子どもの自慰行為に気づいたとき、親はどうすべき?【小学校高学年・性の赤裸々相談室】

高校や小学校の保健室の先生を経て、現在はフリーランスの性教育講師、思春期保健相談士として活動しているにじいろさん。小学校高学年のママたちの打ち明けにくい赤裸々お悩みにお答えいただきました。2回目は「子どもの自慰行為を知ってしまったら?」など、男の子ママたちのお悩みを紹介します。

お悩み相談③「息子の友だちに『何カップ?』と聞かれました」

Q. 咄嗟に正直に答えてしまったのですが、それは間違いだったでしょうか?そして、その男の子に合うたびに胸を見られている気がします。(Iさん 息子11歳、8歳、娘5歳)

A.「答えない方がベター。大人が意識して線を引く」

思春期になると、それが家族でも、先生でも友達でも親戚でも、異性として見てしまうことがあり、それも自然のことです。なので、大人の方が意識をして線を引くようにしましょう。

●体や性についての質問をされた時

「それは私のプライベートなことだから、答えたくないよ」

「体のことを聞かれると嫌がる人が多いから気をつけてね」

(ノリよく話せる関係性の場合)「それはセクハラになるんだよ~!」

質問をしてきた相手に対して、怒るというよりは注意する、突っ込むというような感じで対処しましょう。

同じようなシーンで言うと、異性の子どもと一緒に公共のお風呂やプールに入った時、子どもが他人の体をジロジロ見てしまうなんてこともありますよね。そんな時は「いろんな体の人がいて気になるよね。でも、見られて嫌な気持ちの人もいるから、マナーやルールとして見ないようにしようね」と伝えます。見たくなる気持ちは自然なことなので、そこは認めてあげるのがポイントです。

お悩み相談④「18歳になったらアダルト動画を観ていい?」

Q.18歳になった息子にはアダルト動画を観てOK!としていいものでしょうか?(Hさん 息子18歳、11歳、娘15歳)

A.「観ていい年齢だけど、一女性としての意見を言う」

年齢的には大丈夫ですよね。しかし、私たち大人はまともな性教育を受けていなくて、アダルトビデオや動画を教科書化しているのが現状と言えます。

●アダルト動画について男性に話したいこと

「男の人ってこういうの信じているけど、女の人はこんなことしても喜ばない」

「男の人がいいと思っていることと、女の人がいいと思っていることは違う」

これは私の場合ですが、「これは作り物だから、実際は喜ばへんで~」みたいな感じで、フランクに現実と違うことを伝えます。怒るわけではなく、「実はこう!」という意見を夫やパートナー、同級生など、気軽に話せる相手に話していくのはいいことだと思います。我が子ならなおさら、知っておいて欲しいことですよね。

こういう話をサラッとできるような風通しのよさが家庭内にあると、どんなことでも話し合いながら対処していけます。

お悩み相談⑤「子どもの自慰行為は注意してはいけない?」

Q. 布団の中でモゾモゾと何かをしていたり、どうやら自慰行為をしているようです。気づいた時、注意をするべきでしょうか?(Rさん 娘13歳、息子11歳)

A.「やってはいけないことではないので、指摘はしないほうがいい」

どんなシチュエーションでしていたのかによって、対応の仕方が違ってくると思います。

●自慰行為をしている子どもに気づいたら

(部屋やお風呂などドアを閉めてしていた場合)特に何も指摘はしなくてOK!

(ドアが開いているなど、オープンな場でしていた場合)

「これはプライベートなことだから、人に見られないようにドアを閉めるようにしようね」

子どもが隠れてしているようであれば、「あなたしているよね」という指摘はしないほうがいいです。

ただ、男の子の場合、うつぶせになって床にペニスを押しつけたり、こすりつけたりする「床オナ」など、リスクのある自慰行為もあります。これは小さい頃からなんとなくしている子もいるので、注意が必要です。

「あなたが自慰行為をしていることは知っているけど」などとは言わず、一般論として「こういうことをすると危ないみたいだよ」など、性教育の本などを使って伝えるようにしましょう。

●幼児が自慰行為をしているところに遭遇した場合

「大切な場所だから、触る時は清潔な手で触ろうね」

「他の人に見られない場所で触るのがマナーだよ」

幼児の場合、隠れずにあっけらかんと自慰行為をしている場合があります。その場合は、上記のように声をかけてあげるようにしましょう。

幼児であっても高学年であっても、いざ遭遇するとびっくりして「やめてほしい」と思いますよね。私たち親世代もプレジャーという性については学んでいないこともあり、「まだ子どもなのに」などと嫌悪感を抱いたり、怒りたくなる気持ちもよくわかります。

子どもの性に対する興味関心を否定しない

自慰行為など、我が子の「性」と向き合うことは、親も冷静でいられなくなる場合が多いですね。今回、にじいろさんにお答えいただいた答えを参考に、「子どもの性に対する興味関心を否定しない」「一般論として教える」ことを覚えておき、子どもが性に対する興味関心が高まることは当然のことと考えることが大切だと言えます。

記事監修

にじいろ|性教育講師・思春期保健相談士
元保健室の先生であるにじいろさんが性教育を行う対象は子どもだけではなく、保護者や教員など様々。現場の声と知識を活かして、多岐にわたる活動をしている。昨年出版した著書「10代の妊娠」(合同出版)では、10代の子どもの妊娠や出産、中絶など、リアルな性の悩みを紹介し話題となっている。

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