「プログラミング教室に通っているお友達もいるから、うちの子にも行かせたほうがいい?」
「プログラミングで理数系も得意になる?」
論理的思考力や創造性、問題解決能力を身に付けることを目的として、2020年度から小学校ではプログラミングが必修化されました。それに伴いプログラミング教室も増えています。
親御さんの関心も高く、教室に通って本格的に学んでいるお子さんも増えているようです。
理数系の代名詞ともいえるプログラミングですが、学べば算数が得意になるのでしょうか。
プログラミングで算数は得意になる?
結論を先にお伝えするとNoです。プログラミングをやったからといって算数の得意に直結するわけではありません。
ただ、算数とプログラミングはまったく無関係ではありません。
プログラミングを学ぶことで、算数の力の必要性を感じ、積極的に算数の学習に取り組むことに繋がる可能性があるからです。
プログラミングに興味を持っているならどんどんやらせて
もしお子さんがプログラミングに興味を持ち、「楽しい」と言うなら、その時はぜひプログラミングをやらせてあげてください。好きで楽しんでいることが将来プログラマーになる可能性に繋がるかもしれません。プログラマーは将来有望な職業ですし、「好き」を仕事にできるならそれに越したことはありません。
プログラミングでは算数を必要とする場面があります。どんどんプログラミングにのめり込むうちに、必要に迫られて算数をもっと勉強したくなることもあるのではないでしょうか。
プログラミングに必要な力とは
プログラミングではコンピュータを相手にします。コンピュータは指示通りの動きをしますので、自身が曖昧な理解では正しい指示を出せず、プログラムは思ったような動作をしません。
例えば、プログラミングを使って図形を描かせる場合、自身がその図形として成立する条件をしっかりと把握している必要があります。正多角形であればすべての辺、角度が等しいことを理解していないといけません。
上記に加えて、もちろん足し算・引き算・掛け算・割り算など基本的な計算はプログラミングに必要です。
指示を形にするためには、物事の順序を整理し、Aの場合は~、Bの場合は~と条件を揃える力も必要になります。万が一うまくいかなかった場合には、成功するまで何度でも、どこが間違っているのかを1つ1つ検証していかなくてはいけません。そのため、論理的思考、課題把握や問題解決能力といった力も求められます。
また、プログラミングは基本的に英語ですので、ifやforのような文章を使うこともあります。ネイティブレベルの英語は必要ありませんが、基礎的な英語の知識は必要とされます。
しかし、最初からこれらの力がすべて身についていなければプログラミングができないわけではありません。例えば、ダンスをするにはしっかりとした体幹が必要ですが、最初から備わっていなければダンスができないわけではなく、ダンスをするうちに体幹が鍛えられていく、ということもあるでしょう。
プログラミングも同様で、学ぶ中でも上記の力が育まれていくのです。
算数を得意にしたいなら日常生活に取り入れよう
お子さんがプログラミングに興味がないのなら、教室に通わせることを強制する必要はありません。
算数の苦手を得意に変えたければ、プログラミングを学ばせるというよりは、日常生活において算数を取り入れて、触れる機会を増やしていくことのほうが効果的です。
特別なことはなく、普段の生活の中で取り入れてみてください。
おつかいを頼んだり、お小遣いの管理を任せてみる
最近ではお買い物の際にクレジットカードやバーコードといったキャッシュレス決済が主流となり、子どもたちが現金に触れる機会は少なくなってきました。さらにはお小遣いも電子マネーでというご家庭まであるようです。
お金はつまづきの多い「位」の理解に最適です。
例えばお小遣いが一日50円だったとしたら、貯金箱にあるお金を一緒に見ながら、50円玉が2枚あると100円になること、100円玉が10個集まることで1,000円になることを伝え、両替してあげると自然と理解できるでしょう。
また、1,000円を渡して、「これで買えるものを買っていいよ」と言えば、子どもは授業の何倍も必死になって計算するでしょう。足し算、引き算はもちろんのこと、消費税もありますから、高学年になれば割合の計算、もう少し小さくても概算の力も身につくでしょう。
セールでの買い物も有効です。20%オフのセールで買い物をすれば、100円の20%は20円であることや、物の価値は変わらないのに、いつもは100円払わなければ買えないものが80円で買えることを身をもって体験することができます。
お金を扱うことで、位の理解や計算だけでなく、算数で必要なセンスまでも磨くことができるのです。
アナログ時計を置き、時間の管理を一緒にやってみる
時計においても、最近はデジタルが中心だったり、スマホで時刻を確認するなど、アナログ時計に触れる機会は減っているのではないでしょうか。
時計は日常生活の中で学べるものですから、ぜひご自宅に1つでもアナログ時計を置くようにしてください。
まだ時間や時計を算数として学んでいない時期であったとしても、
「時計の長い針が9まで進んだら、でかけようね」
「TVは長い針が一周して同じ12のところまで進んだら終わりだよ」
などと、日常会話に取り入れることによって、幼いうちから時間と時計に慣れ親しむことができます。授業で習う時までには、ある程度の感覚は身についているでしょう。
授業で学んだあとは、時間の管理も含めた声がけを積極的にしましょう。時間の管理は算数の力においてだけではなく、大人になる上で重要な力ですので一石二鳥です。
「夜ご飯まで1時間あるから、30分で宿題を3つ終わらせたら、見たかった30分のTV番組を見ることができるね」
「ゲームは1日1時間までだったら、8時までの好きな時間にやってもいいよ」
大切なのは言いっぱなし、任せっぱなしにしないことです。
子どもは大好きなゲームに熱中して時間を忘れてしまうこともありますので、約束の時間になっても止めていない状況にならないよう、しばらくは一緒に時間の管理をしたり、適切な声がけをしてあげましょう。
日頃からクイズを出し合う
切符を買って電車に乗っていた頃は、4桁の番号を足したり引いたり、かけたり割ったりも使って10にするゲームをした親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
日常生活には数字が常に身近に存在していますので、それを使ってクイズをお子さんと出し合うのも手です。
例えばみかんを10個買ってきたとします。
「これを家族4人で食べたら、1人何個食べられるかな?」
「1人2個だけど、2個あまっちゃうよ。どうしよう」
「そうしたら、2個を半分に分けたら4個になるから、4人で分けられるよ」
子どもたちの学習状況に合わせて出題してあげることが大切ですが、生活の中での学びなら、まだ習っていない内容でも子どもがひらめくこともあるかもしれません。
考えても子どもが答えを出せないようだったり、わからなくて苦しんでいるようなら、ヒントを出して答えが出るよう導いてあげましょう。
ポイント制で競争してみたり、賞金や賞品を賭けたりしながら、日々の生活に取り入れてみることも有効です。
まとめ:プログラミングと算数は別物。算数の得意は日常生活の中で育んで
プログラミング自体は将来の可能性を秘めたものです。プログラミングを通して問題解決能力や想像力・創造力、さらには英語力など身につけられる力は多いので、お子さんに学びたい意欲があり、楽しそうにやっているのでしたら、ぜひその力を伸ばしてあげましょう。
ですが、プログラミングをやったからといって算数の得意に直結するわけではありません。算数や数学が苦手でも、プログラミングを行うことはできるからです。
小学校での必須科目だからと興味がないのに強制するよりも、算数の得意を伸ばすということに限定して言えば、日常生活において算数に触れる機会を多く作ることが非常に有効な手段です。
学校での勉強はもちろん、今後プログラミングに興味を持った際にも困らないように、ぜひ日常生活の中で実践してみてください。
記事執筆
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構成/HugKum編集部