「光年」とは
日常生活ではさまざまな単位が使われており、光年もその一つです。まずは、言葉の意味を確認しましょう。最初に光年という単位を使用した人物についても紹介します。
宇宙の距離を測る単位
光年は、宇宙空間の距離を測るときに用いられている単位で、1光年は光が1年間に進む距離を表しています。
宇宙空間は広大なので、通常距離に使われるkmで表そうとすると、非常に桁数の多い数字になってしまいます。それでは分かりにくくなってしまうため、光年が使われているのです。
なお、天文学の単位には、地球と太陽との平均距離を示す「天文単位」や、太陽系外の天体までの距離を示す「パーセク」という単位もあります。
光年を最初に使ったのはドイツの作家
ドイツ人作家のオットー・エドゥアルト・ヴィンツェンツ・ウレが、最初に光年を使ったといわれています。雑誌に掲載された天文に関する記事の中で用いたことが始まりです。
ウレは自然科学の修士号を取得後、大学で教鞭を取っていました。その後はフリーランスの作家としての活動を始め、雑誌の創刊などにも携わったようです。
実際の距離として考えると?
地球から身近な天体である太陽や月までは、どのくらい離れているのでしょうか? 実際の距離だけでなく、光年の計算方法についても分かりやすく紹介します。
光年の計算方法
1光年がどのくらいの距離なのか分かれば、50光年や100光年なども計算可能です。光が1秒間に進む距離は「約30万km」なので、「秒速30万km」として計算します。
「30万km/秒 × 60秒(1分) × 60分(1時間) × 24時間(1日) × 365日(1年)」のように1年間に進む距離に換算すると「9兆4,608億km」となり、これが1光年が示す距離です。
新幹線で考えてみると、イメージしやすいでしょう。時速300kmの新幹線が1年に進む距離は約263万kmなので、1光年は新幹線で走ると約361万年かかる距離ということです。
なお、太陽系外惑星探索で見つかった、地球に最も近いとされるスーパーアースでも約4.2光年離れています。
身近な天体までの距離
月と太陽は、地球にいる私たちから見ると同じくらいの大きさに見えます。しかし、実際には、太陽は月の約400倍の大きさです。
地球からは同程度の大きさに見えるのは、太陽が月よりもはるか遠くにあるためです。地球から月までは約38万kmなのに対し、太陽までは約1億4,960万kmも離れています。
地球の約半分の大きさの火星と、地球の約11倍の大きさの木星が、地球からは同じくらいの大きさに見えるのも同様で、地球からの距離が関係しています。
遠くの星の距離が分かる理由
惑星や星の距離は、さまざまな方法を用いて測定が可能です。比較的近くの天体の測定に用いられる方法の一つが、「レーダー法」です。光を天体に反射させ、その往復にかかる時間を基に距離を算出します。
また、「三角測量の原理」を用いて測定するケースもあります。天体を二つの異なる角度から観測したときの「年周視差」と呼ばれる角度を用いて測定する方法です。
さらに、太陽系外など遠くの天体には「標準光源法」が用いられます。明るさが分かっている星を基準として、距離を算出する方法です。
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光に関する疑問
宇宙は神秘的で、「なぜ?」と疑問に感じることも多いのではないでしょうか? よくある光に関する疑問についてまとめました。子どもに豆知識として教えてあげると、天体に興味を持つきっかけになるかもしれません。
地球から見える星の光は昔のものって本当?
地球上の私たちが目にしている星の光は、実は昔のものであるというのは事実です。宇宙は広大なため、光の速さをもってしても、私たちの目に届くまでにはある程度の時間がかかるのです。
例えば、太陽から最も近いとされる恒星でも、光の速さで約4年かかる位置にあります。七夕で知られる織姫(ベガ)の距離は約25光年、彦星(アルタイル)の距離は約16光年です。つまり、25年前と16年前の光を私たちは見ているのです。
ベガ・アルタイルとともに「夏の大三角形」を形成しているデネブの距離は約2,000光年なので、2,000年も前の光を見ていることになります。
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光の速さを超えることはできる?
アインシュタインが提唱した「相対性理論」や数々の実験から、光速を超えることはほぼ不可能と考えられています。光速は一定で、遅くなることがありませんが、質量を持つ物体を加速させるにはエネルギーが必要です。
光速に近づけるには無限のエネルギーが必要になりますが、現時点で無限に供給できるエネルギーは存在しません。そのため、光速を超えることはできないといわれているのです。
壮大な宇宙をロマンと一緒に観察!
光年は宇宙の距離を測る単位のことで、ドイツ人作家が記事の中で用いたことが始まりとされています。広大な宇宙では、光が届くまでに多くの時間を要します。デネブのように、およそ2,000年も前の光を見ていることもあるのです。
夜空に輝く星を眺め、ロマンに浸りながら観察してみるのもよいでしょう。
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構成・文/HugKum編集部