いつか来るかもしれない‘その時’の準備を
そういえば最近、地震が多いと思いませんか?突然の大雨などの自然災害も以前よりぐっと存在を大きくしています。自然災害だけでなく、不意の事故で起こる火災も、いつ子どもが遭遇するか分かりません。大事な子どもを守りたい。それは誰もが思うことですよね。ただ、一つ問題なのは、その災害が起きた時に親が必ず一緒に居るとは限らないということです。
では、親として子どもにしてあげられることは何でしょうか。それは、何も起きていない、いつもと変わらない日常を送れているときに、子どもが自分の身を守る方法を知識として身に付けてあげることではないでしょうか。
そこで今回は都内で2か所、子どもと一緒に防災について学べる施設へ見学に行きました。どちらの施設も、映像やクイズなどを使って子どもに分かりやすいよう工夫されています。大人でも新しく知ること、知っておくべきことが沢山ありました。子どもと一緒に学び、いつか来るかもしれない‘その時’に備えを準備しませんか。
おすすめ施設①【そなエリア東京】
有明にある「そなエリア東京」は国営の防災学習施設です。場所は有明駅からすぐ近く。東京臨海広域防災公園の中にあり、見学の前後に子どもを芝生で遊ばせることも出来ます。入館料は無料です。
施設訪問の目的は1階にある「東京直下72hTOUR」でした。外出先でマグニチュード7.3、最大震度7の首都直下地震が起きたと想定した世界から、どうやって72時間を生き残るかを考えていきます。想定に合わせて館内の施設は本物そっくりにジオラマで再現されています。
その地震直後の被災した街の中をクイズに答えながら進んでいきます。以前にも私はこの施設を訪れたことがあり、その時に大変刺激を受け、防災に対する意識が確実に高くなりました。そこで、いつか子どもにも体験させたかったのです。
しかし、一番の問題は怖がり屋の子どもでした。館内のジオラマがとても精巧にできており、館内は薄暗く、地震が起きる場面では揺れも体感します。怖がって館内を最後まで回れないのでは?と心配しました。しかしふと気づいたのです。
「この災害が本当に起きてしまったら・・子どもたちはいきなりこの地震が起きた後の世界に直面しなければいけなくなる。対処法も分からず、泣いて助けを待つだけで子どもたちが生き残れるだろうか」
そう思ったら、安全な状態で、親と一緒に‘そうなるかもしれない世界を見られる’‘避難の時の状況、必要なものが分かる’ことはとてもありがたいと思いました。実際体験すると、最初こそ怖がっていたものの、しっかりクイズにも答えていました。展示にあった『備えておくと良いもの』を写真に撮っておいて欲しいと言い、家の家具は固定されているか確認していました。一番驚いたのはいつも行く公園のベンチが災害時に炊飯ができるタイプかどうかを確認したことです。確実に防災に対する意識が高まっていました。
防災体験学習(そなエリア東京) | 東京臨海広域防災公園 (tokyorinkai-koen.jp)
おすすめ施設②【しながわ防災体験館】
防災に対する意識が高まったあと、今度は品川区にある「しながわ防災体験館」へ行きました。こちらは品川区が運営する施設です。こちらも無料で見学ができます。体験館、と言うだけあって“何をどのように行えばよいか”という行動の部分を強化することができます。
なかでも【消火器の使い方】は中に水の入った消火器を映像の炎に当てて火を消す体験ができます。
消火器の重さや、扱い方、どこを狙えばいいのか、を練習することができるのです。
扱う時の顔は真剣そのもの。子どもが消火器を使う場面に遭遇しないことが一番ですが、 もし万が一の事態が起きてしまった時には自信をもって扱うことができるでしょう。
避難姿勢体験では、大人、子どもに合わせて正しい避難姿勢の低さを体験することができます。“姿勢を低くして避難する”と耳で聴いても、実際にどれほど低くして移動しなければいけないのか。こちらの施設を体験すると、その大変さが良くわかります。
しながわ防災体験館|品川区 (city.shinagawa.tokyo.jp)
子どもたちに常に持たせてあげられるのは、自分の命を守るための知識と行動力
今回は2つの施設を訪れ、防災について子どもと学びました。一番に思うことは【何も起きていない今、体験できて良かった】ということです。災害はいつ起こるか分かりません。自分も含め、大切な子どもたちもいつ被災するか分からないのです。
子どもたちに常に持たせてあげられるのは、自分の命を守るための知識と行動力ではないでしょうか。ぜひ子どもと一緒に防災について学んでみてください。そして普通の生活が送れる今を“有り難い”と思える。そんな感謝の心も育ててあげませんか。
文・構成/赤名麻由子
赤名 麻由子