幼少期にレジリエンスを育てると、対人関係や学業にも良い影響を及ぼす
長引くコロナ禍で、不安な日々が当たり前となりつつある今、「レジリエンス」の重要性がより一層高まっています。「レジリエンス」とは、逆境や困難に遭ったとき、そこから立ち直る力。この力を幼少期に育てることで、心の健康だけでなく、対人関係や学業にも良い影響を及ぼすことが分かってきています。
『きみのこころをつよくする えほん』監修者の足立啓美先生にインタビュー
『きみのこころをつよくする えほん』は、子どもがネガティブな気持ちになったとき、気持ちを立て直すための方法が、かわいいイラストとともに分かりやすい言葉でつづられています。
この絵本の監修者であり、一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事の足立啓美先生に、お話をお聞きしました。
困難のない人生なんてない! 適応する力を育てるためには?
HugKum:今回、絵本をつくられたきっかけを教えてください。
足立先生:世界規模の変化が起こっている今、大人だけでなく子ども達も日常的な困難を感じています。逆境や困難がない人生はありませんので、乗り越えたり、うまく適応する力を育てたりしていくことが、これからの時代を生き抜くことにつながります。
レジリエンスは、何歳からでも育むことができますが、早ければ早いほど良いと言われています。幼少期は親や保育士さん、幼稚園の先生など大人との関わりが大きく影響しますので、絵本がその助けになればと思っています。
HugKum:この本で、特に伝えたかったことは何でしょうか。
足立先生:「ネガティブな気持ちは悪いものではない」というメッセージです。子育て中の親御さんは、子どもにはできるだけ辛い想いをさせたくない、ネガティブな感情を味わってほしくないと思うことがありますよね。でも、悲しみ、怒り、悔しさはとても大事な感情。子ども達自身が「今、自分はこんな気持ちなんだ」ときちんと受け止めることが大切です。そのために「どの感情も大事」というメッセージが伝わるよう工夫しました。
ネガティブな感情が湧いたら使う魔法
HugKum:教育の現場で、この絵本を取り入れている事例はありますか?
足立先生:はい。この本には、ネガティブな感情と向き合うための色々な魔法が出てくるのですが、ある保育士さんは、クラスの子ども達と今週はどの魔法を使うかを選び、子ども達がネガティブ感情に陥ったときに試しているそうです。
また、ある小学1年生の子は、むしゃくしゃしたときにこの絵本を手に取り、魔法をひとつ選んでやっていると話してくれました。
HugKum:自分にあった魔法を選べるのがいいですね! 自宅で読み聞かせするとき、効果的な読み方はありますか?
足立先生:幼児期は言葉だけでは想像が難しいことも多くあります。イラストを見ながら「悲しい顔をしているね」「●●ちゃんもこんな気持ちになることはある?」など、自分事として受け止められるように、問いかけてみてください。
子どもの気持ちを受け止めることがレジリエンスの近道
HugKum:絵本を読む以外に、子どものレジリエンスを育むためにできることはありますか?
足立先生:子どものレジリエンスを育むための親の関わりに関する研究はたくさんありますが、共通して重要とされているのは「あたたかくて受容的な養育態度」です。
具体的には、スキンシップを取る・子どもの話をしっかり聞いてあげる・温かい口調で返してあげる、など子どもの気持ちにしっかり耳を傾けてあげることが、レジリエンスのベースになることが分かっています。
子どもがイライラしているときにもすぐに解決しようとせず、まずは親が子どもの気持ちを受け止めてあげてください。
HugKum:何でも受け止めるとわがままになってしまわないでしょうか…?
足立先生:気持ちは受け止めるのですが、行動を全て受け止めるわけではないのがポイントです。例えば、イライラする気持ちになったとき、他人に対してキツイ言い方をしたり、たたいたり、という行動をしてしまったら「イライラする気持ちはわかるよ。でも、人も自分も傷つけない方法はないかな?」と一緒に考えます。気持ちは受け止めつつ、より良い行動に導いていくことが大切なんですね。
親も学びたい! レジリエンスを身に付けるための3つの行動
HugKum:親御さんの中には、仕事や子育てが思うようにいかず行き詰っている方もいるかと思います。大人がレジリエンスを身に付ける方法はありますか?
足立先生:もちろんです。始めにお伝えしておきたいのが、親がネガティブな出来事にあった際、どのように乗り越えていくかを子どもは見て取り入れていきます。ですから、親が自分の子育てに自信を持っている様子や、困ったときに適切な援助(ソーシャルサポート)を得られる状態は、子どものレジリエンスにも良い影響を及ぼします。
今回は、「ACT(アクト)」という方法をご紹介します!
ネガティブな出来事に遭遇した際に行うACT
A(Active:活動する)
ネガティブ感情によって身体まで不調をきたしているときは、身体を動かすことが有効。散歩をしたり、別の部屋に行ってみたりと、行動を起こすことで気分を変えていく。
C(calming:落ち着かせる)
深呼吸をしたり、リラックスする音楽を聴いたりしながら心を落ち着かせる。
イライラする部分をトントンと指先で叩くタッピングも有効。
T(Thinking:考える)
物事の捉え方を変える。自分の見方では嫌なことでも、別の見方をすると良い部分が見つかることも。偏った見方を変えることはレジリエンス育成の中核になる考え方で、絵本の中では「メガネを変える」と表現している。
Tの、自分がどんな捉え方をしているか気づくことは「メタ認知」という、自分を俯瞰する力が必要です。これが出来るのが9歳くらいからと言われていて、小さな子どもが自分で行うのは難しいことです。
しかし、物事には色々な見方があるということは伝えられます。親が様々視点で考えてみる姿を見て、子どもは学ぶことができます。
上記のように色々な対処法を知っていただき、自分に合った方法を見つけてもらえたらと思います。
気持ちについて学ぶきっかけに
足立先生に、レジリエンスを育む方法を教えていただきました! 何か嫌なことが起こったとき、気持ちを切り替えたり乗り越えたりすることは大人でも容易ではありませんよね。絵本では、ネガティブな感情の捉え方や、気持ちの落ち着かせ方がイラストで紹介されており、子どもでも理解しやすくなっています。お子さんの感情表現に悩んでいる方や、言葉で教えるのが難しいと感じている方は、是非絵本を活用してみてはいかがでしょうか。
話題の非認知能力”レジリエンス”を幼児期から育てられる絵本が登場!
失敗しても立ち直れる強い心が育ちます。