「恥ずかしがって話さない」「友達に嫌いと言われた…」そんな子どもに、モンテッソーリ流声かけならこうする!

子どもとの生活の中でありがちなシチュエーションで起こる「こんな時、なんて声かけたらいい?」の疑問に、モンテッソーリ教師あきえ先生がお答え! 悩んだ時の参考になること必至です。

怒鳴るだけでなく褒め過ぎもNG⁉ こんな時、なんて声かける?

モンテッソーリ教師あきえ先生の人気著書「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)の中から、特に気になる声かけについてをピックアップ!

1回目は「子どもへの声かけで大人が気をつけたいポイント」、2回目は「モンテッソーリ流の声かけ変換法」をお届けしてきましたが、今回は「ありがちなシチュエーションでの声のかけ方」について紹介します。

シーン1:発表会を頑張った時

舞台上で頑張る我が子を見ると、「あなた天才!」「1番上手だったよ」などと、いつも以上に褒めたくなってしまうもの。しかし……。

▼あきえ先生の声かけ例

「一生懸命頑張っている姿、見ていたよ!」

「お客さんがいっぱいいたけど、大きな声でセリフを言っていたね」

おだてたり、褒めちぎったりする必要はありません。「褒める」を「認める」に変換して声かけしましょう。その時のポイントは、子どもがした行動や努力、プロセスに焦点をあてることです。「頭がいいのね」「いい子ね」などと、人格や才能、結果を褒められている子は、うまくいかなかった場合、自分の人格や才能が原因で失敗したんだと感じ、「頑張ってもできない」という硬直マインドセットになると言われています。

シーン2:お茶碗やコップの中身をこぼしてしまった時

ジュースやスープなどをこぼしてしまうことはよくありますよね。バタバタしている朝食の時や、疲れがたまってイライラしがちな夕食の時など、「ちゃんと見ないからでしょ!」と、怒ってしまうこともあります。

▼あきえ先生の声かけ例

「こぼれたのね、ふきんで拭こうか」

「また新しいスープを入れたら大丈夫だよ」

子どもが失敗した時は、責めずにリカバリーの方法を伝えることが大切です。失敗した状況をどうしたら挽回できるかを子ども自身が理解し、徐々に自分の力で元の状態に戻すことができるようになります。その力を身につけることは、子どもの自立に直結し、子どもの生きる力を育んでいくことにつながるのです。

シーン3:誘っても帰ろうとしない時

「もう終わり」と言っても、なかなか遊びを切り上げられない時、あなたならどうしますか? 「置いていくからね」なんて、言いたくないけど、言いたくなってしまうこともあるかもしれません。

▼あきえ先生の声かけ例

「あと何回でおうちに行こうか?」

「さあ、次は自転車までスキップしていこう!」

あと1個と思っていたお菓子を全部食べてしまった、あと30分で帰ると思っていた友人との食事も、気づいたら1時間経過していたなど、なにかを“やめる”行動をするためには、大人でも強い意志力が必要なのです。そのため、声かけを通して“やめる”ことを助けていきましょう。次にまっている『やること』を楽しそうに伝えるのもおすすめですよ。

シーン4:恥ずかしがって話そうとしない時

「こんにちは」と大人に話しかけられた時や、お友達が「どうぞ」と何かくれた時など、親としては「ほら、挨拶は?」「ありがとうって言いなさい」と、諭してしまいたくなります。しかし、恥ずかしくて、無視をしてしまったり、ママやパパのうしろに隠れてしまうこともよくありますよね。

▼あきえ先生の声かけ例

「ドキドキしているの?ドキドキするよね、その気持ちわかるよ」

「お父さん、代わりに答えてもいい?」

挨拶やお礼などをしっかり言えるように助けていきたいところですが、自ら言えるようになるには時間が必要です。「こういう時はごめんねって言うのよ」などと、使う場面や使い方を知らせた上で、大人が一緒に言う、代わりに言うなどしていきましょう。例えば、昨日は目も合わせられなかったけど、今日は目を合わせていたなど、変化が見られるようなら、「今日はお顔を見ることができたね」と、できている部分を認めてあげることも大切です。

シーン5:お友達に「大嫌い」と言われたという報告をしてきた時

園や学校などで友達ともめた時など、家に帰ってから報告してきてくれることがありますよね。相手を悪く言ってしまったり、「あなたが悪いんじゃないの?」と子どもを疑ってしまうことも……。落ち込んでいる子どもにどう声をかけてあげたらいいんでしょうか?

▼あきえ先生の声かけ例

「嫌いって言われたのね。それはとても悲しかったね」

「大嫌いって言われて、何か言った?」(などと聞いて対話をする)

子どもに悲しいことや嫌なことがあって落ち込んでいる時には、まず、その気持ちを受け止め、代弁するような声かけを意識しましょう。受け止めてもらった安心感や喜びから落ち着くことができます。あとは「悲しいね」「くやしかったね」など、子どもの感情を言語化する声かけで、自分の感情を認識することを助けてあげることも大切です。幼少期に感情を言語化してもらい、感情に名前をつけてもらう経験が、長期的に感情をコントロールする力を育むことにつながるのです。

モンテッソーリ流声かけは子どもの生きる力につながる!

時にイラッとしたり、不安に思ったり、子どもの言動に対しての悩みは尽きません。しかし、子どもたちは、毎日の生活を通して、大人の言うことや行動をよーく観察しているのです。そのため「こんな時、どうすればいいんだろう?」と声かけに悩んだときは、モンテッソーリ教師あきえ先生の著書「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を参考にしてみてはいかがでしょうか。ここで紹介している以外にも、たくさんの声かけの仕方や、モンテッソーリ教育の考え方などを紹介しています。

 

モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック
モンテッソーリ教師あきえ 宝島社  1320円

今注目の集まるモンテッソーリ教育の声かけ変換本。朝・昼・夜それぞれのシチュエーションごとにイラストを交え、具体的な声かけ例を分かりやすく紹介しています。この本で学んだことをアウトプットするワークブックのページにも注目。

 

 

記事監修

国際モンテッソーリ教師(AMI)
モンテッソーリ教師あきえ

幼い頃から夢見た保育職に期待が溢れる思いとは裏腹に、現実は「大人主導」の環境で、行事に追われる日々。そのような教育現場に「もっと一人ひとりを尊重し、『個』を大切にする教育が必要なのではないか」とショックと疑問を感じる。その後、自身の出産を機に「日本の教育は本当にこのままでよいのか」というさらなる強い疑問を感じ、退職してモンテッソーリ教育を学び、モンテッソーリ教師となる。オンラインコミュニティ“Park”主宰。2021年1月に初著書「モンテッソーリ教育が教えてくれた『信じる』子育て」(すばる舎)、2022年3月に「モンテッソーリ流 声かけ変換ワークブック」(宝島社)を出版。

 

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取材・構成/本間綾

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