最後に出演する人のことをなぜ「トリ」と言うの?
いよいよ2022年も大晦日を迎えました。今宵は「紅白歌合戦」を楽しまれるご家庭も多いことでしょう。
毎年、紅組、白組、それぞれ最後に歌う「トリ」が誰なのかが、年末恒例の紅白歌合戦にまつわる話題の一つですが、なぜ、「トリ」と呼ばれるのかご存じでしょうか?
「トリ」は寄席からうまれた語。その由来とは?
まさか「鳥」のことだとは思っていませんよね。
実はこの「トリ」という語は、寄席(よせ)から生まれた語なんです。
昔の寄席では、最後に出演する人(主に真打の落語家です)が、その興行の主任格となり席亭(寄席の主人)の取り分を引いた売り上げを全部取るシステムになっていました。この取るということから「トリ」という語が生まれたのです。売り上げを取るから「トリ」なのです。
寄席には他の芸人も出演しているわけですから、「トリ」は収入を全部自分の懐に入れてしまうわけにはいきません。ちゃんと、出演者に出演料を分配します。客一人につきいくらと出演者に割り当てるのですが、それを「割り」「席割り」などと呼んでいます。お客さんの入りが悪いと、「割り」は少なくなってしまうわけです。
この名残で、今でも寄席の出演表では、最後に出演する落語家を「主任」と書いて「トリ」と読ませる風習が残っています。
「大トリ」は紅白歌合戦から生まれた語
そして「トリ」という語は次第に寄席に限らず興行界に広まります。最後に上演したり上映したりする呼びものの番組や映画、歌番組などで最後に出演する歌手なども「トリ」と呼ばれるようになったのです。
NHKの紅白歌合戦では特に、最後に歌う人を「大トリ」と呼んでいます。この「大トリ」という語はもともとあったわけではなく、どうやら紅白歌合戦から生まれた語のようです。