピアノを本格的に習わせたいとなると、自宅にピアノを用意するべきかどうかという問題も出てきます。本格的に習わせたいのであれば、「生ピアノ」と言われる本物のグランドピアノやアップライトピアノを購入したいところですが、予算や音の問題、家の広さの問題があって、電子ピアノで何とか済ませたいと考える親御さんも少なくないと思います。

実際、一般社団法人全日本ピアノ指導者協会がピアノの指導者に対して行った調査によれば、回答88件のうち「電子ピアノで練習してくる生徒が半々、あるいは多い」と答えた先生は56名に達しています。もちろんピアノの指導者たちからすると、電子ピアノで練習する子どもは「生ピアノ」で練習する子どもより、上達に遅れがあると一般に感じられるのだとか。しかし現実問題としては、電子ピアノを保有する形で子どもに習わせている家庭が大半なのですね。

では、電子ピアノは、どの程度の予算がするのでしょうか? 値段的には5万円未満から30万円以上の商品まで幅が大きくあるようで、クロサワ楽器が運営するホームページ情報によると、ピアノの習い事を意識した電子ピアノ選びでは、10万円~20万円の価格帯が好ましいとされています。例えば『価格.com』で売れ筋ランキング1位を獲得する「生ピアノ」のヤマハb113というアップライトピアノは、参考最安価格が432,000円(執筆時点)となっています。電子ピアノの予算はその半額以下。確かに電子ピアノを選択したくなる親御さんの気持ちも分かりますよね。

予算とピアノを置く場所の有無を考えつつ、そもそもなんで子どもにピアノを習わせたいのかを振り返って、現実的な形で自宅に置くピアノを判断したいですね。

文/坂本正敬 写真/繁延あづさ

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【参考】

※ ピアノ教室の月謝の相場・平均はいくら?100人に聞いた! – キッズならいごと

第6回21世紀出生児縦断調査結果の概況 – 厚生労働省

※ 早期教育のあり方について考える―保育科学生とその保護者への習い事についての回想調査に基づいて―

※ 日本におけるピアノ所有の社会的意味の変容に関する分析―威信財から教育財、教育財から選択的贅沢趣味財へ―

※ 幼児期からのピアノレッスンによって身体化された文化資本のゆくえ

価格別!電子ピアノの選び方 – クロサワ楽器 お茶の水駅前店

 

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