企業が取り組むSDGsはここまで進化。 大手企業の取り組みからちょっと面白い事例まで、消費者が知っておきたいこと

ひと昔前までは、企業は高度経済成長によって、大気汚染や水質汚濁、自然破壊などの問題がありましたが、現在は、持続可能な開発目標SDGsの実現という国際社会での共通認識が生まれました。では、日本企業は実際にどのような取り組みをしているのでしょうか?

企業にSDGsはなぜ必要なの?

SDGsとは、2030年に向けて持続可能な開発を地球規模で取り行うための共通の目標・ターゲットを軸に地球規模で達成しようというものです。

国際的な目標とは別に、企業にもSDGsに積極的な取り組みが求められています。では、なぜ、企業はSDGsに取り組む必要があるのでしょうか。

多様なメリットを受けることができるから

企業がSDGsに取り組む理由を、以下の3つ観点から説明します。

・新規市場開拓・事業機会創出の可能性

・事業の持続的成長の確保

・企業価値の向上

企業は、SDGsによって新たなビジネスチャンスを狙っており、企業がSDGsの考えを持って取り組むことで事業の持続的成長を見込んでいます。

また、SDGsに取り組むことで企業価値向上となり、投資家、従業員、消費者からの印象も上がり、ビジネスおいては大きなメリットにもなります。

以上のようなことから、企業はSDGsが積極的に取り組む必要があると感じているのです。

参考:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

企業ができるSDGsとは

では、企業ができるSDGsにはどんな取り組みがあるでしょうか。小さいことから大きなことまで、さまざまあります。

例えば、資源の使用量やリサイクル。

業務で使用する紙をリサイクル紙にすることや紙から電子化を図るなどがそれです。

電力の使用量の場合は、残業をやめれば、残業に使用していた電力をカットできると同時に企業の働き方の改善にもつながります。

また、SDGsに関連する慈善団体に売上の一部を寄付するといった直接的支援もあります。その場合は、そのことを表記することで消費者、投資者からの応援や会社の価値を高められます。

大手企業の取り組み事例

続いて、主に国内の大手企業におけるSDGsの具体例をご紹介します。

ユニクロ

服のチカラを、社会のチカラに。
よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことができる。
私たちは、そう信じています。

という理念でユニクロは社会との調和と、持続的な発展を目指しています。

具体的には、自然豊かな日本のふるさとを次世代につなぐことを大切に考え、2001年より瀬戸内海の美しい自然を守るためにつくられた「瀬戸内オリーブ基金」に賛同、募金活動や従業員ボランティアを行っています。

水の使用量は、従来に比べ最大99%削減した「BLUE CYCLE JEANS (ブルーサイクルジーンズ)」を開発し、よりサステナブルなジーンズを作る取り組みを行ったり、また、労働環境・人権問題にも力を入れており、服づくりに関わる人の権利を尊重し、安心して健康に働ける環境づくりに取り組んでいます。

参照:ユニクロ公式HP

トヨタ

世界中で展開している車業界の大企業トヨタは、以下の3つの観点からSDGsに取り組んでいます。

・地球への取り組み
・幸せに暮らせる社会への取り組み
・働く人への取り組み

具体的には、環境に配慮した取り組みとして電気自動車を開発したり、国によってエネルギー事情が異なることを踏まえ、さまざまな需要に応えたラインナップを展開したりしています。

トヨタの多様性を尊重する取り組みは世界中で行われており、その活動は「Top50 Companies For Diversity」にランクイン。2021年は、1,800社中で7位を獲得という形で評価されています。

また、脱二酸化炭素を目指して、二酸化炭素を排出しない水素エンジンの開発や、車を使うときだけでなく作るときにも配慮していることが特徴で、電気を使わずに動く工場を実現させる「カラクリ」を日々、熟考しているそう。

さらに、「幸せの量産」を実現する社会には何が必要なのかを考え、トヨタは未来の生活を先取りする実証実験の街「Woven City」をつくっています。

モビリティカンパニーへの転換に向け、「一人ひとりの考える力を尊重し、全員参加で変革を進める」というトヨタの強みは、ますますSDGsでは重要な位置付けになることでしょう。

参考:トヨタ公式HP

イオン

イオンのSDGsの取り組みについても、ご紹介します。

イオンは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指しています。取組みにあたっては、「環境」「社会」の両側面で、グローバルに考え、それぞれの地域に根ざした活動を、多くのステークホルダーの皆さまとともに積極的に推進しています。(イオン公式サイトより)

イオンの基本理念を具現化したものは、「イオンふるさとの森づくり」があります。1991年から新店が開店する時に、地域の住民とともに敷地内に地域環境に合わせた樹木を植樹しているそう。

「イオン ふるさとの森づくり」は、自然災害や伐採などで失われた国内外地の森林の再生を目指して実施しており、2021年2月までの植樹本数の合計は 1,222万6,872本になったとか。

また、多くの人にとって身近な資源循環型社会の実現も目指しているようです。具体的には、買物袋持参運動 、店頭資源回収 、食品廃棄物の削減を重要課題として取り組んでいるそうです。

さらに、私たちのくらしを支える生態系が生み出す恵みを次世代に残すため、イオンはすべての商品で持続可能性の高い調達を推進。2006年に日本の総合小売業で初めて「海のエコラベル」と称されるMSC認証商品の販売を開始し、2014年にはASC認証商品の販売開始、フェアトレード認証やオーガニック認証など、持続可能性の裏付けが取れた国際的な第三者認証商品を積極的に展開していくようです。

参考:イオン公式HP

マクドナルド

マクドナルドでも、さまざまなSDGsの目標に取り組んでいます。

人・動物・環境・ビジネスにとって持続可能な食材の調達に尽力しており、 マクドナルドが責任を持って食材を調達することで、持続的かつより良いもの目指していくとのこと。

また、マクドナルドでは、原材料調達から店舗運営までにわたり、環境負荷を最小限に抑えながら、安全でおいしいものを届けることを実現するために、食料や包装などの原材料調達は持続可能なものを選択。

さらに、3R(リデュース、リユース、リサイクル)にも積極的に取り組んでいます。コーヒー豆、ポテトを揚げる油やおもちゃ、働く人などSDGsのさまざまな目標、ターゲットに包括的に取り組んでいます。

参考:マクドナルド公式HP

スターバックス

スターバックスコーヒー ジャパンは、『人々の心を豊かで活力あるものにするために ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから』というミッション(企業理念)のもと、2020年には、地球から得るよりも多くを返す「リソースポジティブカンパニー」になることを宣言しています。

また、2030年までに、排出するCO2や水、廃棄量をそれぞれ50%削減するといった明確な目標を掲げ、行動に移しています。

特に、話題となったのは、ストロー。スターバックスではドリンクとストローが欠かせませんが、ストローを紙製に変更。さらに、多くのドリンクに使用しているミルクのパックを、ちゃんと洗い、乾かし、たたむことでトイレットペーパーやナプキンへとリサイクル可能にしています。

参考:スターバックス公式HP

ちょっと面白いSDGsの取り組み事例も

一風変わった、面白い取り組み例もご紹介します。

くら寿司「出張授業 お寿司で学ぶSDGs」

回転寿司という身近な題材から、水産業や食をめぐる課題の解決方法を「出張授業 お寿司で学ぶSDGs」と言う形で行っています。

小学校の新学習指導要領における「持続可能な開発のための教育(ESD)」の一助となるようにデザインされており、SDGsが掲げる17のGOALの内、12「つくる責任つかう責任」、14「海の豊かさを守ろう」、17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連した内容になっています。

未来では食べられなくなるかもしれないというストーリーを映像と共に編集し、その後回転寿司屋さんを実際にロールプレイすることで課題解決をしていくという授業内容。

回転寿司という楽しさから入るものの内容もちゃんと理解できる仕組みになっているため、保護者にもとても良い反響があるそうです。

参考:くら寿司公式HP

無印良品「ペットボトルからアルミ缶へ」

無印良品では、ペットボトルからアルミ缶へシフトしました。

日本のプラスチックごみはリサイクルされていることになっていますが、実際には焼却処分、海外へ輸出している部分が多いため、リサイクル率が高く回収ルートが確保されているアルミ缶に変更しているとのことです。

参考:無印良品公式HP

ネスレ日本「廃棄される容器とコーヒーかすで衣服を製作」

ネスレ日本では、廃棄される容器とコーヒーかすで衣服を製作することを発表しました。回収した紙製の詰め替え容器とネスレ日本直営のカフェ「ROASTELIER by NESCAFÉ (ローステリア バイ ネスカフェ) 三宮」で出たコーヒーかすを使って衣類を制作するという業界初の取り組みです。

作られた衣類(Tシャツ・エプロン)は、ネスレ日本直営のカフェ「ネスカフェ 原宿」でユニフォームとして使用される予定とのことです。今後は、アップサイクルで作られた製品をアパレルメーカーに提供することも検討してるそう。本来捨てられてしまう部分を再利用することで、ゴミの削減につながる素晴らしいアイデアですよね。

参考:ネスレ日本公式HP

Patagonia「廃棄プラスチック製漁網で衣類を作る」

アメリカのアウトドアブランド「Patagonia(パタゴニア)」は、2018年のある調査結果で、太平洋ゴミベルトの約半分が漁網ということを知り、地球環境問題を解決するための第一歩として、2020年より商品の一部に「ネットプラス」を使用開始しました。

「ネットプラス」というのは、捨てられたプラスチック製の漁網を集めて加工し織り上げた素材のこと。

素材にはナイロンとHDPE(高密度ポリエチレン)の2種類があり、Patagoniaでは、南米沿岸部の地元の漁師から漁網を回収して再利用を可能としています。これにより、地元の漁師たちは副収入を得ることができ、さらに地元の雇用創出にもつながっています。

参考:Patagonia 公式HP

消費者と企業が共にSDGsの達成を目指す

今回は企業が行うSDGsの取り組みをいくつかご紹介しました。皆さんは、予想以上に企業がSDGsに関心を持って行動しているということが分かったのではないでしょうか。

このような活動を知ることで、消費者はSDGsを行う企業の信念に共感し、より企業を応援したくなる気持ちになりますね。このように、消費者と企業が共にSDGsの達成を目指すことが非常に大切なことと筆者は感じています。

※写真はイメージです

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