結晶ってどんなもの? できる過程や形の種類について知ろう【親子でプチ科学】

結晶は、日常生活でもよく目にする身近な現象です。当たり前すぎて、子どもに意味を説明しようとしても、うまく言葉が出てこないかもしれません。結晶にまつわる疑問や作られるまでの流れ、種類などについて分かりやすく解説します。

結晶ってなあに?

結晶とは、どのような状態のことを指すのでしょうか。まずは、結晶の定義をおさらいしましょう。

原子や分子が規則的に配列している状態

固体には、物質を構成する粒子(原子や分子、イオンなど)が規則的に配列しているものと、そうでないものがあります。粒子が規則的に配列している固体が結晶です。

結晶の代表的な存在としては、雪・塩・水晶・ミョウバンなどが挙げられます。雪は水分子が、塩はナトリウムイオンと塩化物イオンが規則的に配列して、結晶となったものです。

一方、粒子が規則的に配列していない固体は「非晶質」と呼ばれています。ガラスやゴムなどは、非晶質の代表的な存在です。

結晶についての疑問

結晶の形は物質によって異なります。また、同じ物質なのに、結晶の形や大きさが違うこともあります。なぜこのような現象が起こるのか、結晶にまつわる疑問を見ていきましょう。

結晶はどうやってできる?

塩の結晶は、ナトリウムイオンと塩素イオンが成分

 

結晶は、気体や液体の温度変化または量の減少によって、溶け切れなくなった物質の粒子が結合することで生まれます。

気体や液体に溶け切れなくなった粒子は、まず小さな固体となって現れます。その固体を核として他の粒子が次々に結合し、目に見える大きさに成長したものが結晶なのです。

雪は、空気中の水蒸気が冷やされて氷の粒となり、周囲に他の水分子がくっ付いてできた結晶です。また、海水のようにナトリウムイオンと塩素イオンがたくさん溶け込んだ水を蒸発させると、塩の結晶ができます。

なぜ結晶の形や大きさはそれぞれ違うの?

上空の気温や水蒸気の量によって形が決まる雪の結晶

 

「雪の結晶」と「塩の結晶」を見比べると、まるで形が違うことに気付きます。物質によって結晶の形が異なるのは、元になる粒子の形や配列のパターンが異なるためです。

また、同じ物質であっても、結晶化するときの外的な条件で形や大きさが変わります。例えば、雪は上空の気温や水蒸気の量によって形が決まります。

結晶の大きさを左右する主な要因は、結晶化するまでの「時間」です。気体や液体を急速に冷やすと細かい結晶がたくさん作られますが、ゆっくりと冷やすと大きな結晶が得られます。

結晶は対称な形が美しい

様々な雪の結晶のパターン

 

結晶の魅力は、その対称な形にあります。空から降ってくる雪が正確な対称性を持つ様子は、とても神秘的です。

実は、自然界のいたるところに対称性は存在します。動物の体は左右対称ですし、植物が咲かせる花も対称な形をしています。逆に、自然界では対称でない形状のほうが珍しいのです。

このように、自然界は対称性を好むようにできており、粒子が規則正しく配列している結晶も、私たちの目には美しいものとして映るのだといわれています。

結晶の形の種類

結晶には板のように平面的なものから、角柱のように立体的なものまで、さまざまな形があります。身近な結晶である「雪」「塩」「水晶」について、主な形を見ていきましょう。

雪の結晶の形

雪の結晶は、全て六角形が基本となって作られます。

雪の元となる水分子は、酸素原子の両隣に水素原子がくっ付いた、平仮名の「く」のような形をしています。

水が凍るときに、分子が集まって水素原子同士が結び付き、六角形を作るのです。この六角形の周囲に他の水分子が次々にくっ付いていき、2~3mmほどの大きさに成長します。

結晶の形は、大きく「板状」「角柱状」「針状」の3種類に分けられます。板状結晶は、雪のイラストなどでよく見る、星形や扇形の結晶です。

角柱状結晶は、六角錐や角柱などの立体的な結晶で、複数の立体が組み合わさっているものもあります。また、細長い棒のような結晶は針状結晶と呼ばれ、針が束のようになったものや交差しているものが含まれます。

塩の結晶の形

塩の結晶に見られる正六面体

 

塩の基本的な形は、サイコロのような正六面体です。

塩はナトリウムイオンと塩化物イオンが交互に並んでおり、ほとんどの場合は、塩水の中で縦横均等に成長してきれいな正六面体になります。

ただし、条件によっては以下のような形になることがあります。

・トレミー:塩水の表面から下に向かって、逆ピラミッド形に成長したもの
・フレーク:塩水の表面で成長した結晶が割れたもの
・柱状・針状:一方向に偏って成長したもの
・樹枝状:木の枝のような形に成長したもの
・球状:ゆっくり転がりながら成長したもの

「たばこと塩の博物館」サイトには上記の塩の結晶の写真が掲載されています。

水晶の結晶の形

基本的に六角柱で、先が尖っているのが特徴の水晶

 

水晶は「石英」と呼ばれる、地中の二酸化ケイ素が結晶化した鉱物の一種です。

無色透明なガラスのようなものや、紫やピンクといった色が付いた半透明なものなど、さまざまな種類があります。

結晶の形は基本的に六角柱で、先が尖っているのが特徴です。柱の長さは結晶化するときの温度によって変わり、低温で長く高温で短くなります。

また、不純物が混じると長く成長できなくなり、低温下でも短い結晶ができます。色付き水晶には鉄などの不純物が混じっているため、基本的には透明な水晶と比べて短めです。

結晶について学ぼう

結晶は小さな粒子がたくさん整列して、目に見える大きさにまで成長したものです。ひと口に結晶といっても、物質によって特徴が大きく異なります。

雪は人の手に触れると溶けてなくなる、はかない結晶といえるでしょう。逆に水晶は固く、加工されてさまざまな用途に使われています。それぞれの結晶について性質や形状を学び、家庭学習に役立てましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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