「初めての夏休みを迎えます。休み中の過ごし方で注意すべき点は?」【保育経験41年・元園長先生の相談室19】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

 

3歳の女の子です。今年の春に入園し、初めての夏休みを迎えます。家族旅行などの計画をして楽しみにしていますが、休み中の過ごし方で注意すべき点があれば教えてください。

大阪府 T・Yさん

 

新入園児は園生活の大変さとともに楽しさを実感しています

4月に入園した子どもたちは、初めての園生活に慣れるのに一生懸命です。家庭では身の回りの世話をおうちの方がほとんどしてくれていましたが、園では基本的に自分のことは自分でしなければなりません。また、園では担任やお友達から刺激を受けたり、自分の思う通りにならないこともあり、子どもたちはその精神的なストレスをある程度我慢して、自分の気持ちをコントロールしながら頑張っているのです。

しかし、入園後3か月が経ち、夏休み前になるころには、こうした大変さにも少しずつ慣れて、園生活の楽しさも実感しています。たとえば、たくさんのお友達と遊んだり、いっしょにご飯を食べたりすることは、家庭ではなかなかできない体験です。また、園では子どもたちが生活面の自立ができるよう便器の大きさや蛇口の高さなどが配慮されていて、多くのことが自分ひとりでできます。そのうれしさが、自信や自立心につながっているのです。子どもたちが獲得したこうした経験や力を、おうちの方はまずしっかり認識していただきたいと思います。

大きなイベントよりほどほどの楽しさを毎日体験させてあげる

夏休み中、おうちの方に気をつけていただきたいのは、このようにして園で身につけた、生活面の自立や生活リズムをくずさないことですね。家庭では園のように生活環境を整えるのは難しいので、スムーズにいかないこともあると思いますが、「子どもができるのを待つ」ことを心がけてください。また、夏休みはお祖母ちゃんの家へ行ったり、家族旅行をしたりといった、イベントを企画していると思います。それらは夏休みだからこそできるイベントで、楽しい思い出を育んでいただきたいと思います。しかし、そうしたイベントのあとは、日常の生活リズムに戻る努力をしていただきたいのです。

よく見かけるのが、明日は花火大会、あさっては遊園地というように、たくさんのイベントを企画するご家庭です。お子さんのことを思う親心からなさるのだとは思うのですが、それでは子どもはへとへとになって、疲れてしまいます。

幼児期の子どもにとって大事なのは、大きなイベントより、ほどほどの楽しさを日々実感しながら生きることです。たとえば、昼どきにホットプレートでお好み焼きをいっしょに焼いて食べ
たり、夕食の用意のときにハンバーグの種をいっしょにこねた
り、お風呂掃除を水遊び感覚で
いっしょにしたりすることで、
子どもは十分満足します。日々の生活の中で子どものペースに沿ったこのような楽しい体験をさせてあげることで、子どもの心と体は豊かに育つのです。

あとは、夏休みが終わるころになったら、園の楽しさを思い
出させてあげてほしいですね。「またお友達に会えるね」などと言って、お子さんが楽しい気持ちで園生活を始められるようにしてあげると、スムーズに二学期を迎えられると思います。

 

回答していただいたのは…

 

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2016年9月号

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