イエメンはどんな国? 世界最古の街やソコトラ島、ハジャラなどの見どころをチェック【親子で学ぶ世界地理】

かつては「幸福のアラビア」と呼ばれた国「イエメン」。中東の国であることは知っているものの、どんな国か知らない人もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、イエメンのの基本情報や、観光地、特徴などを紹介します。どんな国なのか見ていきましょう。
<画像:首都サナアの街並み>

イエメンってどんな国?

中東の最南部に位置する「イエメン」は、どんな国なのか、特徴や観光スポットなどをこれから説明していきます。

イエメン基本情報

まずは、イエメンの正式な国名や首都、場所などといった基本情報を見ていきましょう。

国名

正式な国名は、「イエメン共和国」といいます。

首都

首都は、サヌアです。

場所

イエメンの場所は、アラビア半島の最南部に位置します。北はサウジアラビア、東はオマーンと接しています。 アデン湾をはさんだ対岸にはソマリアがあります。

日本との時差

日本とイエメンとの時差は6時間で、日本のほうが、6時間進んでいます。たとえば日本が午前6時だとすると、イエメンは午前0時となります。

面積

イエメンの面積は、55.5万平方キロメートルです。これは、日本の約1.5倍弱の大きさとなります。

エリア

イエメンは「山岳地方」「ハドラマウト地方」「アラビア海沿岸」の3つのエリアに分かれます。

山岳地方は、標高1,000~3,000mの高原地帯です。サナアやタイズなどの主要都市や、歴史的都市があります。

ハドラマウト地方は、かつて交易の中継として栄えてきたエリアで、マーリブやサユーンなどがあります。

アラビア海沿岸は、アデンやムッカラ、ホデイダ、コーヒーの積み出し港がかつてあったモカなど、交易地として栄えたエリアです。

人口

イエメンの人口は、約2,983万人(2020年/国連)です。日本の人口はおよそ1億2千万人なので、くらべると4分の1程度となります。

言語・公用語

イエメンの公用語はアラビア語です。

通貨

イエメンの通貨はイエメン・リアル(YR)です。1イエメン・リアルは0.52円です(2023年1月30日現在)。

宗教

イエメンの人々が信仰する宗教は、イスラム教です。なかでもスンニ派、およびザイド派が多いといわれています。

イエメンの国旗

歴史

イエメンの歴史は次のとおりです。
紀元前10世紀頃~ インドと地中海及び東アフリカの貿易の中継地として繁栄する。このころ、古代ギリシャ人やローマ人から「アラビア・フェリックス(幸福のアラビア)」と呼ばれる。
9世紀~ ザイド派のイマーム(宗教指導者)が支配する。
16世紀~ オスマン・トルコが北イエメン地域を支配し、オスマン帝国となる。
1839年 英国がアデンを占領し、南イエメン地域を保護領とする。
1918年 北イエメン地域では、オスマン・トルコからイマーム王国が独立する。
1962年 軍による共和制革命によってイマーム王制が廃止。イエメン・アラブ共和国が成立する(旧北イエメン)。 南イエメン地域では、1962年に南アラビア連邦が発足。
1967年 南アラビア連邦が英国から独立し、南イエメン人民共和国となる。
1970年 南イエメン人民共和国が国名を「イエメン民主人民共和国」に改める。
1990年 南北イエメン統合により現在のイエメン共和国が成立する。

天気・気候

イエメンの気候は、エリアによって異なります。首都サナアがある西部の山岳地帯では、高度が高いこと寒暖差がはげしいのが特徴です。最高気温は30度程度、冬の夜間では0℃近くまで下がります。雨季は3~4月、7~8月となります。

ホディダ、アデンなどの沿岸部は一年を通じて高温多湿なのが特徴です。最高気温が50℃を超えることもあります。また、雨はほとんど降りませんが、8~9月にわずかに降ることがあります。

マリーブなど砂漠地方では常に乾燥して酷暑となるのが特徴です。1日の寒暖の差が激しいエリアでもあります。

日本よりも気温が高く、寒暖差が大きいのが違いといえるでしょう。

イエメンの治安・住みやすさ

首都サナアの路上風景

イエメンの治安や住みやすさを解説していきましょう。

治安は安定していない

治安はあまりよいとはいえません。外務省の危険度情報を見ると、全土で危険度レベル4となっています。これは、イエメン全土で、イエメン政府と反政府勢力との衝突や、イスラム過激派組織等によるテロ・誘拐事件が発生しているためです。

住みやすさはよいとはいえない

イエメン全土の治安が悪いこともあり、住みやすいとはいえないでしょう。

イエメンの見どころ・観光

イエメンの世界遺産や観光名所などをご紹介しましょう。

サナア旧市街

アラビア半島南部に位置する「サナアの旧市街」は、「世界で最も古い街」「世界最古の摩天楼都市」といわれています。

「世界最古の摩天楼都市」サナアの旧市街

サナア旧市街の特徴は、高さ12mの城壁に囲まれていること、そのなかに6,500棟もの日干し煉瓦を積み上げ窓枠に白い漆喰を施した独特の高層家屋が密集していることです。サナア旧市街は1986年に世界遺産に登録されています。

ソコトラ島

ソコトラ島は、「インド洋のガラパゴス」と呼ばれる島です。ここにしかない生態系を持つ動植物がたくさんいます。なかでも「ベニイロリュウケツジュ」は固有種で、独特の形をしており、島のシンボルツリーとなっています。ソコトラ島は2008年に自然遺産に登録されています。

ソコトラ島のベニイロリュウケツジュ

シバーム

シバームは3世紀頃から交易都市として栄えてきた場所です。こちらも世界遺産に登録されています。町は城壁に囲まれ、泥のレンガで造られた伝統的な高層建築が並んでいるのが特徴です。高層建築が立ち並ぶ姿から、「砂漠のマンハッタン」と呼ばれています。

ロックパレス

ロックパレスは、岩の上に建てられた宮殿です。ザイード朝のイマームヤヒヤが夏の離宮(別荘)として作らせたのだそう。宮殿自体は5階建てとなっており、内部を見学することもできます。

ハジャラ

町が山の上に建てられ、高層家屋が立ち並ぶハジャラの町は、出入り口がひとつしかない優れた城塞都市となっています。かつてオスマン・トルコ軍がこの地に侵攻してきた時、人々はこの集落に立てこもりました。

標高2300mの山の上にある町なので、天候が変わりやすく、雲にかくれてしまうことも。ハジャラへはサナアから日帰りで行けます。

出入口がひとつしかない要塞集落・ハジャラ

イエメンの特徴・有名なもの

観光地以外に、イエメンで特徴的なものや有名なものを紹介していきましょう。

モカコーヒー

イエメンは、コーヒーの「モカ」の発祥とされています。コーヒーを出荷していたイエメンにある港「モカ港」が名前の由来となっているのだそうです。イエメンのコーヒー豆は、石油に次ぐ重要な輸出項目となっています。

サルタ

イエメン・サヌアやその近郊の代表的な郷土料理に「サルタ」があります。この料理は、肉や野菜をクミンシードやターメリック、フェネグリークなどで味付けし、石鍋で煮たシチューのような料理です。このサルタに、ヘルバというスパイスを使って作った粘り気と苦味のあるソースをかけます。サルタは、平たいパンにつけて食べるのだそうです。

ジャンビーア

イエメンの男性が腰ベルトにはさんでいる剣を「ジャンビーア」といいます。これは本物の剣ですが、使われることはありません。民族の誇りを示すものとして身につけています。

ワジ

「ワジ」とは、砂漠地帯に数年に1回大雨が降って現れる川のことです。シバームはワジの谷底にできた都市で、数年に1回洪水の被害が起きていたため、その対策として高い壁で囲われているのだそうです。

魅力的な見どころがたくさんあるイエメン

イエメンには、古き街や歴史的建造物、自然豊かな島など魅力的な見どころがたくさんあります。イエメンのことをもっと知りたいという人は、本やインターネットで調べてみるとよいでしょう。

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文・構成/HugKum編集部

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