「ひとりっ子のせいか、家ではわがままで甘えん坊。でも、園では引っ込み思案…」【保育経験41年・元園長先生の相談室15】

子どもが生まれると、成長に合わせていろいろな悩みが出てきます。健康のことはもちろん、しつけのこと、園生活でのこと、学習についてなど、「どうしたらいいの?」とふと誰かに聞いてみたくなる疑問は尽きません。そんなみんなが感じる育児のお悩みや疑問に、保育経験41年の元園長先生・田苗孝子先生に答えていただきました。ふっと気持ちが軽くなる、そんな先生のお答えをQ&Aでご紹介します。

子どもの健康、しつけ、園生活の悩みをズバリ解決!!

4歳の男の子です。ひとりっ子のせいか、家庭ではわがままで甘えん坊。でも、園では、引っ込み思案でお友だちとうまく遊べていない気がします。どうしたらいいでしょうか?

(大分県 Y・Yさん)

「ひとりっ子」だからという目線で子どもを見ないことが大切

まず、改めていただきたいのは、お子さんがわがままで甘えん坊なのは「ひとりっ子だから」と決めつけないことです。子育てをするうえで重要なことは、5人兄弟であっても、ひとりっ子であっても同じ。社会の中で幸せに生きていけるよう、きちんとしつけていくことが大切です。そのためには、これまでおうちの方がお子さんをどのように育ててきたか、ここで振り返ってみることが必要です。

ひとりっ子でわがままだと思われる場合は、周囲が大人ばかりのために、自分の要求を強く言うとおおかた思い通りになり、それがわがままの元になっていることが考えられます。また、甘えん坊というのは、要求を通そうとするときのひとつの技です。甘えると、「仕方ないわね」と言われて、大人が自分の要求を受け入れてくれる。それに味を占めていることが考えられます。

このような家庭の場合は、ときには要求しなくても、周囲の大人がその子の気持ちを察して物を与えたり、遊んでくれたりしている場合もあるのではないでしょうか。相談者のお子さんは、このようなことの積み重ねによって、わがままで甘えん坊になっている可能性があります。

しかし、集団生活となる園では、すべてが自分の思い通りにはいきません。お友だちと遊ぶ際には、我慢や妥協をすることも必要です。また、自分の要求を通すためには、相手に伝えるタイミングや言い方など、知恵を働かせることも必要となります。

社会生活をするうえで不可欠な、こうした知恵を、子どもは園生活の中でお友だちとふれあいながら徐々に身につけていきます。しかし、自己主張がさほど強くなかったり、自分に自信がない子の場合は、引っ込み思案になりがちです。そんな場合は、おうちの方がこれまでの生活を見直して、後押しをしていくことが必要です。

多くの人とふれあい子どもときちんと向き合う意識を持つ

まず、できるだけ意識して家族以外の人とふれあう機会を持つようにしましょう。さまざまな人と関わっていくうちに、お子さんは自然に人と付き合うための知恵を獲得していきます。

また、お子さんにひとりの人間として向き合う意識を持つことも必要です。お子さんの要求を、なしくずし的に受け入れるのではなく、「ダメなものはダメ」と言ってきちんと諭す。親子でかけっこをした際は、お子さんをいつも勝たせるようなことはせずに、ときにはお母さんが先にゴールする。というように、お子さんと対等に接するよう心がけることも大切です。

そのような経験を積み重ねて、壁を乗り越えていく中で、お子さんに自信や自立心が育まれると思います。

ひとりっ子の場合、家庭の中
で子どもがひとりだけという状況はどうやっても変わりません。しかし、それは逆にひとりっ子だからこその強みにもなるはずです。一心に愛情を注ぎ、親子で向き合う時間をたっぷり取れるのは、ひとりっ子ならではの利点。そうして育った子どもは、大きな人間力を身につけて幸せに生きていくことができるのではないでしょうか。

 

回答していただいたのは…

田苗孝子先生  宝仙学園幼稚園元園長。1949年広島県生まれ。2007年から20193月まで園長を務める。41年間にわたり、保育現場でさまざまな家庭で育つ子どもとその親を見守り続けた、その深い見識には定評がある。豊かな経験を活かして、『幼稚園』(小学館刊)で育児相談コーナーを担当。子育て中のママたちに温かなメッセージを伝えてきた。

 

 

構成/山津京子 イラスト/手丸かのこ 『幼稚園』2016年12月号

編集部おすすめ

関連記事