【助産師監修】妊娠3か月の赤ちゃんの様子や、ママの過ごし方の注意点を解説

妊娠3か月(妊娠8週~11週)は、子宮がすこしずつ大きくなり、つわりが最もつらくなる時期です。見た目では体にほとんど変化はありませんが、お腹の中にいる赤ちゃんの様子やママの様子はどうなっているのでしょうか? 妊娠3か月のママが赤ちゃんにできること、気を付けるべきこともあわせて、助産師監修のもとご紹介します。

妊娠3か月と赤ちゃんとママの状態を知ろう!

妊娠3か月(妊娠8週~11週)というと、妊娠したことがわかっても、見た目にはまだ妊婦とはわかりにくい頃。でもママの体の中では大きな変化がおき、つわりがピークを迎えるようになります。妊娠3か月の赤ちゃんとママがどんな状態か順にみていきましょう。

妊娠3か月
妊娠3か月の赤ちゃんやママの状態は?

妊娠3か月の赤ちゃんの様子

まず赤ちゃんの状態について。妊娠8週未満の赤ちゃんを「胎芽」と呼びますが、妊娠8週になると「胎児」と呼ばれるようになります

妊娠11週頃の赤ちゃんの頭からお尻までの大きさは4cmほど。体重は10~20gほどで、ミニトマト1つ分くらいの大きさになります。手足や頭と胴体、まぶた、耳たぶなどができ始める頃で、だんだんと赤ちゃんのような体ができあがってきます。

妊娠8週:臓器の基本ができる

妊娠8週頃になると、赤ちゃんに頸部ができて首ができ、手足が少しずつ伸び始めていきます。さらに心臓、肺、肝臓などの内臓の基本ができてきます。さらに超音波検査をすると、赤ちゃんの心臓の音がはっきりと聞こえるようになります。それまで2頭身だった体が、3頭身になっていきます。

妊娠9週:手足の基本ができる

妊娠9週は、伸びてきた手足の形がさらにはっきりとできてくる頃。手足の指が1本ずつできてきます。さらに口や、歯のもととなる「歯根」ができてきます。

妊娠10週:手足を動かす

妊娠10週頃になると、赤ちゃんが羊水の中で活発に動くようになっていきます。手足を自分で動かして自由に動き回ります。また赤ちゃんは羊水を飲んで、尿の排出をするようになります。

妊娠11週:まぶた・耳たぶができる

さらに妊娠11週頃には、まぶたや耳たぶ、唇ができあがってきて、鼻には穴ができてきます。また外性器も少しずつできてきて、妊娠11週の終わり頃になると、女の子と男の子それぞれの変化が始まっていきます。

さらに妊娠11週の終わり頃までには、心臓、肺、肝臓などの臓器の基礎もほとんとできあがってきます。

妊娠3か月のママの様子

次にママの体について見てみましょう。まだ見た目で大きな変化はありませんが、体の中ではさまざまな変化が起きています。

子宮の大きさはグレープフルーツくらい

妊娠していないときの子宮は、鶏卵ほどの大きさです。でも妊娠すると子宮が少しずつ大きくなっていき、妊娠11週頃にはグレープフルーツほどの大きさまでなっていきます。だいたい恥骨の後ろにある程度なので、お腹がふくらむような状態にはなりません。ただ子宮が大きくなることで、足の付け根部分に突っ張られるような感覚を覚える方もいます。

体重に変化はない

妊娠3か月では、まだママの体重は妊娠前と比べて変化はありません。ただ下腹部がわずかにふっくらしてきたと感じることがあるかもしれません。

つわりのピークを迎える

妊娠すると妊娠を維持するための妊娠初期特有のホルモンがたくさん分泌されます。妊娠3か月頃はその分泌が多く、さらに体の大きな変化によって、多くの方につわりが出てきます。一般的につわりは妊娠12~13週頃まで続きますが、ピークを迎えるのが妊娠8~9週(妊娠3か月)の頃。これを過ぎれば少しずつ症状が軽くなっていくことが多いです。

便秘・頻尿

胎盤や胎児に血液を届けるため、ママの体では血液の量が増えます。そして子宮に集まった血流によって膀胱が刺激され、また子宮によって膀胱が圧迫されるようになり、トイレが近くなることがあります。さらに、黄体ホルモンの影響で便秘になりやすいのも特徴。つわりで食事や水分の量が減ることも、便秘がひどくなることに繋がります。

妊娠3か月のママが赤ちゃんのためにできること

まだ小さな赤ちゃんですが、ママにできることはないでしょうか?

妊娠3か月のママが赤ちゃんのためにできること
妊娠3か月のママが赤ちゃんのためにできること

妊婦健診を受ける

ママと赤ちゃんの健康を守るために大切なのは、妊婦健診をきちんと受けること。ママの体の健康状態をチェックするほか、流産のリスクがないかなど確認します。

またつわりの症状がひどい場合は、早めに医師に相談するといいでしょう。つわりの状態に応じて、点滴治療を受けたりすることもできます。

葉酸を摂取する

葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球をつくる「造血のビタミン」と言われています。この葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できることがわかっています。

厚生労働省では、妊娠中の女性は1日400μgの葉酸を摂取することを推奨しています(上限は1mg)。サプリメントなどを利用するほか、葉酸を含む緑黄色野菜などを積極的に摂りましょう。つわりで食べられない場合は、無理をせずに水分を摂るようにしましょう。

体を温める

妊娠中は体が冷えやすい傾向にあると言われています。季節を問わず、体が冷えないように温めてあげましょう。つわりがひどくない場合は、ウォーキングなどの適度な運動を行って血行をアップさせてあげることもいいでしょう。

ストレスをためずリラックスする

ホルモンバランスが大きく変化するこの時期は、心が不安定になりがちです。さらにつわりで体調がすぐれなかったり、妊娠・出産への不安を感じたりすることでストレスをため込んでしまうことも。パートナーや家族に話を聞いてもらったりしながら、ストレスを解消して、できるだけリラックスして過ごしましょう。

妊娠3か月のママが気を付けるべきこと

つわりがつらい時期ですが、妊娠3か月のママが大切な赤ちゃんのために、どんなことに気を付けていけばいいでしょうか?

お酒は飲んでもだいじょうぶ?

アルコールの摂取

ママが妊娠中にお酒を飲むと、吸収されたアルコールが胎盤を通して赤ちゃんにも届きます。妊娠中のアルコール摂取は赤ちゃんにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

アルコールを摂取した女性から生まれた子どもに先天異常が見られることがあり、それらを「胎児性アルコール症候群」といいます。そのような「胎児性アルコール症候群」を防ぐために、飲酒は控えましょう

喫煙

妊娠中に喫煙すると、胎盤異常、早産、低出生体重などを引き起こすリスクが上昇します。妊娠したら喫煙をやめることはもちろん、他の人が喫煙している煙(副流煙)もできるだけ吸わないように気を付けるといいでしょう。

カフェインの摂取

妊娠中のカフェインの摂取量が多いと、低出生体重のリスクが上がると言われています。カフェインはコーヒーや紅茶のほか、緑茶、エナジードリンクなどにも含まれています。そのためカフェインをできるだけ摂取しないように気を付けましょう。妊娠中のカフェイン摂取量の目安は、1日200mgほど。コーヒーで2杯程度です。

薬の服用

妊娠3か月のママの体の中では、赤ちゃんの大切な臓器が形成されていきます。そのため妊娠中は薬の服用の影響を十分注意しなければなりません。風邪薬や頭痛薬などを飲みたいときは、医師に相談してからにしましょう。

ストレスをためずにゆったりした気持ちで過ごそう

体の急激な変化とつらいつわりによって、妊娠3か月頃のママはマタニティブルーになったり、気分が不安定になりがちです。でもお腹の中では着実に赤ちゃんが成長しているもの。飲酒・喫煙などの摂取に気を付けて、ぜひゆったりとした気持ちで過ごすようにしましょう。

参考文献:病気がみえる vol.10: 産科(医療情報科学研究所)
参考サイト:すこやかな妊娠と出産のために(厚生労働省)
葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果(e-ヘルスネット)
胎児性アルコール・スペクトラム障害(e-ヘルスネット)
(1)喫煙が及ぼす健康被害について(奈良県庁)
Q.1 清涼飲料水など食品に含まれるカフェインを過剰に摂取することは健康に問題があるのでしょうか。(厚生労働省)

記事監修

河井恵美|助産師・看護師

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

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文・構成/HugKum編集部

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