子どもは「イヤだ」と思ってもまだ軌道修正ができない
夏休みなどの長いお休みが明けると、幼稚園や保育園に「行きたくない!」と言ったり、「ママと一緒にいたい!」と行き渋ることがありますよね。大人でも長期の休みのあとは、本調子にならなかったり、なんとなくシャキッとしなかったりして、それは子どもにも言えることです。自分を律することが比較的簡単にできる大人に比べ、自制心を育てている最中の子どもは、「イヤだ」と思ったことはイヤなまま。そこから「頑張るぞ!」と思えるのは、もう少し先のことなんです。そんな時、どうやって接していけばいいかのポイントが5つあるので、ご紹介していきますね。
園に行きたがらないときの接し方のポイント
ポイント①行きたくない気持ちを受け止める
どのようなお悩みに関しても、「まずは受け止めて」とお答えすることが多いほど、とても大切なこと。目の前の子どもが「行きたくない」「ヤダ―」と泣いているのであれば「そうなのね、行きたくないのね」と、何よりも先に子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。
「大丈夫だよ」「でも行かなきゃいけないよ」などの言葉よりも先に、必ず「行きたくないのね、そっかそっか」と受け止めてあげることを忘れないようにしたいですね。
ポイント②子どもの気持ちに引っ張られない
「行きたくないのね」と受け止めながらなだめてあげたら、ママ・パパが一緒に不安になってしまわないようにしましょう。子どもが行き渋っていると後ろ髪ひかれる思いになったり、不安になったりすることもありますよね。しかし、あくまでも、子どもの感情をこちらには反映させずに、ポジティブに背中を押してあげる役として、そばにいてあげることをおすすめします。
「今日はこんな楽しいことがあるかもしれないよ」「お母さん、バスが来るところで待ってるからね。行っておいで」など、あくまでもポンと背中を押してあげるような声かけをしてあげましょう。「幼稚園で何かイヤなことがあるのかな」「家にいた方がよかったかな」など、親の気持ちも不安になると、子どもはとても敏感なので、「ママも自分と同じ気持ちなんだ」とネガティブな気持ちを察します。そのため、ママ・パパは子どもの感情に流されずに、「行っておいで!」ときっぱりさっぱり関わるようにしてみてください。
ポイント③送り出したら早めにその場を離れる
泣きながらでも、イヤイヤ言いながらでも、なんとか送り出して、子どもが園に入って行きますよね。姿が見えなくなったり、子どもが振り向かずに入って行くようなら、ママ・パパも笑顔で「バイバイ~!」と言って、なるべく早くその場から立ち去るようにしましょう。
その場を離れずに「大丈夫かな~?」と見守り続けていると、子どもがそのママ・パパの姿を見て「あ、まだいる!」と気づいた時、余計に不安が大きくなってしまうことがあります。子どもが園で楽しく過ごすことを願いながら、サッとその場から去りましょう。
ポイント④帰って来ても根掘り葉掘り聞かない
子どもが園から帰って来たら「おかえりー!」と笑顔で迎え、頑張ったことや楽しかったことを話してくれるようなら、全力で受け止めてあげましょう。しかし、親の方から「今日はは何をしたの?」と根掘り葉掘り聞く必要はありません。
しかし、ごはんを食べている時や一緒にお風呂に入っている時、ママ・パパが家事をしている時に「あのね」と、自分から話し始めることがあります。そのような時は、もし家事をしていたとしても、「ちょっと待って」とシャットアウトしないで、手を止めて、子どもの目を見て、話をきいてあげてください。例え、手を止めたとしても長くてもきっと5分ほどの話なので、子どもが話したいタイミングで話を聞いてあげることが大切です。
大人でも自分が話しくない相手のタイミングで、根掘り葉掘り話を聞かれるより、自分が話したい時に、相手が手を止めて「へぇ、そうなんだ。それで?」と聞いてくれた方が、受け止めてくれた!と感じることができますよね。やっていることを一度中断して、子どもの話に耳と心を傾けることで、子どもが満足感を得ることに繋がります。
ポイント⑤甘えやぐずりは受け止めてあげてOK!
園に行き渋っている時は特に、いつもならスムーズにできることができなかったり、「ママがやって!」と、甘える姿が見られることがあると思います。甘えてくるなら甘えさせてあげて大丈夫ですし、お手伝いを求めているのであれば、ぜひやってあげてください。「自分でできるでしょ!」と言いたくなってしまうところですが、相手はまだまだ生まれて数年しか経っていない子どもです。これから長い人生を生きていくうえで、助けを求めたら誰かが助けてくれる。甘えたら誰かが甘えさせてくれる。自分は受け止めてもらうに値する存在なんだなと感じることの方がずっと大切です。
完全にやってしまうことがあってもいいですが、求められたら「わかったわかった。助けてほしいのね」と、言葉では全面的に受け止めた上で、全部大人がやってしまうのではなく、「手伝う」というイメージで、「ここはやってあげるから、ここは自分で持ってね」と、協力するのがおすすめです。
もちろん、部分的に手伝った時に「全部やってほしい!」と子どもが求めた場合には、「わかったよ。じゃあ、代わりにやるから見ててね」などと言って、全部代わりにやることがあっても大丈夫です。その時の状況に合わせて手伝う度合いを変えてみて下さい。
子どもの気持ちを受け止めて応援してあげましょう!
楽しかった夏休みが終わり、日常が戻ってくるのは、大人でも戸惑うことがあるもの。しばらくして園の生活に慣れてくれば、笑顔で登園できる日が必ず来るでしょう♩ 我々は、その日が来るまで、子どもたちの気持ちを受け止めて、話を聞き、サポートしてあげられるといいですね。
記事監修

モンテッソーリ教師あきえ
幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。「子育てのためにモンテッソーリ教育を学べるオンラインスクール Montessori Parents」創設、オンラインコミュニティ”Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。
あきえ先生主宰オンラインスクール「Montessori Parents」
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取材/本間綾