発達凸凹の子どもとの向き合い方。ママたちに聞いた「こんな時は、こうしてほしい」

「発達障害」という言葉を目や耳にすることが増えた今。 子育てをしていると、発達特性があるお子さんと関わる機会も増えたのではないかと思います。
「発達障害があるお子さんとの付き合い方を知りたい」
「専門家目線ではなく、親御さん目線でどう接してもらいたいと思っているのか知りたい」
そんな風に思ったことはありませんか?自閉症の息子さんを育てている、べっこうあめアマミさんがとったアンケートから、当該のママたちの気持ちをお伝えします。
大事なのは「心のバリアフリー」。相手を知ろうという「偏見のない態度」こそが助けになると、べっこうあめアマミさんは言います。

配慮した障害の有無に関わらず、幼児期の子どもたちが自分の気持ちを話したり、相手が求めることを察するのは難しいことです。
そのため、お子さんが幼いうちは特に、親御さんのフォローが大きな影響を及ぼす場面が多いのではないでしょうか?

私は、知的障害を伴う自閉症の息子を育てる母親です。
今回、発達に課題を抱えるお子さんを育てている親御さんたちにアンケートをとり、「こんな時にはこうしてほしい」という本音を教えて頂きました。
アンケート結果と私の経験をもとに、「こんなトラブルが起きた時、どうしたらいい?」の答えを、専門家目線ではなく、親御さん目線で探っていきたいと思います。

もし、癇癪や他害をおこしてしまったら?一緒にいたお子さんにお願いしたいこと

発達障害があったり、発達に何らかの課題を抱えていたりするお子さんは、パニックになって癇癪を起こしてしまうことがあります。
そして時には癇癪だけではなく、悪意はなくても他害行為をしてしまうこともあります。
もし、あなたのお子さんと一緒にいる時にそんなトラブルが起きてしまったら、どんな行動をとるのが望ましいのでしょうか?

1人にしてほしい、離れてほしい、かまわないでほしい

発達に課題を抱える子の親目線で言わせてもらえば、癇癪の場合は、「とにかくかまわないで1人にさせてほしい」と思います。
実際、アンケート結果でもこの意見が最も多かったです。

「そういう風になる子もいるんだな」と思って、そっとしておいて頂けるとありがたいです」

「どうしたの?と心配してくれる女の子等いますが、声をかけられると余計に癇癪がひどくなります」

 

こういった意見もあり、よかれと思って声をかけてくれても、パニック状態のお子さんには逆効果になってしまうかもしれません。

「下手に近づき怪我されたら困るので、離れてしばらく無視して遊んでてほしい」

このような意見もありました。
相手のお子さんの安全を確保し、より大きなトラブルを防ぐためには離れてもらうのが助かる、と考える親御さんが多いのではないでしょうか。

他害行為の場合も、癇癪と同じく離れてほしいという意見が多かったです。ただし、本人に発達特性があるとはいえ、他のお子さんが叩かれるいわれはありません。そのため、「離れる」というよりは「逃げてほしい」という思いが強く感じられました。

大人に報告してほしい

癇癪や他害行為があった場合は、大人に報告してほしいという意見も多かったです。

「落ち着くまでそっとして、周りの大人に癇癪を起こしていることを伝えて欲しい。落ち着いたらまた一緒に遊んで欲しい」

癇癪の場合にベストなのは、この流れで対応してもらうことかと思います。
その時間は距離をおいても、落ち着いたらまたいつも通り一緒に遊んでもらえたら嬉しいです。

「そのままにせず、すぐ親御さんに助けを求めてほしい」

他害行為があった場合は特に、「大人に報告してほしい」という意見が多く、当事者の親御さんも我が子の行為を隠したいとは思っていないことがわかります。
手が出てしまった以上は、幼い子ども同士で解決するのは難しく、更に事態が悪化してしまう可能性もあります。
とにかく自分の親など大人を呼んでほしい、というのが切実な意見でした。

何もしなくていいけれど、理由を知ってほしい

「気持ちがいっぱいいっぱいで、おちつくのに時間がかかるから、ちょっと遠くから見ておく、など、理由を知ってもらいつつ、放置するという選択肢をとってほしいなと思います」

「距離をおいて離れる」という行動はとりつつも、その子がどうしてそうなってしまったのかを理解しようとしてもらえると嬉しいです。

これは、お子さんの年齢によってはなかなか難しいかもしれません。
しかし、今後成長とともに更に色々な人と出会っていくことを考えると、理由を考える機会はお子さんにとっても貴重な経験だと思います。
少しずつ、世の中には色々な人がいて、不思議に思う行動にも理由があることを知っていってもらえたらいいなと思います。

からかいやいじめをしないでほしい

 

「変に真似をしたりからかうと本人にも刺激になるし、親目線でも嫌な気持ちになる」

という意見もありました。
実際に、このような場面の言動で、悲しい思いをした人もいます。
本人もわざとやっているわけではなく、何らかの理由で苦しんでいるので、いじめのきっかけになるような言動はやめてもらいたいと思います。

また、親御さんの言動によってもお子さんの振る舞いは変わってくるのではないでしょうか?
家庭でもし、そういうお子さんの話題が出た時には、からかったり差別的な目線で話したりしないよう、気を付けて頂けたら嬉しいです。

他害の時は…

「嫌なことは嫌と言い、怒ってほしい。泣いてもいい。親に報告していい」
「嫌な気持ちになったことを冷静に本人に伝えてほしい」

他害行為があった場合は、はっきりと嫌だった、痛かったという気持ちを本人に伝えてほしいという意見も多かったです。

どんな理由があっても他害行為はしてはいけないことなので、当事者の親御さんも、手を出した我が子が悪いと思っています。

そのため、「相手に求めることは何もない」という意見が多くありました。
ただ、それでももし、状況的にできそうなら、「どうしてそんなことをしてしまったのか?」と話を聞いてもらえたらありがたいという声もありました。

発達障害があるお子さんとのトラブル、その場にいた親ができることは?

もし、発達障害があったり、発達に何らかの課題を抱えていたりするお子さんとのトラブルがあった時に、その場に居合わせていたら?
お子さんにしてもらいたい対応だけではなく、他の親御さんにしてほしい対応も聞いてみました。

1人にさせてほしい、離れてほしい、かまわないでほしい

「私は我が子のケアをする(癇癪をおさめる働きかけをする)ので、叩かれてしまった子のケアをお願いしたい」
「他害がある場合は距離を置いて、ご自身のお子さんを守って頂きたいです」

このように、お子さんと同じく親御さんにも距離をおいてもらいたい、そして、自分のお子さんのケアをしてもらいたい、という意見が多かったです。

子ども同士だと、とっさに距離をおく判断をするのが難しいこともあります。そんな時、側にいた大人が入って上手に両者を離してもらえたら、ありがたいです。

癇癪や他害の現場に居合わせた時、もしかしたらあまりの激しさに驚いてしまうかもしれません。でも、その一場面だけで「危険人物」と決めつけず、落ち着いたらまた普通に接して頂けたら嬉しいです。

その場で声かけをするなら、こんなふうにお願いしたい

 

パニック状態になっているお子さんは、自分の気持ちをうまく言葉にするのが難しい場合もあります。
そのため、優しく「何があったの?」と聞かれても、話せないかもしれません。
それでも、頭ごなしに怒らず、ゆっくり理由を探してもらえたらありがたいです。

例えば、癇癪の場合は、「◯◯君は〜がしたかったのかもね、でも順番だから、あなたが使って良いのよ」のように、癇癪を起こしているお子さんの代弁をしつつ、正しいことは貫き、お子さんに伝えて頂けたら良いのかなと思います。

他害の場合は、もしお子さんが被害にあってしまっていたら、自分のお子さんの心身のケアに集中して下さい。
そして他害をしたお子さんには、できれば怒鳴らず「やめてね、痛いよ」などと、臆する事なく注意してほしいという意見がありました。
もちろん状況によりますが、もし何か声かけをできそうであれば、参考にして頂けたら幸いです。

起こったことのありのままを親に話してほしい

トラブルがあったことを相手の親御さんに伝えるべきか、悩むこともあるかもしれません。
しかし、アンケートの結果からは、「障害があるからと特別扱いすることなく、起こったことは親にきちんと伝えてほしい」という声が多かったです。
当事者の親御さんも、自分の知らない所で何があったのか、ぜひ知っておきたいはずです。
自分が見たありのままのことを、伝えてください。

相手の親から謝罪があったら…

「他の子たちと同じように、お互い様ですから大丈夫ですよというスタンスで接してもらえるとありがたいです」
「本人が謝罪出来なくても、親が謝罪したら受け入れてほしい」

障害があるお子さんであれば、もしかしたら本人が謝罪の言葉を言うことが難しいかもしれません。その場ですぐに言えるとも限りません。
「なぜ?」と思うかもしれませんが、本人からではなく親御さんからの誠心誠意の謝罪があれば、どうか許してもらえたらありがたいです。

発達障害があるお子さんへの対応を考えてみたら…

 

・まず物理的に距離を離す
・感情が高ぶっていたら、1人にさせて落ち着くのを待つ
・子ども同士で解決が難しいのなら、大人を呼ぶ
・相手の気持ちを考える
・からかいやいじめをしない
・嫌なことをされたら嫌だと伝える

改めて考えると、ここまでお伝えしたこれらの対応は、子ども同士のトラブルが起こった際にとるべき行動としてどんなお子さんにも通じることではないでしょうか?

アンケートの中には、「普通の子ども同士の対応で良いんじゃないか」という意見もありました。
相手のお子さんが「発達障害だから」という意識に囚われず、子ども同士のトラブルに際した時は、当たり前にとるべき行動をとることが、大事かもしれません。

自分ができる範囲のことをやる、という気持ちで。大事にしてほしいのは「偏見のない態度」

正直、発達障害があるお子さんの育児は、普通の育児とは違います。
しかしそれは「親にとって」であり、周りの親御さんにまで多くを求めているわけではありません。

親は発達の専門家ではないのですから、自分ができる範囲のことをやればいいのです。
そして、お互いに気持ちよく過ごせる努力をしていけば良いと思います。
特別なことをしなくても、相手のお子さんを知ろうとする偏見のない態度こそが、発達障害があるお子さんや、その親御さんの助けになると思います。

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べっこうあめアマミ 取材・構成

ライター&イラストレーター。知的障害を伴う自閉症の息子ときょうだい児の娘を育てながら、電子書籍作家としても活動する。出版した電子書籍は障害児育児をテーマにしており、Amazonランキング1位を獲得するなど、障害児や発達に特性がある子を育てる多くの家族に読まれている。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害がある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信を、Twitternoteなど各種SNSで続けている。

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