謎めいた天体「彗星」の特徴や基礎知識を解説。有名な彗星も紹介

「彗星」という名前は知っていても、どのような天体なのかは知らない人もいるのではないでしょうか。そこで、彗星の特徴や種類などについて解説します。知っておきたい有名な彗星についても紹介しますので、知識を深めましょう。

彗星とは?

最初に彗星がどのような天体なのか、特徴を紹介します。彗星は大きく二つに分けられるので、それぞれについても確認しましょう。

太陽系を構成する天体の一つ

彗星は、地球・惑星・準惑星・小惑星などと同じ、太陽系に含まれる天体の一つです。

彗星の本体部分の直径は数kmから数十kmと小ぶりであるため、太陽から離れた暗い位置にあると、大望遠鏡でも見えないことが珍しくありません。

これまでに彗星は4,000個近く発見されており、未発見のものを含めると、その数は数千万を超えるといわれています。

新しく発見された彗星は、どのように変化するか予測がつかず、一晩で一気に明るさを増すなどの劇的な変化を遂げることもあります。かと思えば、大彗星になると期待されていたにもかかわらず、大きくならずに消滅してしまうこともあるのです。

2種類に分かれる

太陽系の天体は、太陽の周りを円に近い楕円を描きながら公転しています。一方で彗星の場合は、細長い楕円の形で公転することがほとんどです。

彗星は公転周期によって2種類に分かれており、周期的に太陽に接近する「周期彗星」と、一度太陽に近づくと二度と戻ってこない「非周期彗星」があります。

周期彗星は公転周期の長さによって、さらに2種類に分かれます。公転周期が200年以内のものは「短周期彗星」、それ以上のものは「長周期彗星」です。

エンケ彗星は今日知られているもっとも短周期の彗星で、公転周期は3.3年。ハレー彗星も短期彗星で、公転周期は75.32年。いっぽう、アイソン彗星は非周期彗星で、太陽に最接近したのは2013年。パンスターズ彗星も非周期彗星で2011年に発見された。

彗星に関する基礎知識

彗星のふるさとや成分など、基礎知識を解説します。流れ星との違いや流星群との関係についても紹介します。豆知識として子どもに教えてあげるとよいでしょう。

彗星のふるさとは2カ所

彗星がどこから来るのかについては、現時点では明確にわかっていません。しかし、多くの彗星のふるさとは、太陽系の果てに存在する二つの空間だとされています。

短周期彗星のふるさとと考えられているのが、海王星の外側にドーナツ状に広がっている「エッジワース・カイパーベルト」という空間です。

この空間には、チリやガスの氷でできた天体が無数に漂っています。天体同士の衝突などによって本来の軌道から外れ、太陽に近づくことで彗星となると考えられています。

長周期彗星のふるさとと考えられているのが、さらに遠くに存在すると予測されている「オールトの雲」という空間です。

太陽の重力の影響をわずかに受けている状態のため、他の恒星が近づくと揺さぶられたり弾かれたりし、軌道が変わって太陽に向かっていき、彗星になるとされています。

主成分は水で「ほうき星」と呼ばれることも

「核」と呼ばれている彗星の本体は、主に水(氷)でできています。太陽に接近すると、その熱によって核の水(氷)が蒸発し、中に含まれているガスやチリが吹き出します。この状態が、淡い光に包まれているように明るく見えるのです。

さらに太陽に近づくと、電磁波などの影響を受け、太陽と逆対方向に「尾」ができます。その姿がほうきのように見えることから、彗星は「ほうき星とも呼ばれているのです。

彗星の尾の種類は、ガスで作られた「イオン(プラズマ)の尾」と、チリで作られた「ダスト(チリ)の尾」の二つがあります。

北海道知床峠で観測されたネオワイズ彗星

流れ星との違い

流れ星(流星)も尾を引いているので形状は彗星と似ていますが、実際には大きく異なります。

流れ星は、地球の重力に引っ張られた宇宙空間を漂っているチリが、大気と衝突して燃えることで輝いて見えるものです。

見え方も異なり、流れ星は彗星のようにぼんやりとした放射状ではなく、直線的です。

また、彗星は基本的に公転しているため、見える日時や場所などの観測日時を予測できます。しかし、流れ星は、突然チリが大気に突入して発生するため、観測日時を予測することはできません。

彗星のかけらが流星群に

毎年決まった時期になると、たくさんの流星が見られる「流星群」が発生します。これは、彗星が軌道を通る際に残したチリと関係があります。

彗星は軌道上にチリを放出しており、その軌道を地球が通り抜けるときに、チリがまとまって地球の大気に飛び込むことで流星群は起きるのです。

地球が彗星の軌道と交差する日時は、毎年ほぼ決まっています。そのため、流星群を見られる時期もほぼ決まってくるのです。

三大流星群のひとつで、毎年12月4日~17日に多くの流星が見られる「ふたご座流星群」

知っておきたい有名な彗星

数ある彗星の中から、認知度が高くぜひ知っておきたいものをピックアップして紹介します。それぞれの特徴にも触れているので、確認して詳しくなりましょう。

「ハレー彗星」と「池谷・張彗星」

「ハレー彗星」は、初めて周期彗星であると確認されたことで有名な天体です。周期は約75年で、次に地球に最接近するのは2061年です。

1704年にイギリスの天文学者であるハレーが、1531年・1607年・1682年に観測された彗星が同一であることを突き止めました。1986年に回帰してきたときには、日本の「すいせい」「さきがけ」をはじめとする、世界の探査機が観測をしたことでも知られています。

また、複数の彗星の発見という偉業を成し遂げている池谷薫と中国の張大慶が、2002年にほぼ同時に発見したのが「池谷・張彗星」です。

周期がおよそ366年で、これまでに発見・登録された彗星のなかでは、最も長い周期を持つ長周期彗星です。

彗星は謎に満ちた天体

彗星は、太陽系の果てにある二つの空間で誕生していると考えられており、周期彗星と非周期彗星に分けられます。主な成分は水(氷)で、太陽の熱や電磁波の影響によって尾を引いているように見えるのです。

新しく発見された彗星はどのように変化するのか予測不可能で、その謎に満ちているところが魅力の一つといえるでしょう。今後地球に近づいてくる彗星に注目して、家族で楽しんでみてはいかがでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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