【ポケット避妊教室】コンドームや緊急避妊薬も!親世代が知るべき新しい性教育アイテムの中身

10月11日は「国際ガールズ・デー」。それに際して、渋谷で女の子の「SRHR」(性と生殖に関する健康と権利)に関するイベントが開かれました。娘を持つ親世代の私としてもとても気になるテーマ。今時の性教育を知るべく、イベントに参加してきました。今回は、とくに親世代が知って欲しい、触って学べる「ポケット避妊教室」という最新の性教育アイテムをご紹介したいと思います。

ガールズエンパワーメントイベント

10月11日の国際ガールズ・デーに際し、女の子の「SRHR」(Sexual and Reproductive Health and Rights・性と生殖に関する健康と権利)」を応援する国際協力NGOのジョイセフ(JOICFP)、 渋谷の女性ウェルネス促進団体 Women’s Wellness Action(WWA)が主催の【CHOICE FES SHIBUYA】が開催されました。

性教育と聞くと身構えてしまいますが、会場は一見、女性の性の問題を扱うイベントとは分からない、お洒落で、気軽にふらっと一人で訪れることのできる明るい雰囲気。世界と日本の生理事情を学べるスポットやフェムテック・ケア製品に直接触れられるコーナーなどがあり、気構えることなく、お買い物のついでに学んだり体験できます。

生理用の吸水ショーツや「はじめての生理ボックス」など、フェムテック商品に気軽に触れられるコーナーも。

ポケット避妊教室の開発者・染矢明日香さん

今回のイベントでは、ジョイセフの事務局次長小野美智代さん、NPO法人ピルコンの染矢明日香さん、WWAsの森田由紀さんが「SRHR」の理解を深め、これから日本の女性の権利を向上させていくには、どうアクションしたら良いかというガールズエンパワーメントに関するトークセッションがありました。

 

ピルコンの染矢明日香さん(右)、ジョイセフの事務局次長小野美智代さん(中央)、WWAsの森田由紀さん

その中でも、とても興味深いトピックが「性教育」。

実は、日本の性教育は世界に比べて、とても遅れていて、中学校の学習指導要領でも「避妊、性交、中絶を扱わない」とされ、義務教育では正しい知識が得られないのが現状。NPO法人ピルコンの染矢明日香さんは、そんな日本の状況を危惧し、画期的な性教育のアイテム「ポケット避妊教室」を開発した一人です。

この「ポケット避妊教室」はクラウドファンディングにより製作され、2022年5月に希望する医療機関、学校等に既に配布されています。情報として知ってはいたのですが、私はまだ手に取ったことがありませんでした。ぜひ会場で拝見したいとリクエストして、今回、取材を通して初めて実際に手に取ることができました。

「ポケット避妊教室」のキットがこちら

「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」より提供

手に取りやすいデザインを心がけた理由とは

とにかく、見た目がお洒落!すっきりとしたデザインで洗練された印象です。奇抜ではなく、落ち着いたデザインで手に取りやすい安心感があります。デザインは、電通のアートディレクターの間野 麗さんが担当。ジョイセフの「I LADY.」などその他のガールズエンパワーメントのプロジェクトのデザインも手掛けている「SRHR」には造詣の深いデザイナーさんです。

デザインにあたって、染矢さんは、手にとってみたいと思えるポップさ、デザイン性と信頼感を両立できるよう、ジェンダーニュートラルで性別に関わらず身近に感じられるデザインやカラーを工夫したそう。性教育=女性=ピンクになる様なイメージは避けたといいます。
実際に、薬学部の学生を含む、大学生にも意見を聞き、大事にしたのは、学ぶ人が罪悪感や恥ずかしさを感じることなく避妊や性のことを大切に思ってもらえるようなコンセプト。
作り手だけではなく、使う側の思いも取り入れたデザインが、手に取りやすいことに繋がっていると感じました。性についてはタブー視する傾向が強いですが、こんな素敵な箱であれば、これから性教育!という気構えなく、スッと入っていけそうですね。

避妊薬やコンドームも実物を見て学べる

「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」より提供

緊急避妊薬、経口避妊薬、コンドーム、妊娠検査薬等のサンプル・見本と各内容物に対応した説明を中心に、避妊法、性暴力、性感染症、相談先・情報サイト等を掲載したカード型教材がセットになっています。

少なくとも私が覚えている限り、自分が中学生の時の性教育ではどれ一つ、触れたことがないものばかりです。私は40代ですが、実際に緊急避妊薬を見るのは初めてでした。本当の緊急時に、見たことがあるのとないのでは全く心構えが違うと思いました。

箱の中身は分かりやすく、中学生くらいでもきちんと理解できる作りになっています。一方で、成人の方にもしっかり受け止めてもらえる内容でもあります。

染矢さんいわく、実際に、配布された学校では、「手に取って話しながら学んでいける作りになっているので、生徒からの質問や感想が出やすく、双方向的に一緒に学べるのが良い」という声が届いているそうです。
「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」より提供

選択肢の少ない日本。まずは避妊を学ぶきっかけ作りに

以前、私はアメリカに留学していた時に、ユースクリニックがあり、なんでも相談できる女性の医師や保健師がいました。その時に、初めてピルの処方を受け、女性側が選べる避妊方法が多くあることも学びました。経口ピルだけだと思っていた私はびっくり。パッチや注射、挿入型のものまで、好みやライフスタイルに合わせて色々と選ぶことができました。20年前のことです。実際、海外にも「ポケット避妊教室」の様なキットはあるそうですが、容量も多く、ネットで一般の方でも買うことができます。

アメリカと比べても、日本ではまだまだ避妊の選択肢は少ないのが現状ですが、「ポケット避妊教室」が避妊について学ぶきっかけ作りになることが大切なのだといえます。

おまもりパンフレット

また、主に緊急避妊が必要になった人に向けて、緊急避妊薬について信頼できる情報を届ける「もしものおまもりパンフレット」も制作されています。緊急避妊薬の入手方法と服用時の諸注意、Q&A、性的同意、避妊法、相談先・情報サイト等を掲載しています。こういった情報にアクセスできるだけでも心強いですよね。

「ポケット避妊教室」の提供方法

現在、300セットを試作し、全国の希望する薬局や学校の保健室に提供し、試作数を大幅に上回る応募があったそうです。今後、キットを改良し、助成金を得て、来年から全国の希望する中学・高校の保健室に配布できればという段階でした。

ぜひ、プロジェクトのウェブサイト の情報もチェックしてみてください。

  • ポケット避妊教室
  • 緊急避妊薬を薬局でプロジェクト
  • 共同代表:遠見才希子(産婦人科医)、染矢明日香(NPO法人ピルコン理事長)、福田和子(#なんでないの プロジェクト代表)

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