さわらの食べ方
ご家庭で作るさわらの料理をみていきます。塩焼きにしてもおいしいですが、味噌、粕、などの調味料とも相性がよいのでおすすめです。
どんな味
身がふっくらとして濃厚な味を持ち、身の間には小骨がない、さわら。軽めに塩をして焼けば、しょうゆ、ポン酢をかけたり、大根おろしを加えたり、お好みで調節ができます。
寒鰆が好まれる関東では、冬の脂がのった身を塩焼きにするか、西京漬けが一般的。身が崩れやすいので煮つけよりも、竜田揚げが好まれます。
一方の関西では春のさっぱりしたさわらが好まれ、真子や白子を一緒に食べる文化があります。産地の瀬戸内海では、刺身、酢の物、ばら寿司の具として食べられてきました。また、香川県では卵巣を使い、カラスミを作ります。
西日本では冠婚葬祭に使われることも多く、懐石料理などでもよく見かける魚です。
子どもに大人気! さわらのマヨ味噌焼き
白味噌とマヨネーズで味付けしたソース、マヨ味噌焼きが簡単でおいしいです。給食でも提供される地域が多く、お子さんに人気があるレシピなんですよ。
・材料
(2人分)
さわら 2切れ
玉ねぎ 1/4個
にんじん 1/5本
【A】
マヨネーズ 大さじ1
白味噌 小さじ2
酒 小さじ1
味噌 小さじ1/2
しょうゆ 小さじ1/2
水 大さじ1〜2
・作り方
【1】玉ねぎ、にんじんを薄くスライスします。
【2】フライパンに【1】の野菜を広げ、上にさわらをのせて、加熱します。
【3】【A】の調味料を混ぜ、【2】のフライパンに加えます。フタをして蒸し焼きにします。
【4】焦げやすいので、水を足しながら火を通してください。
【5】最後に余分な水分を強火で飛ばし、ソースをさわら全体にからめてから器に盛り付けます。
これなら焦げない! 粕漬けのホイル焼き
粕漬け、西京漬けにしてもおいしい、さわら。ここでは、粕漬けのホイル焼きをみていきます。焦げないよう、野菜の上にのせて焼くのが、ポイント。
・作り方
(2人分)
さわら(粕漬け) 2切れ
玉ねぎ(小) 1/2個
にんじん 1/4本
しめじ 1/4束
酒 大さじ1
しょうゆ 小さじ1/2
塩 少々
アルミホイル
・作り方
【1】玉ねぎ、にんじんは薄切りにカットして、しめじはほぐしておきます。
【2】アルミホイルを広げ、玉ねぎ、にんじんを敷き詰めます。こうすることで、魚が焦げません。しょうゆと塩を振りかけます。
【3】軽く味噌を拭ったさわらを置いて、しめじをのせます。酒を振りかけて封をしてください。
【4】両面焼きのトースター、グリルの弱火で10分程度焼き、焼いた後はしばらくそのままにして、予熱を通します。
・フライパンでの焼き方
フライパンの場合は、フタをして7〜8分ほど加熱します。火を止めてから、しばらくそのままにして、予熱を通します。
刺身
さわらの身はピンク色をしていますが、マグロと同じ赤身魚です。回遊魚なので長距離を移動しますが、さわらは特に、猛スピードで一生泳ぎ回る魚なのです。身が柔らかく、味が濃い特徴を持ちますから、新鮮なさわらが手に入ったら、ぜひ味わってください。
さわらってどんな魚
さわらは、どんな特徴を持つ魚なのでしょうか。流通する土地ごとに扱われ方がそれぞれ異なります。
漢字は「鰆(さわら)」
さわらを漢字で書くと、魚と春で「鰆」です。春に産卵のために沿岸に近寄るため、人の目につきやすいことから「春を告げる魚」として古来から人々の暮らしに寄り添ってきました。
中国でも漁獲量が多い魚だったことから、日本でも江戸時代までは「馬鮫魚(マーチャオイー)」と書いて、「さわら」と読んでいました。馬、鮫(サメ)とありますが、これは体長1mを超える大型魚を意味します。
その後、江戸時代の本草学者が「狭腹」「小腹」と記します。これは体長に対して身が細長く、腹の部分がとても狭いことに語源があります。
ただし、注意が必要なのは金沢で「さわら」というと、「カジキ類」を指すそうです。カジキも体長に対して細い身を持つ魚なのだそうですよ。対して、「やなぎさわら」が一般的な「さわら」を指し、呼び分けているそうなので、ご注意を。
ちなみに、英語なら「Spanish mackerel」。なんと、「スパニッシュ マッケレル」とは「スペイン風の鯖(サバ)」です。サバとは味がまったく異なりますが、色ツヤはたしかに似ていますね。
旬は地域によって異なる
さわらの旬は、水揚げされる地域によってことなります。関東では産卵前のもっとも脂がのる、1〜2月頃がおいしい季節とされています。一方で瀬戸内海では、産卵のために外洋からサワラが押し寄せ、3〜5月に漁獲量が増えます。このことから関西地方での旬は、春から初夏になります。
さわらは成長するにつれて名前が変わる出世魚で、全長50cm以下のものを関東では「サゴチ」、関西では「サゴシ(狭腰の意味)」と呼びます。50〜80cmになると「ヤナギ」「ナギ」、だいたい60cmを超える頃からサワラと呼ばれます。
青魚アレルギー、食中毒への注意
さわらはサバ科の回遊魚ですから、青魚に入ります。アレルギーをお持ちの方は注意が必要です。
また、鮮度が落ちた場合はヒスタミンが生成され、中毒症状が表れます。一度生成されると加熱しても除去できないため、適切な温度管理が必要です。魚のエラや消化管に多く存在する菌なので、購入後はできるだけ早く取り除くことが防止策になります。もしも、香辛料を使っていないのに、舌がピリピリするような場合は、食べるのを止めてください。
さらに、生食の場合は、アニキサスの寄生による食中毒症状が出る場合があります。激しい腹痛、嘔吐を生じるので、やはり新鮮な魚を口にすることがなによりも大切です。
さわらと暮らし
地域によって食べ方や、呼び方、旬も異なるさわらは、古くから日本人に食べられてきた魚です。扱い方には、その土地ならではの文化が反映されていて、共に生きてきた歴史を感じます。旨味がありますから刺身でも味わい深く、マヨネーズや味噌などの強い味付けにも負けません。春の魚として季節を感じながら、味わってくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)